第4話 ロリコでの生活
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さて、最近の生活はこうなっている。
朝一緒に起きて、ジュリアと一緒にご飯を食べる。場合によっては食べさせてもらうこともある。
午前中は学習だ。ジュリアの弟のタロー君と一緒に歴史や習慣・風俗の勉強である。ちなみにタロー君の他にクトウ様の娘であるカナちゃんも一緒である。カナちゃんは9歳なのだが、タロー君のことが好きで、12歳になったら結婚すると言っている。その時のタロー君は微妙な微笑みを浮かべていた。
ちなみに講師はこの国の歴史学者でクトウ家の係累の方で、オサムという方だった。
昼食をジュリアと一緒に食べると、今度は訓練だ。だいたいはジュリアが相手をしてくれる。
僕は剣や槍を、ジュリアはハルバードや山刀を使う。ロリコの山刀はかなり大きいもので、それを両手に持ち攻撃をする。ジュリアはかなり強い。ジュリアは小さな体で、重いハルバードや山刀をまるで、木の枝を扱うように振り回し、動きも早く、それが緩急を取り混ぜて攻撃してくるので、三本に二本は負けてしまう。
ロリコ銃の打ち方も教わった。すごい音で金属の弾を発射し、重装騎士の鎧を軽々打ち抜いてしまう。 すごい兵器だと思った。実は騎士学校でもロリコ銃の実物が一丁置いてあった。
だが、野蛮人の使い物にならないおもちゃであり、騎士はこのようなものを持つのも汚らわしいとされ、倉庫にほこりをかぶって放置されていたのを倉庫の掃除をしているとき見ただけで、実際に使用したのはこれが初めてである。
夕方になり、ふたりで風呂に入る。ちなみにロリコではあちこちに温泉があり、また、公衆浴場も整備され、上流家庭では家風呂があるのが普通である。
フランクでは、せいぜい体を拭くぐらいで、風呂なんてなかったので、ひどく感心した。
夕食を一緒に食べ、そのまま夜の男の仕事に従事する。
最近は僕の連勝だ。ジュリアはあられもない格好で気絶していた。
お手伝いさんの手を借りて、体をきれいにして寝間着を着せて、一緒に就寝する。
僕も元々騎士を目指して頑張っていたので体力はある。あんまり自慢にはならないが精力も人並み以上ある。技術はジュリアから教わった。
これは僕の勝ち確だなと、その時はうぬぼれていた。
そして、また朝が来るという生活である。すっかり落ち込んでいた僕の心はジュリアに癒されていった。
ジュリアはかわいいし、一生懸命僕の世話を焼いてくれる。ずっと一緒にいてくれるし、ささくれていた僕の心は癒されていった。ジュリアの負担になっているのではと思い、それとなく聞いてみたが、きょとんとした顔をして、そのあと満面のほほえみで「ロミはいい人ね」と言われた。
ロリコの歴史や習慣・風俗はフランクとは大きく異なっている。
「タロー様、復習の意味で、ロミ様にロリコの歴史を講義してください」「分かりました先生。それじゃこのロリコの最初の歴史から講義しますね」タロー君は緊張気味で答えた。
「私たちの先祖は北の魔族の地にいるドワーフという種族でした。ある時、12あったドワーフの氏族のうち、10の氏族が南に移動を始めました。途中で5つが西に、5つが東に分かれました。私たちの先祖に当たる西に進んだ5氏族はこの地にたどり着きました。この地は誰も住んでおらず、土地も開発されていないため、この地に我々の先祖は住み着きました。この時代を古代ドワーフ時代と呼びます」
「住み着いてしばらくした時、聖地より一団の人々が現れました。彼らは自らをコウグン若しくはニホングンと呼んでいました。彼らは大変飢えていました。食べ物を与え、休息を与えたところ、彼らは大変感動し、共に暮らすようになりました。彼らは我々に農業、牧畜、商業、文化、宗教など多くの知識を伝えました。また彼らの持っている武器は今まで見たことのないもので、我々の先祖はこれを模倣しました。これらは今のロリコ銃やロリコ砲の原型となりました」
「彼らは我々と交わり、彼等は推挙されて各氏族の長になりました。そしてそれまで名前のなかった5氏族に対し、名前を付けました。これが王家と4大伯の始まりです。その後しばらくは王家であるオウカ族の族長と4人の氏族長による合議制の時代が続きました。これを共和制時代と呼びます」
「ある時、歴史的な大変動が起こります。それまで東側の地域を収めていたロマン帝国がフランク人に滅ぼされました。フランク人は東西南北に領土の拡大を始めました。我が国もフランクからの侵略を受けることとなるのは明白でした」
「その時聖地からクトウ大公様がいらっしゃったのでした。大公様はそれまでのほぼ平等だった5氏族と婚姻を結び、オウカ王家を中心とした王国にまとめあげました。オウカ家が王となり、他の四人は大伯となりました。ちなみにロリコは土地を支配するものを伯といい、支配する大きさにより大中小に分かれています。軍に従事する者は士分と呼ばれ、上中下士に分かれています。」
「婚姻ですか」
「はい、なんと5氏族の族長家とそのほか有力な家から11人も妻をめとったそうです」
「11人もですか?」ロミは尋ねた。なにせ、ロリコの女性はとても性的な欲求が強い。
ジュリアも毎日求めてくる。
「そのとおりです。妻たち相手を完ぺきにこなし、そして生まれた子供は20人以上だったといいます」
「すごいですね」ロミは驚きを隠せなかった。
