第10話 戦の始まりと攻防戦
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敵が迫ってきていることが商人からの情報で次々と伝えられた。
僕支配下にある3つの村々から約800名ほどの兵士が集まった。
老人、子供と妊婦100名あまりは別に避難することとなっている。
情報は次々と王宮に伝えていた。しかし、援軍はまだやってこなかった。
王都からの話だと、王が軍を出し渋っているそうだ。「フランクがそんなことをするはずがない」というのが王の主張だ。
「すでに宣戦布告の文書も届いています。国境に軍の派遣と四伯軍の編成許可を」と言い、宣戦布告の文書を示すが「信じられない」「軍に命令は出さない」の一点張りだそうだ。
カトウ殿に頼んで、ロリコ銃を多量に送ってもらった。カトウ殿はロリコ砲も送ってくれた。ロリコ銃より大きなもので、一発で敵を一度に何十人も吹き飛ばせるそうだ。
「王は軍の派遣は拒否されているが、武器の提供は俺の権限だからな」と言っていた。
本当にありがたい。
坑道の補修や、食料の調達、水の確保、武器の確保と整備、陣地構築などやることがいっぱいで、僕は忙しい時間を過ごしていた。
ジュリアも手伝ってくれた。さすが王族で、仕事が早く正確だ。でも夜は妊娠しているにもかかわらず連日の攻撃にさらされた。
「妊娠しているのだから控えなきゃ」と言ったら「戦の前だから体がたぎって仕方がないの」と言ってさらに攻撃は激しくなった。
とうとう敵が来た。国境に陣を敷いている。
国境からロリコのインパールには、国境の関所を通って、崖に囲まれた細い道を通って丘の上に登る上り道を通って、要塞の横を通るようになっている。
崖の下に坑道があり、そこを補強していた。そこから崖の上に出れるようにしてあり、出入り口は偽装してわからないようにしていた。
ジュリアたちと老人、子供、妊婦は街道から外れた洞窟に避難させた。
洞窟には食料や飲料水、その他生活用具を用意してあり、1か月は生活できるようにしてある。そこまで援軍が遅れるとは思えないけれど、念には念を入れてだ。
一応爆弾なども整備しておいた。敵に発見されたときの防衛手段だ。
「ロミ、必ず一緒に帰えりましょう。じゃなきゃ許さないわよ」と半泣きになりながら僕に抱き着いていった。
「ジュリアに怒られるのは怖いから、皆と一緒に生きて帰るよ」と微笑んでいった。
避難する人たちは名残惜しそうにしながら洞窟に向かった。
攻撃初日、敵は定石通り道の左右にある崖の上を占拠した。ただ、兵力は100名ずつ程度だ。
当然のことながら夜のうちに隠し通路から兵を出して皆殺しにした。
殺した敵兵の武具を奪ってフランク兵に化けさせた。
2日目早朝、下の道をフランクの正騎士たちが堂々と通っていった。
旗を見ると、中央騎士団の第一大隊から順番に来ているみたいだ。
正騎士の第一大隊が通り過ぎ、第二大隊が通っている途中で、大石を崖から投げ込んだ。そしてロリコ銃の一斉射撃と、油の入った壺を投げ込んだ。
正騎士たちは混乱して、逃げようとするが馬たちがロリコ銃の音と燃える炎で混乱して暴れ始めた。
そこをロリコ銃でねらい撃ちだ。
第二大隊は全滅、第三大隊は大損害を出したように見られた。
ロリコ側に取り残された第一大隊はどうしたって。
当然ロリコ銃による十字砲火で皆殺しにした。装備をはぎ取り、衣服を奪い壁のように死体を積み上げた。
3日日に崖の上に対する攻撃が行われた。移動式の木の柵で防御陣地を作っておいて、ロリコ銃、ロリコ砲で迎え撃った。
