47話 意思を受け継ぐ
ピシャッ…カーテンを閉める。
ルリィ「今日は凄い雨ですね…」
ハウィ邸…変わらず白い家具。
湯気の出ているコーヒー。
ハウィ「あぁ…しかし…私は雨が凄く好きだ」
ルリィ「はぇ?雨が…好き…ですか?」
ハウィはコーヒーを一口飲む。
ハウィ「まぁ…強すぎる雨は環境を滅ぼすこともある…が、これくらいの雨なら…窓に当たる音が心地良い…強すぎなくて良かっ──…」
ゴロゴロ…ガッシャーン!!!
ザー!!!!!!
ルリィ「っ…よ…良かった…ですか?」
雨が強くなる。
ハウィ「懐古懐古…」
ルリィ「あ…あははは…」
…
ザー…テントの外は未だに雨が強い。
ターサー「…(さっきより強くなってきたな…)」
リリー「すぅ…すぅ…」
ターサーの脚元には静かに眠っているリリー。
ターサー「…」
ターサーはそっと赤い布の上から目を撫でる。
ターサー「…(初めて見える感覚ってのは…どんなんだろうな…まず色が分かる…それから…光を感じる…それと…あぁ…綺麗な景色も見える…か…)」
ターサーはリリーの喜んだ顔を思い浮かべる。
ターサー「…(今の何倍うるさくなるか…)」
ターサーは低い声を少し漏らして笑う。
次の日…。
ピヨ…ピヨピヨ!!
鳥のさえずりが聴こえる。
ジジジ…ジッパーを開ける…
ターサー「よし…いい天気になった…おい、リリー…」
リリー「んん…んぅ…?」
リリーは鳥のさえずりで理解したのか外が晴れて朝であることを把握する。
リリー「ん…朝ぁ?」
ターサー「そうだ…今飯を作ってやる…」
…
カッ…!カッ…!
包丁で食材を切りまな板にぶつかる音が響く。
ハウィ「ふぅ…おはよう…ルリィ」
二階からハウィが降りてくる。
ルリィ「…おはようございます!もうすぐで朝食が出来上がります!」
ハウィ「あぁ…今日はやけに早いな…いつもだったら…君がコーヒーの匂いで目覚めるのだがね…」
ルリィ「ふふ…なんだか今日は…何かが起きる…そんな感覚があるんです♪」
ハウィはコーヒーをカップに入れながら。
ハウィ「はっは…そうか…それは…私も楽しみだ…」
新聞に目を通しながらコーヒーを飲む…いつものハウィのルーティンが始まっていた。
…
パカリッ!パカリッ!
ターサー「よし…もう少しだ…この調子ならあと15分で街に着くぞ…」
リリー「15分♪!ターサーさん!早く♪」
ターサー「ふっ…分かっている…」
パカリッ!パカリッ!
馬を走らせ続ける…
ギギギ…木の軋むような音。
ターサー「っ…?」
道の茂みの影から馬車が出て前を塞ぐ。
ターサー「っ!」
ズザザ!ヒヒーン!!馬を急停馬させる。
馬を少し斜めに逸らしホルスターの銃に手を掛けてるのを見えないように馬車をずっと見る。
リリー「な…なにかありましたか?ターサーさん…」
ターサー「平気だ…なにもない…」
馬車のキャビンのドアが開く。
盗賊1「おいおい…ツイてるぜ…馬に大量の荷物を乗せてるな!」
盗賊の一人は銃をターサーに向ける
ターサー「何のようだ…盗賊か?銃を持ってるな…マジリカじゃ珍しい事だぞ…どこから来た」
盗賊2「ふっへへっ…PITのカーサスだ…お前さんもPIT出身だろう…ツイてるなぁ…軍の備品は高く売れるからなぁ…」
もう一人も気持ちの悪い笑顔を向けてアサルトライフルを構えながら近づいてくる。
盗賊はキャビンから四人ほど出てくる。
ターサー「…盗賊風情が、街の近くで犯罪か…逃げる足はそいつか?その…おんぼろの馬車か?」
盗賊2「良いから手を上げろ!」
盗賊はイラついた様子で近づいてくる。
ターサー「どうした…何故撃たない?」
盗賊1「備品に傷がついたら困るからな…」
ターサー「…そりゃ…賢い…俺にもビジネスって物を教えてほしい物だ…なんせ人を撃って稼いでたからな…(まずいな…リリーがいる…どうするべきだ…全員が離れすぎている…)」
盗賊2「黙ってろ…」
盗賊がすぐそこまで近づいた時だった。
ターサー「っ…」
シュン!盗賊のアサルトライフルの銃口を握りすぐさま狙いを逸らす。
そして足に蹴りを一撃、これで一人姿勢を崩す。
そこをアサルトライフルを放ち一体撃破…。
ここからは時間との勝負だった。
ババババババン!!
リリー「きゃっ!?」
リリーは突然の銃声に耳を塞ぐ。
盗賊1「ぐべぁぁぁぁぁ!?」
盗賊の一人を倒す。
しかし相手も撃ってこない訳ではない。
ババババババン!!ババババババン!!
ターサー「っ!」
ヒュンヒュン!!耳元を弾が抜けていく。
ババババババン!!ババババババン!!
リリー「ぅっ!」
ドスッ…
ババババババン!!ババババババン!!
盗賊3「うがぁっ…」
ドスッ…倒れる
ババババババン!!ババババババン!!
盗賊4「ぐべぁぁ!?」
ドスッ…そして最後の一人も…倒れる。
ターサー「っ…ふぅ、よし…リリー」
馬の方に視線を戻す。
馬の上にリリーがいない。
ターサー「っ…リリー?」
寒気がする。
馬の足元にゆっくり視線を落とす。
ターサー「っ…!リリー!リリー!」
リリー「っ…はぁ!?はぁっ…!はぁ!」
血の滲むお腹を抑えて過呼吸になって倒れているリリーがいた。
ターサー「っ!リリー!」
ターサーは馬から包帯をすぐに取り出しリリーのお腹に当てて直接圧迫し止血する。
ターサー「っ…」
リリーは目の前が真っ暗なままお腹に突如来た痛みに耐えるしかなかった。
ターサー「よし…よしよし…」
ターサーの額に汗が流れる。
包帯でお腹周りをきつく縛る。
ターサー「いいか…リリー…持ち上げるぞ…痛いが我慢しろ…(馬で運ぶのは無茶だが…それしかない…)」
リリーをゆっくりと前に抱えるように馬に乗り。
ターサー「やっ!やぁっ!!」
馬を鞭で叩いてすぐに出発する。
パカリッ!パカリッ!パカリッ!
…
庭の芝生を日が照らす…。
ルリィ「ふふ…今日もいい天気で…」
ルリィは機嫌良く洗濯板で洗った洗濯物を干していた。
その時…遠くから馬の走る音がして近づいてくる。
パカリッ!パカリッ!パカリッ!
ターサー「おい!あんた!」
ルリィ「ひゃい!」
驚いて洗濯物を落とす。
ターサー「この街の医者は!?エプソンは!」
ルリィ「え!えぇっと…はい!よ…呼んできます!」
続く