「このロリコという国名も大公様が案を出されたそうです。当時の王が大公様に国の名前を付けようと名を尋ねたところ、ここはロリコの天国だといったことから、大公様が言った天国の名であるロリコと名付けたそうです」先生は誇り高く話した。
「その後しばらくして、キトウ、カトウ両名が聖地より現れ、我が国はフランクの侵略と戦い、独立を守りました」
「クトウ、キトウ、カトウの三人は王家を補佐する公家を起こし、これが3公の起源となりました。以来100年我々は国の独立を守り、発展させてきました。雑駁ではありますが、ロリコ史は以上です」
「大変よくできました。ロミ様、大まかな歴史の流れはつかめたでしょうか」先生は僕に尋ねた。
「はい、よくわかりました。聖地はこの国の歴史にすごくかかわってくるのですね」
「その通りです。聖地がなければこの国の存在はなかったでしょう」
「私はその聖地を知らずに入り込んでしまったのですね。何か罰を受けるのでしょうか?」
「大丈夫です。特に荒らしたわけではないし、あのジュリア様を引き取ってくださったのですから」先生は小さな声で言った。まるでジュリアを恐れるように。
「姉上はとっても恐れられているのです。キングベアーという恐ろしい生き物を素手で退治したとか、フランクから入り込んできた山賊どもを串刺しにして皆殺しにしたとか、伝説にことかきません」タロー君は言った。
「ああそうなんだ」「ええそうなんですよ。実は…」僕はタロー君の後ろにジュリアがいることを知らせるため、後ろを指さした。
「実は…何?」ジュリアが笑顔でタロー君に言った。
タロー君は顔が引きつり、泣きだしそうになっていた。
「ジュリア、やめなよ。タロー君怖がっているじゃないか」
「ロミ、タローをかばうの?」肉食獣の目で僕に言った。
「どうすれば、タロー君を許してくれる」僕が尋ねると、ニコッと笑って、僕の手を引いて寝室に連れていかれた。
あはは、勉強の途中なんだが。まあ、嫌いではないしとりあえず頑張ろう。
このことがあってから、タロー君とは大変仲良くなった。
「兄上ごめんなさい。でも姉上が怒った時、また助けてください。兄上だけが頼りなのです」と頼られるようになった。
歴史の授業の他に、この国の習慣や風俗を教えてもらった。
この国の女性は外見は12歳で成長が止まること。ただし、体の中身は約2倍の速さで成長するので、外見は12歳でも中身は20歳以上であり、出産可能な体になっていること、出産可能な歳になると内部の成長が緩やかになり60歳ぐらいまでは生殖可能であること。60歳ぐらいまで外見は変わらず、生殖ができなくなる60歳過ぎになると、少しづつ外見が老いてくるとのこと。
男性は通常の人間と同じ老化課程をたどることを教えられた。
また、この国は原則一夫多妻制であること、家の外は男が、家の中は女が仕切っていること、男は家の中のことに口を出すことが一切できないとのことだ。
逆に家の外のことも場合によっては女が口を出す権利を持っており、特に家に関係することは、たとえ外に関わることでも女が取り仕切ることとなっている。具体的には子供の婚姻や、畑作や家畜の世話など家全体に関わる仕事や財産の問題などは女が取り仕切ることになる。婚姻の決定権は女にあり、女性から申し出ることが普通である。
なお、婚姻の申し出は夜這いが一般的で、ドアを開けて招き入れたら了承したものとみなされる。
ロリコの女性は外国に出ることを嫌がる風潮がある。そして夫と離れることも大変嫌う。
なので、婚姻した場合、二度とロリコから出ることはないし、妻から離れることもできない。
一夫多妻と言ったが、二人目以降の妻は一番最初の妻が他の女性からの婚姻の申し出を吟味して決定するので、男性側には決定権どころか、事前に知ることもできないことがある。
結婚式で結婚相手となる女性以外に知らない女性が妻の席に座っている。この人は誰だいと聞いてみると、当然のようにあなたの二番目の妻よと言われる。びっくりしているうちに式が進み、その夜の寝室で初めて自己紹介となる。こういうことはこの国では日常茶飯事である。
夫となった男は、昼は仕事に励み、夜は妻を完ぺきに扱うことを求められる。
ちなみにロリコの格言に「三回までは夫の義務、四回以降は妻の権利」というものがある。そういうわけで、男は一般的に早死にする傾向がある。
離婚という観念はなく、もし逃げれば、すぐに捕まって監禁、教育される。さらにロリコの女性は力が強く、女のたしなみとして武器の扱いも教えられているので、妻に暴力を働いたら、三倍ぐらいにして返され、更生するまで教育されることとなる。
教育ってどんなことをされるかだって?
妻による夫に対する肉体的、精神的、性的な暴力による教育である。
働かない男も同様に教育の対象となりうる。
ただ、女性によっては夫を愛するあまり、男性を働かせずに監禁して面倒を見るケースもあるので、働かないことは直ちに教育の対象とはならない。
ちなみにこの国では、妻による夫の監禁は愛の行為の一部として公認されており、罪にはならない。
僕はフランクとの違いに驚いた。とりあえず、僕はこの国から出るつもりもないし、ジュリアと離れるつもりもないからあまり関係ないが、でもいきなり嫁さんが増えるのはいただけない。ジュリア一人で十分だから。
そのことをジュリアに伝えたら、それは私が決めることだと怒られて、でも嬉しかったらしくその夜はいつもより激しく攻撃が加えられた。結局は僕が勝ったが。
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