第三話 先生の授業
「ガチャ」
教室に入ってきたのは、私が恋をしている伊藤先生。
私の顔がボッと赤くなったのを見た紗希が「もしかして、美華、伊藤先生のこと好きなの〜?」とからかってきた。
そのせいで、余計に恥ずかしくなってもっと顔がトマトみたいに赤くなってしまったではないか。
そんなトマトをチラリと見て教壇に立った伊藤先生は、相変わらず女子に人気で、女子の和の中心にいる。
(あの和に入りたいな)
そう思っても、私はクラスの中で控えめな存在。
だから、自分からあの和に入ることはできない。
そんなことを考えているうちに、授業が始まるチャイムが鳴った。
起立、礼、着席をすると同時に、私の中の気合いスイッチが入る。
(今のところ、伊藤先生を狙っている女子、その中でも特に積極的に話しかけている、中谷友萌の顔面と私のお顔を比べると、私のお顔の方が可愛いといえる……はず)
では、仕草はどうか。
私が友萌の方を見ると、友萌は頬に両手を当ててあざといポーズで伊藤先生の方を見ていた。
(これはまずい!だけど冷静になって考えると、あざといポーズをしているおバカキャラよりも、しっかりと先生の話を聞いている真面目キャラの方が好印象じゃん!)
そう思って私は先生の話に耳を傾けた。
すると、今日は角錐の体積求め方を考えましょうという授業で、角錐の体積を求める公式を先生が説明している最中だった。
(あ、なるほど!)
頭が良すぎる私は、理解のスピードが光の速さ並み。
私が余裕そうに教科書をめくっていると、先生が「はい!じゃあ、皆さんは教科書二百十六ページの練習問題を解きましょう!」と言ったため、一人で練習問題を解く時間になった。
(これはチャンス!)
私は、わざと分からないふりをして、シャーペンを持つ手を止め首を傾げた。
てくてくてく
先生がこっちに来る足音がする。
(先生まだかな?)
分からないふりをし続けながら待つと、先生の視線が私に向いた。
「桜田さん、この問題わからないの?先生が教えてあげる!」
そう言って先生は練習問題を丁寧に教えてくれる。
(うわぁ、先生いい匂いする)
(先生の手、ゴツゴツしててめっちゃ好き…)
私は、先生の話を聞くことよりも、先生を見ることに集中した。
「桜田さん、分かった?」
「あ、はい!とても分かりやすかったです!ありがとうございます。」
(あ…先生を見ることに集中しすぎて、何も分かんない……。でもまあいいや!)
私が先生の残り香を嗅いでいると、授業が終わるチャイムが鳴った。
(先生の授業、あっという間だったなあ……)
私は、先生が教室から出て行くのを見送った後、再び先生のかすかな残り香を嗅いだ。
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