閉話1 ジュリアの思い
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私はジュリア=オウカ。ロリコ王家の第一王女である。子供の時から母よりロリコ女性としてのたしなみを教えられ、立派なロリコ人として伝統を重んじ、ロリコのために生きることを誇りとしてきた。
父は私をフランク風に育てたかったらしいが、母が拒否したらしい。
母はフランクがあまり好きではないようだった。昔父がフランクに留学した際、フランク女性に恋をしたことがあるらしい。母は前から父のことが好きで、両親も認める許嫁のような関係だったらしい。結婚できる年まで待っていたのだが、危うくとられるところだったと話してくれたことがあった。
私は女性のたしなみとして戦い方を覚えた。才能があったのだろう。この国の大将軍職を務めるカトウ殿とも互角に戦えるようになった。
その力を使い、害獣討伐や盗賊どもと戦った。
ロリコでは、たまにフランクから盗賊が流れてくることがある。
盗賊どもは女たちが小柄なのに侮り、略奪のため村を襲ってくる。
しかし、ロリコの村は一つ一つが戦闘集団で男も女も武装しており、幼児以外はみな強靭な兵士である。
そんなこととは知らない盗賊どもはあっという間に逆襲に会い、逃げられれば幸運で大概は殺される。
逃げた盗賊がいた場合、すぐに周りの村々に連絡が行き、厳重な監視網がひかれるため、盗賊たちはそれ以上の逃げ場を失い、一か所に固まって守りに入ることになる。
そこに最後に私が行って討伐する。
盗賊どもは愉快なやつらだ。私が現れると、ロリコ女の外見で一度痛い目にあっているにもかかわらず、「へえ、かわいらしい娘が来たじゃないか。かわいがってやるよ」といい、二、三人首を跳ね飛ばすと「よくもやりやがったな、もう許しちゃおけねえ、殺してやる」となり、十人も殺すと「命だけは助けてくれ」となり、本当に笑える。
とりあえず捕虜にするが、彼らは見せしめとして処理する。
捕虜となった盗賊は手足と切り、目をえぐったのち、土魔法で作った土槍に突き刺して街道沿いに並べる。
ちなみに簡単に死なないよう、切った手足はきちんと止血し、土槍には油を含ませ、先端を丸めたうえ、突き刺すのは腹のところまでにする。
この処置をしている間、実によくさえずる。最初は「てめえ、覚えているよ」「殺してやる」「やるならやってみろ、後悔するぞ」と言っているが、処置が進むにつれて「助けてくれ」「許してくれ」「言うことは何でも聞くからやめてくれ」「何でこんな目にあわされるんだ」となり、「頼む、殺してくれ」「苦しい、つらい」「痛いよ、痛いよ」になる。
最後に街道に並べるころにはうめき声をあげるだけとなる。声が止まると土槍を揺らしてやると再び呻きだす。また、そうやってさらしておくと鳥たちもやってきて肉をついばむ。生きたまま肉をついばまれるのはかなり痛いのだろう。うめき声ではなく悲鳴を上げることもある。中には喚き声をあげる者もいて、なかなか面白い。
そんなこんなで食われるか腐るかして首が落ちてきたら片づけておしまい。
そんなことを何回かしていたらフランクの山賊どもから「串刺し王女」と呼ばれるようになった。
そのことを教えてくれた山賊さんは、お礼に手足はそのまま、目もえぐらず口から土槍を入れて心臓は避けてお尻まで貫通させ、逆さまにさらしてあげた。手足をばたつかせて喜んでくれた。
王家の王女は聖地の巫女も兼ねている。これの役目は聖地を守り、聖なる者が現れたときに王家に招くことを仕事にしている。
一度、どこかの冒険者たちがそこで酒盛りをしていたことがある。近寄ると絡んできたので、聖なる木の肥料となる名誉を与えた。
ある時、聖地に行くと一人の男が寝ていた。この男にも聖なる木の肥料となる名誉を与えようかと思い近づいた。
顔を見て、ショックを受けた。優しそうなそれでいて少し険のある顔立ち、柔らかそうな黒髪、ひとめぼれである。
「ねえ、お兄さん大丈夫ですか」思わず私は声をかけた。その人はゆっくりと目を覚ますと。「ああ、疲れて眠ってしまったようだ」ととろけるような笑顔とともに言った。
笑顔いい!声も低からず高からずでずっと聞いていたい声だった。
「お兄さん、ここはロリコの聖地だから早く出た方がいいよ」
「ああそうなんだ。忠告ありがとう」
「お兄さん一人?」
「ああ、今日ここに着いたばかりなんだ」
「そうなんだ」
うん決めた。この人を私のものにしよう。
「それじゃ私が町を案内してあげる」と手を取った。その人は少しびっくりしたようだが、にっこりとして「お願いしようかな。でもこんなどこから来たかもしれない男に付き合うなんてご両親が心配しないかな」と言った。
