【会話劇】「転生するなら竜がいいっ!!」
「おお勇者よ。死んでしまうとは情けない」
「……竜になりたい」
「ん?」
「もう勇者やだ。かっこいい竜になりたいっ!」
「と俺は思ったわけだ」
「竜ねぇ」
「だってさ、あの力強さとかっこよさは反則だろ」
「勇者だっていいじゃないか。世が羨む最高の役だろ」
「魔王が言う事か。勇者なんて名前だけだって。考えてもみろよ。中間管理職みたいな板挟みになる毎日。助けて下さい勇者さま、とか。勇者なんだからちゃんと守れよ、とか。毎日毎日そればーっか。いいのは最初だけ。モチベは右下がりよ」
「竜だって色々あるし、いいことないかもよー」
「いーの。勇者って強すぎんだよ。基本、限界ないし。だいたい死んでも神官が生き返らせるとか。どうなってんのよ、俺の魂」
「たしかにな。殺しても死なない。ホラーだわ」
「だから転生希望なのだ」
「竜に、ね」
「そ。俺は竜になりたいのっ!適度に強くて、かっこよくて、死んでも生き返らない。ワン・ライフを謳歌したんだよ」
「だそうですよ、神さま」
「うむぅ。面倒なこと言いおる。人生終わるまで勇者やっとけばいいじゃん」
「てめっ、魔王倒せとか面倒ごと押し付けたのお前だろっ!」
「くっ、いやだって魔王が色々やらかすから」
「私にもやりたいことあるし」
「だからって迷惑かけんなっ」
「うむうむ。今回のことも魔王が原因だし」
「すません、反省してます」
「しかし転生ねぇ。そんなに勇者いやかのぉ」
「いやだ、っつってんだろ」
「だがほら、勇者に憧れる人もいるし、勇者ファンがお前を待っている」
「うるせっ。そのファンってのも厄介なんだよっ」
「いたんだ、勇者ファン」
「9才くらいで勇者になって、お前んとこの幹部1人倒したじゃん。で、すげぇ期待されてさ」
「……ああ、魔将軍ヘブリンか。いい奴だったなぁ」
「んでファンが、イメージと違う!こんな子供、勇者じゃない!って泣き出して」
「憧れが強かったのであろうなぁ」
「ムカついたからそいつん家の壺を全部割ってやった」
「お前……」
「よかろう。では転生やるかのぉ」
「よっしゃ」
「と言いたいのだが」
「あん?」
「そこの魔王がやらかしてくれたおかげで困っておる」
「すません」
「問題あるのか?」
「うむ。お前達、魂がくっついとる」
「はっ?おいおい、まじかよ。こら魔王、離れろ」
「いいじゃん、たまにはなかよくしよーぜー」
「うるせっ!早く滅べっ」
「で、どうすりゃいいんだ?」
「うむ。お前達の因果を断ち切る必要がある」
「ほう、因果を断ち切るなど神の仕事であろう。よもや出来んとは言わんな?」
「そうだそうだー」
「もちろん出来るのである」
「うむ、よきかな」
「さ・す・が。くさっても神だな」
「でも疲れるんじゃよぉ」
「腐りきってんじゃねーか」
「といわけでゲームにしよう。嫌とは言わせんぞ」
「よかろう。この魔王、受けて立つ」
「ちっ、めんどーだけど竜になるため。いいぜ、やってやる」
「うむ」
「んで、内容は?」
「ワシに勝ってみせよ」
「ははっ、勇者と魔王に挑むのか。いいぜ、最後の戦いが神なら文句ねぇ」
「だが神を殺してしまわぬように加減が必要だな、ふはははははっ」
「ワシ、最近ダーツにハマってて」
「こ・の、じじいぃ」
「いたたっ。まったく、二人揃って本気でやらんでもよかろうに」
「おら、早くしろ」
「積もった恨みだ」
「毎日ラスボスやらされる身にもなれ。ワシこそ転生したいわっ」
「で?」
「ダーツルーレットでアタリに刺さったら竜。ハズレたら勇者。妥協はしてやらん」
「よーし、俺の動体視力舐めんなよ」
「結果は神のみぞ知る。れぇっつっ、すたーとー」
「それイカサマじゃ……」
「やめる?」
「なわけねーだろ。いくぜっ!竜に、俺はなるっ!」
「や、やった……やったぞ!竜ライフゲットだぁっ!」
「ゆうしゃおめでとー」
「よかったのー」
「へっ。じゃあな、魔王」
「ああ、さらばだ」
「そういうえばお前はどうするんだ?」
「私もあのルーレットをやる」
「へぇ。ま、何になりたいのか知らんけど、がんばれよ」
「言われるまでもない」
「ではやるぞ」
「おうっ!」
「びびっと変身、ちょちょいのちょいっ」
「よっしゃーっ!さよなら勇者、初めまして竜!」
「お、おお。転生成功っ!ん?……なんかここ、見覚えがあるような……ここって、魔王城?あ、魔王配下の竜なのか。なるほど。いや待て、どう見てもこの身体竜じゃないぞ……生まれたばかりだから?けどこの手、人間の……火ぃ吹けねーし。あ、あのじじい、まさか騙したのかっ!」
「おお、お目覚めになられましたか」
「ん?誰だこいつ。いや、なんかこいつも見たことある」
「おや、わたくしをご存知で?はて?」
「誰だっけ?」
「おお、申し遅れました。わたくしは魔将軍ヘブリンにございます」
「へ……へブリン?」
「はい。魔王様」
「えっ、お、俺が、魔王?なんで?竜じゃないの?」
「竜?ああ、その通りにございます。魔王様は竜の血族。神竜の末裔にございます」
「う、うそでしょ……うそでしょぉぉぉぉぉぉっ!!」
「……今頃というか過去というべきか。あいつ、私に転生してるんだろうなぁ」
「それで、またやるのかね?」
「もっちろん。勇者を使った秘術も、そ・の・た・め」
「こりん奴よのぉ」
「うるせっ。今度こそ、普通の竜になってやるっ!」
「では始めるぞい。結果は、神のみぞ知る……ぐふふっ」




