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ロリコ史記  作者: 信礼智義
第一章 ロミとジュリア
16/18

閉話7 ジムとフィリアの慟哭

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 ロミが死んだ。ジュリアも死んだ。フィリアは泣き崩れている。捕虜から聞いたのだが、ロミもジュリアも昨日戦死したと言う。

 あと1日早ければ二人は助かったのに……

 すべてはあの男が悪いのだ。これほどの殺意が沸いたのは生れて初めてだ。

 俺の初めての友達で、妹の夫。これから二人でこの国を支えていこうと思っていたのに。

 王国軍のカトウ公も他の大伯たちもかなり落ち込んでいる。

 とりあえず死体の片づけだ。ロミは本当によく頑張ってくれた。

 フランクの中央騎士団をほぼ壊滅状態にしたのだから大戦果だ。

 我々が死体を片付けで、戦場の整備をしていると、斥候からフランク軍が進攻してくるという報告を受けた。

 全軍やる気満々だ。

 せっかく来たのに、わずかな捕虜、それも無抵抗とあっては我々の意地がはたせない。


 我々は、フランク領内に進出し、敵を迎え撃つことにした。

 左右に森のある平野に陣を構え、塹壕を正面に掘って、敵に見つかりにくいよう葉のついた木の枝で隠した。

 森には兵を隠し、更に森の後ろには後方に回れるように兵を潜ました。

 正面はカトウ公と西の大伯が担っており、左右は北と東の大伯が陣を構えた。後方に回り込む役は俺たち南の大伯軍が担うこととなった。

 絶対にロミたちの仇を取ると心に誓った。


 敵は油断しているのだろう。悠々と進軍してきた。

 正面の射程距離に入ったと同時に一斉にロリコ銃とロリコ砲が火を噴いた。

 左右の森からもロリコ銃が打ち込まれ、フランク軍は大混乱に陥った。

 油断しきっていて、まったく警戒していなかったフランクの騎士団は良い的であった。

 慌てた騎士たちが馬で正面に突入しようとしたが、ロリコ銃の一斉射撃の餌食になった。


 「全軍、敵の後ろに回り込め!」俺は叫んだ。

 南の大伯軍は敵の後ろに回り込み、ロリコ銃を一斉に打ち込んだ。

 四方を包囲され、十字砲火に包まれたフランク軍は大混乱に陥った。

 「降伏する!降伏する!」と叫ぶ者がいた。しかしフランク兵たちを許すつもりはなかった。

 1時間後、壊滅した騎士団の兵たちの死体に油をかけた。

 うめき声や泣き声が聞こえるが、気のせいだろう。

 我々は一斉に火を放つと断末魔のような声が聞こえた。

 「熱い熱い」「息ができない」「痛い痛い」


 「ジム様」と側にいた家臣が言った。

 「どうした」

 「ジム様、あなた泣きながら笑っています」

 「そうか……」

 ロミ、俺の唯一の親友、そして義弟、何で死んだ。

 ジュリアも死んだ。

 フィリアはあれから部屋にこもって泣き通しだ。


 2人はこのロリコに必要な人材だった。

 いや、ごまかすのはやめよう、俺やフィリアにとってかけがいの無い存在だったのだ。

 救援がもっと早く、早く……


 王が出兵を拒否しなければ……

 仇は取るぞ、ロミ、ジュリア…


 俺は、軍を率いてインパールの戻り、王宮を囲んだ。


 俺は兵を率いて王宮に乗り込んだ。

 「王を出せ!」


 クトウ公が出てきて、「まずは落ち着け」と言ってきたので、「これかが落ち着いていられるか、ロミは死んだ、ジュリアも死んだ、これはすべて王の責任だ!王の命をよこせ。そうしたら俺の命をくれてやる!」と叫んだ。


 「ロミは大戦功をあげた。わずかな農民兵だけで敵の一個騎士団を壊滅させた。ロミはロリコの兵として見事な最期だったと聞く。ジュリアも愛する夫の首を取り返し、自爆した。まことにロリコ女の誉れである」とクトウ公はゆっくりと言った。


 「お前はこの功を台無しにするつもりか。二人はロリコの歴史に残るだろう。王の処遇はこちらで対応する。新しい王であるタロー殿を支え、ロミとジュリアの代わりを務めるのが、親友だったお前の役割だろう。違うか!」

俺はその場にうずくまりただ泣いた。


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