「大丈夫、大丈夫。それに何かお兄さん見たらこれだと閃いたのよね」「閃いた?」「あっ、気にしないで。こちらの話だから」あぶない、あぶない。
しばらく町を案内しながらどうやってこの男をものにするか考えていた。
しばらく歩くと辻ズモウ大会をやっている会場に出た。この大会で三人抜くと四つ葉のブローチがもらえる。このブローチを男が女に送ると好意を持っていると伝える意味があり、女がそれを受け取るとその好意を受け入れることになる。
この国では、婚姻の申し込みは女から男に行うので、数少ない男から女へのアプローチ方法になる。これをもらえたら後が楽なんだけど、そう思いながらブローチを見ていると、彼は出場の手続きをしてくれた。
あっという間に三人勝ち抜くとブローチを手に入れて、私にくれた。思わず顔が真っ赤になってしまった。周りからも冷やかしの声が上がった。これで彼は私に好意を持っていることになる。彼の手を引いて自宅に案内した。最初遠慮していたが、ここで逃すわけにはいかない。無理に自宅に連れて行った。
彼を母に会わせた。母はフランクが嫌いだから反対される可能性もあった。「初めまして。私はジュリアの母でアサヒと言います」「えっ、ジュリアさんのお母さんですか!てっきりお姉さんかと。失礼しました。初めまして、ロミと申します」
「うふふ、ロリコの女は年を取りにくいですからね。ロミさんはフランクから来られたのですか?」
「はい、今日この町に到着しました。なかなかいい町ですね」
「あら、この国のことが気に入りました?」
「はい、とても」
「しばらくこの町に滞在するのですか?」
「帰るところもありませんし、ここで仕事を見つけられれば」
「あら、フランクには帰らないのですか」
「フランクには帰りたくないのです」
「あらどうされたのですか」
「恥ずかしいことですが、私は貴族の家の生まれで、騎士になるために騎士学校に通っていました。ところが家のためにすべてを奪われ、家を追放されました。あの国には嫌な思いでしかありません。戦うしか能がないので、冒険者になりました。初任務でこの国に来て、ジュリアさんにとても親切にしてもらい、家にまで招待してくれました。この国のことがすっかり好きになりました」
「そうなの。大変だったわね。せっかくだからロリコの食事をしていきませんか?私たちと夕食を一緒に食べていってください。そうだ、良かったら泊まっていきませんか?」
「えっでも流石に申し訳ないです」
「遠慮しないでください。ジュリアも喜びますわ」そう言って母はにっこり笑った。
そして私にしか聞こえないように一言「ものにしなさい」と言った。これで母のお墨付きももらった。これで問題はすべてクリアだ。あとは突き進むだけ。
みなで一緒に食事をした。ありがたいことに父はいないようだ。父は私をフランクの貴族に嫁がせたいようだったから、ロミとのことを大反対しただろう。
その夜、私はロミの部屋を訪ねた。「ジュリアです。入っていいですか?」このドアを開ければ、婚姻は成立だ。「ああどうぞ。今あけるね」そういってロミはドアを開けた。
「お兄さん、ありがとうございました」これであなたは私の物。
「いや、こっちこそ、町を案内してもらい、おまけにご飯に寝床も用意してもらってこんなありがたいことないよ。明日はジュリアのお父さんに挨拶したらお暇するよ」
こいつは何を言っている?
「何言っているんですか?私たち一緒に住むのですよ。お兄さんは私の婿になるのですから」
ロミは「あはは、ジュリアちゃんみたいにかわいい子がお嫁さんになったら嬉しいね。でも、僕は他国の人間だし、ましてしがない冒険者だ。こんないいお屋敷に住んでいる君は結構いい家の子なんだろ。ご両親が猛反対するよ」と言ってきた。
もう逃がすつもりはない。「ダメです。一番目にお兄さんを見て、これは私の婿にすると閃きました。二番目はスモウで取ったブローチ、あれは求婚のブローチであれを女性に送ることは求婚することを意味します。そしてそれを女性が受け取ると承諾の意味なんです。三つ目は母から気に入られたことです。この国では娘が見つけてきた相手を値踏みして可否を判断するのは母親の務めなんです。最後にお兄さんは私の呼びかけに応じてドアを開けて私を中に入れてくれました。これで婚約は成立です。あとは既成事実を作ればおしまいです」私はロミに襲い掛かった。
お前は私のものだ。逃がしはしない。
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