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【会話劇】「転生するなら竜がいいっ!!」

作者: Tongariboy
掲載日:2026/05/15

「おお勇者よ。死んでしまうとは情けない」

「……竜になりたい」

「ん?」

「もう勇者やだ。かっこいい竜になりたいっ!」



「と俺は思ったわけだ」

「竜ねぇ」

「だってさ、あの力強さとかっこよさは反則だろ」

「勇者だっていいじゃないか。世が羨む最高の役だろ」

「魔王が言う事か。勇者なんて名前だけだって。考えてもみろよ。中間管理職みたいな板挟みになる毎日。助けて下さい勇者さま、とか。勇者なんだからちゃんと守れよ、とか。毎日毎日そればーっか。いいのは最初だけ。モチベは右下がりよ」

「竜だって色々あるし、いいことないかもよー」

「いーの。勇者って強すぎんだよ。基本、限界ないし。だいたい死んでも神官が生き返らせるとか。どうなってんのよ、俺の魂」

「たしかにな。殺しても死なない。ホラーだわ」

「だから転生希望なのだ」

「竜に、ね」

「そ。俺は竜になりたいのっ!適度に強くて、かっこよくて、死んでも生き返らない。ワン・ライフを謳歌したんだよ」

「だそうですよ、神さま」


「うむぅ。面倒なこと言いおる。人生終わるまで勇者やっとけばいいじゃん」

「てめっ、魔王倒せとか面倒ごと押し付けたのお前だろっ!」

「くっ、いやだって魔王が色々やらかすから」

「私にもやりたいことあるし」

「だからって迷惑かけんなっ」

「うむうむ。今回のことも魔王が原因だし」

「すません、反省してます」



「しかし転生ねぇ。そんなに勇者いやかのぉ」

「いやだ、っつってんだろ」

「だがほら、勇者に憧れる人もいるし、勇者ファンがお前を待っている」

「うるせっ。そのファンってのも厄介なんだよっ」

「いたんだ、勇者ファン」

「9才くらいで勇者になって、お前んとこの幹部1人倒したじゃん。で、すげぇ期待されてさ」

「……ああ、魔将軍ヘブリンか。いい奴だったなぁ」

「んでファンが、イメージと違う!こんな子供、勇者じゃない!って泣き出して」

「憧れが強かったのであろうなぁ」

「ムカついたからそいつん家の壺を全部割ってやった」

「お前……」


「よかろう。では転生やるかのぉ」

「よっしゃ」

「と言いたいのだが」

「あん?」

「そこの魔王がやらかしてくれたおかげで困っておる」

「すません」

「問題あるのか?」

「うむ。お前達、魂がくっついとる」

「はっ?おいおい、まじかよ。こら魔王、離れろ」

「いいじゃん、たまにはなかよくしよーぜー」

「うるせっ!早く滅べっ」




「で、どうすりゃいいんだ?」

「うむ。お前達の因果を断ち切る必要がある」

「ほう、因果を断ち切るなど神の仕事であろう。よもや出来んとは言わんな?」

「そうだそうだー」

「もちろん出来るのである」

「うむ、よきかな」

「さ・す・が。くさっても神だな」

「でも疲れるんじゃよぉ」

「腐りきってんじゃねーか」


「といわけでゲームにしよう。嫌とは言わせんぞ」

「よかろう。この魔王、受けて立つ」

「ちっ、めんどーだけど竜になるため。いいぜ、やってやる」

「うむ」

「んで、内容は?」

「ワシに勝ってみせよ」

「ははっ、勇者と魔王に挑むのか。いいぜ、最後の戦いが神なら文句ねぇ」

「だが神を殺してしまわぬように加減が必要だな、ふはははははっ」

「ワシ、最近ダーツにハマってて」

「こ・の、じじいぃ」




「いたたっ。まったく、二人揃って本気でやらんでもよかろうに」

「おら、早くしろ」

「積もった恨みだ」

「毎日ラスボスやらされる身にもなれ。ワシこそ転生したいわっ」

「で?」

「ダーツルーレットでアタリに刺さったら竜。ハズレたら勇者。妥協はしてやらん」

「よーし、俺の動体視力舐めんなよ」

「結果は神のみぞ知る。れぇっつっ、すたーとー」

「それイカサマじゃ……」

「やめる?」

「なわけねーだろ。いくぜっ!竜に、俺はなるっ!」




「や、やった……やったぞ!竜ライフゲットだぁっ!」

「ゆうしゃおめでとー」

「よかったのー」

「へっ。じゃあな、魔王」

「ああ、さらばだ」

「そういうえばお前はどうするんだ?」

「私もあのルーレットをやる」

「へぇ。ま、何になりたいのか知らんけど、がんばれよ」

「言われるまでもない」


「ではやるぞ」

「おうっ!」

「びびっと変身、ちょちょいのちょいっ」

「よっしゃーっ!さよなら勇者、初めまして竜!」




「お、おお。転生成功っ!ん?……なんかここ、見覚えがあるような……ここって、魔王城?あ、魔王配下の竜なのか。なるほど。いや待て、どう見てもこの身体竜じゃないぞ……生まれたばかりだから?けどこの手、人間の……火ぃ吹けねーし。あ、あのじじい、まさか騙したのかっ!」

「おお、お目覚めになられましたか」

「ん?誰だこいつ。いや、なんかこいつも見たことある」

「おや、わたくしをご存知で?はて?」

「誰だっけ?」

「おお、申し遅れました。わたくしは魔将軍ヘブリンにございます」

「へ……へブリン?」

「はい。魔王様」

「えっ、お、俺が、魔王?なんで?竜じゃないの?」

「竜?ああ、その通りにございます。魔王様は竜の血族。神竜の末裔にございます」

「う、うそでしょ……うそでしょぉぉぉぉぉぉっ!!」




「……今頃というか過去というべきか。あいつ、私に転生してるんだろうなぁ」

「それで、またやるのかね?」

「もっちろん。勇者を使った秘術も、そ・の・た・め」

「こりん奴よのぉ」

「うるせっ。今度こそ、普通の竜になってやるっ!」

「では始めるぞい。結果は、神のみぞ知る……ぐふふっ」




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