最初2000ずつほどの兵で攻め込んできた。あっという間に敵は全滅した。そりゃそうだ、フランクでは歩兵は騎士団の従者や従者見習いで編成されていて、彼らは槍や剣で武装している。
馬鹿みたいに密集体形でやってきたので、ロリコ砲を何発か打ち込んで、ロリコ銃で仕上げをした。
翌日、2万ずつの兵で攻めてきた。ロリコ砲とロリコ銃、爆弾を使って攻撃をかけたが、さすがに多勢に無勢なので、みな隠し通路から坑道に逃がした。
奴らは無事に占領したと、旗を揚げて占領を敵の本営に知らせた。
その後、夜を徹して農民兵たちが道の後片付けをして、騎兵の通れる道を作った。
5日目、その道を通って、正騎士たちが通り始めた。見たところ第10大隊だ。騎士団は第一大隊が一番上でその後順番に序列があり、最後は第十大隊となっている。この前の教訓で今度は十大隊を最初に持ってきたのだろう。第十大隊が丁度通り過ぎるあたりで坑道に仕掛けた爆弾を爆発させた。
崖は高台ごとと崩れ、上にいた2万の兵はもちろん、丁度通過中の第九大隊、後方にいた第八大隊を巻き込んで土砂崩れを起こし、彼らは土砂に埋まった。
そして、僕らは第十大隊に一斉射撃を浴びせた。土砂崩れで混乱していた第十大隊はあっけなく壊滅した。
装備をはぎ取り、服を剥いていくと、父親と長兄の死体があった。僕は何の感傷もなく、他の死体と同様に扱った。
その夜は夜襲だ。坑道から隠し通路を使って、敵の陣地を攻撃した。魔法部隊を壊滅させ、弓兵隊を焼き討ちし、食料を焼き払った。少しは攻めるのを躊躇してくれるといいのだが。
此方は武器や食料はまだ十分にあるが兵が足りない。すでに死傷者も出ており、こちらの兵は700ほどに減っていた。早く援軍が来て欲しい。
ちなみにロリコだと戦死するとヤスクニと言う場所に行くという信仰がある。
もともと戦死すると戦士の国に行くという信仰があったのだが、男しか行けないため、聖域から来たコウグンの人たちからその信仰が広まったらしい。
ヤスクニは戦死すれば男も女も行けて、そこで神として生きることになるらしい。
6日目から敵はもう攻撃をかけてきた。埋まった道を乗り越えて鎗兵たちが突入してきた。
軽騎兵たちも突っ込んできた。
こちらはひたすら銃と砲と爆弾で対処した。いくら倒しても敵はひるまず突っ込んできた。
4つもうけた防塁の一つが抜かれた。でも敵も鎗兵と軽騎兵ばかりだが死体が山になっている。
前に積み重ねて防壁替わりにした騎士の死体が完全に死体で埋まっていた。いったい何人死んだんだ?
7日日も攻め込んできた。人海戦術でとにかく死者を気にせず、防塁を落とすつもりらしい。歩兵と軽騎兵で突っ込んできた。夕方までに第2防塁が敵に占領された。
その代わり、死体がまた山のようになっていた。死傷者は1万人じゃ効かないのではなかろうか。
8日目、9日目も同様だった。防塁はすべて占領、破壊され、我々は最後の要塞にこもった。この4日間の戦いで、我々も100名近い死傷者を出していた。
この要塞は、古びていたとはいえ補修しており、正面から戦えば10日ぐらいは十分に持つだろう。まだ食料も水もあるし、武器や爆弾なども豊富にある。
地下坑道に通じているので、最悪でもそこから逃走できる。我々は準備万端であった。
10日目、敵は我々の包囲を行うのに時間を使っていた。見たところ、正騎士である重騎兵は半数ぐらい残っているが、歩兵、軽騎兵は見たところ合わせて5000ぐらいだ。どいつも怪我をしているように見られる。
この要塞にこもっていれば、我々は勝てるのではないか、その時はそう思った。
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