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45話 精算

グリンスは走っている、とにかく走っている。


グリンス「っ…!」


見覚えのある黄色い光が宙を舞っている…。


間違いなく同じだった…パイソンが消えていなくなった時の物だった。


グリンスは自分でも気付いてなかった、息が上がっていたのだ。


グリンス「っ…はぁっ…はぁっ…」


それは走り疲れている訳ではなかった、ただ…また誰かが消えたのか…それがタークなのか…そう思うと勝手に息が上がっている。


しかし見えたのだ…


黄色い光の雨の中…タークが静かに立ち上がってる姿が…。


グリンス「ターク!!!」


ターク「っ…」


タークはすぐにグリンスの方に振り返る。


ターク「っ…」


グリンス「ターク!っ…ターク…」


グリンスはタークの元に着くとすぐに抱きついた…力が強すぎる程だった。


ゲマナ「はぁっ…はぁっ…何事…これっ…」


ゲマナは黄色い光の雨を見ている。


マール「…カグヤの物…でしょうか…」


セリーヌ「違う…」


セリーヌがマールの後ろから来る


セリーヌ「これが…カグヤ…」


ヴァルド「…やったのか…」


ヴァルドは既に横にいて辺り一面に広がった光を腕を組んで見ていた。


セリーヌ「…ええ…これでグリンスも少しは…

気が晴れるのかしら…。」


タークに抱きついてるグリンスを見る。


グリンス「良かった…良かった…」


グリンスは泣いてこそいないが、とにかく力強く抱き締めているのが視覚的に分かる。


タークは…


片目を閉じて痛がりつつも抱き締め返していた。


ルニャAはタークの足元に一緒に抱きついていた。


ターク「終わったぞ…グリンス…」


グリンス「…っ…」


その時…。


「おーい!」


シー・カイ「ふぅ…はぁっ…間に合った…」


ターク「っ…禿げ…」


シー・カイが走ってグリンスの元に来る。


シー・カイ「グリンス…」


他の狩人達も何かを持ってくる。


グリンス「これは…?」


シー・カイはタークとグリンスに一つずつ…何かを渡す…四つ葉のクローバーだった…。


シー・カイ「…パイソンの時…あの黄色いまばゆい光が放たれた時…山のクローバーは全てが四つ葉になっていた…俺は勘で感じた…あいつらは…やってくれたんだと…だから…今回も…今回こそ…あれをやろう…」


グリンス「…」


グリンスは四つ葉のクローバーを手に取る。


ターク「あ…あれってのは?」


グリンスはタークの前を歩いていく。


ゲマナもマールもヴァルドもセリーヌも…他の狩人から受け取った四つ葉のクローバーを持っていた。


シー・カイ「聞けい!今から!若き狩人!パイソンの魂に!クローバー(幸運)を送る!」


ターク「っ…」


タークはそれだけで分かった…。


狩人「「はっ!!」」


シー・カイ「幸運を捧げろ!!」


シー・カイは四つ葉のクローバーを持った手を空に伸ばす。


そして離すと、風に送られてなのか四つ葉のクローバーは空へ飛んで黄色く光っていく。


タークも皆も同じ事をする。


そして輝き飛んでいくクローバーをただ見送る。


ゲマナ「…こんなことしてたんだ…」


マール「…届くのでしょうか…」


ゲマナ「別に…あいつラッキーじゃなくても…良いじゃん…」


ゲマナはそう悲しそうに呟いた。


マール「…ゲマナさん…」


ターク「…」


グリンスは少し持ち続けてからゆっくりクローバーを離して浮かせていく。


ただ蘇るバディを誓った日の記憶…。


パイソン「なぁ…これ…バディになるなら誓い的な…クールなの必要だよなっ?だから…ネックレス交換を始める!」


グリンス「ネ…ネックレス…交換?」


グリンスは戸惑いながら目の前に差し出されたネックレスを見ている。


パイソン「あ…待てよ…そのネックレス滅茶苦茶貴重だったりする?ほら…母ちゃんから貰ったー…とか…そういうのは…もらえねぇしなぁ…」


パイソンは指をくるくるしながら目を逸らす。


グリンス「…ふふ」


グリンスはネックレスを外しパイソンの前に。


グリンス「心配するな…過去に思い出として買った物だ…それがより良い思い出になるなら…交換…しよう…」


パイソンはみるみる内に目を輝かせていた…


パイソン「っ…お…おう!!やった!ふぅー!カッケー!お前センスあるよ…」


パイソンは嬉しそうにネックレスを着けていた。


その時から、君の嬉しそうな顔は好きだった…。


思い出から現実に戻る。


グリンス「…」


グリンスはネックレスを握りただ空を見つめる。


他の狩人達はその場を後にする。


狩人達はどんどん去っていく。


ターク達は残っていた。


ただ立って上を向いているグリンスを見守っていた。



狩人の館…。


夕方…。


まだ宿泊日数が残ってる狩人達は館に戻りお酒でお祝いをしてた、ちょっぴり盛り上げに欠けていたが、皆心のそこから祝福していた。


ゲマナ「ふー…なんか今日疲れた…」


マール「珍しくあまり飲んでませんね…お酒…」


ゲマナ「気が乗らないのー!」


ゲマナはテーブルに肘をついて拗ねるように。


マール「じゃ…こうしません?一番飲んだ方が勝ち…」


ゲマナ「えー!マール珍しい…」


マールはゲマナの横でいたずらな笑顔で首を傾げ。


マール「やりますか?」


ゲマナ「…やる…」


近くのテーブル。


ヴァルド「かぁー!やっぱり酒は最高だぁ…特に任務後はよぉ…」


ドフッ!ジョッキをテーブルに勢いよく置く。


セリーヌ「あんた走ってただけじゃない…」


ヴァルド「うるせぇ音聞かされてたってのー!

ほら…!乾杯!」


セリーヌはため息をついて。


セリーヌ「…乾杯…!」


そして、飲み会にいない二人…。


狩人の館の外…海が見える場所…まだ夕日が見えていた。


パイソンの墓は存在していた…何かが埋まってる訳じゃなかったが、そこには何かを感じる…。


夕日に照らされていた。


グリンス「…」


グリンスは墓石を撫でるように。


グリンス「っ…」


「ぐすっ…」…グリンスは涙が溢れていた…。


グリンス「私は…もっと責任持って君を守るべきだった、私は…私は…」


その時…足音。


ターク「さっきのクローバー…」


タークが後ろから声をかけて存在を教える。


グリンスはタークの方を見る。


グリンス「っ…見ないでくれ…」


グリンスはタークから顔を逸らす。


ターク「…お前が考案したんだって?…天国にいるパイソンの幸運を願う…か…」


グリンス「…」


ターク「グリンス…」


タークは優しく言う。


ターク「素敵だったぞ…」


グリンス「っ…」


その言葉に顔を上げてタークを見るグリンス。


タークは海を見ていた。


タークの横顔は夕日に照らされていた。


グリンスはただそれから顔を逸らせずにいた。


続く


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