39話 異常なモンスター:カグヤ
ひとしきり笑った男達は少し静かになっていきながらも、常に笑みを絶やしていない、おそらく常に飲み会のような気分で会議をしているのだろう。
シー・カイ「さて…この場は今回も俺、シー・カイが取り仕切る!よろしく!」
うーす!
茶色い声が会議室で響く。
シー・カイ「さて、まずガシア漠代表のハンター…前に来てくれ」
グリンス「はい」
グリンスも場に沿った柔らかな声で前に出ていく。
シー・カイ「えーっと何々…君達の拠点近くでいないはずのモンスター…カグヤが出没していると…」
グリンス「はい、この問題は現状…ただカグヤが生息しているだけ…ですが…」
シー・カイ「君は…あの事があったから心配だろう…」
ターク「っ…?」
タークは自分が言われた訳でもないのに心臓が一回…大きく跳ねた。
ターク「…(あの…事…?)」
グリンス「…はい」
グリンスは前を見ていた…しかし目を下に向ける。
シー・カイ「まぁ、心配するな…前回の反省は今回生かせる…さて…現状ガシアチームはどう対策を考えているのか…聞いても良いだろうかな…?」
グリンス「現状はまだ様子見です…狩人として
無意味な狩りは避けたいと考えています。」
シー・カイ「そうか…まぁ、我々も同じ考えだ…」
場の男達も、うんうん…と首を立てに振っている。
シー・カイ「カグヤは強力だ、普段は温厚とはいえ…前に一度暴れた時の情報はかなり酷いものだった、今回の会議は何故…移動したのか…そしていざという時に我々で使う兵器…人材…それらを会議していく…重要な事なのでメモは取るように。」
場は既に真面目ムードであった。
それに横のルニャAは既に真剣な顔で…小さな腕を組んで"うんうん"…ではなく…"うむうむ"という雰囲気で頷いてなりきっていた。
ちなみにテーブルと椅子の高さによりほとんどがギリギリ見えてるかどうかと言える所であった。
それは二番目におかしかった。
しかし、タークは既に会議が耳に入ってこない、グリンスの過去が何かあることが分かってからだ…。
ターク「…(…何を…何が…何故…)」
タークの頭はグリンスの事で一杯だった。
ターク「…(いかん…いかんのは分かってる…)」
シー・カイ「君…気分でも悪いのか?」
タークはハッとする…気付いたら自分は顔を下げていた、顔を上げると全員がこちらを見ていた。
ターク「へ…平気──…」
ゲマナ「…あちゃー、気分悪そう…仲間にメモ取らせてるんで外の空気吸わせてきます!」
ゲマナは元気良くタークの元に来て手を引いてくる。
ターク「ちょ…」
タークはあっという間に会議室から外に連れ出される。
グリンス「…」
~外~
ターク「…」
ただ海を眺めていた、少しマシになる、海の波の音が励ましの音に聞こえる。
ゲマナ「やっぱ、グリンスの事?」
ターク「俺は…」
ゲマナ「いやいや、顔に出てるよー?もう…
私からは話さないけど…今夜同じ部屋になったって聞いたし…直接聞いてみたら…?気になるんでしょ?」
ゲマナは海を見ているタークの前に来て顔を合わせてそう言う。
ターク「…確かに…な…」
ゲマナ「…じゃ…もうオッケー?中戻るよ」
ゲマナがタークの手を引いて再び連れられる。
タークは手を引かれながら考える。
ターク「…(ゲマナの言う通りだな…今は目の前の問題に集中だ…よし…)」
ガチャリ、ドアが開くと再び男達はこちらを見る。
シー・カイ「君か…平気だったか?」
ターク「あぁ…大丈夫…です…」
タークは再び席に座る。
前で男が作戦ボードに大きな地図と紙を貼っていく。
シー・カイ「これがカグヤの出没している場所の地図…そして…対策案をまとめる紙だ…何故
カグヤはここに移動した…」
ターク「…(カグヤ…)」
ルニャA「オレの故郷のモンスターにゃ!まぁ…原因は分からないにゃけど…サイボーに良く狙われてたにゃ…」
シー・カイ「サイボー…か…狂暴な個体はごく稀にいると聞く…それが理由なのかもしれんな…」
マール「ですが、カグヤはかなりの力を持っています…自分よりも小さいサイボーに狙われたからといって縄張りから離れるでしょうか…」
シー・カイ「それも言えている…まだ我々が知らない理由があるのかもしれんな…」
タークはそんな話を小耳に挟みながら地図をまじまじと見ていた…。
そして言う。
ターク「ルニャA…お前ら村が発展し始めたのは最近か?特に…畑の類いは…」
ルニャA「にゃ…?まぁ…ワンク(犬)もオレも増えて家も畑も最近増えたにゃ…」
タークは前にいるシー・カイに顔を合わせて言う。
ターク「なるほど…質問…カグヤはどこで栄養を補給する…どんな風に」
シー・カイ「え?あぁ…研究資料によると…決まった時間に地面に根を伸ばして栄養を補給する…と書いてある…」
ターク「それだ」
マール「っ…なるほど…」
シー・カイ「え?…ええ?」
グリンス「…畑がカグヤの摂る栄養を吸収している…ということか…」
ルニャA「にゃ!そういえばオレ達の育てる食物も土や周辺、遠くまでの植物から多くの栄養を必要とするにゃ!」
ターク「そして極めつけは…カグヤの移動先…」
地図を指差し…
ターク「土地が開けていて…少し離れに竹がある…」
マール「しかし…カグヤは何故そこに栄養があると分かったのでしょうか…村からは離れていますし…旅をして見つける…というのはモンスターとしてリスクが大きいですし…」
ターク「植物は栄養のある方に根を伸ばす…その方向を記憶して辿り着いた…と思えば…
辻褄は合うんじゃないか…」
マール「そう考えると、竹があるということも…|Roots|networkで…それに…大型の植物系モンスターなら…移動そのものが根の延長と考えても不自然ではありませんし…」
ターク「おそらくな…」
シー・カイ「なるほど…全て繋がった…となれば誘導のやり方も広がる…君…名前は…」
シー・カイは笑いながらタークに目を合わせて言う。
タークは笑みを返しながら言う。
ターク「ターク…つい最近越してきた。」
続く。
ターク「…(久々に…決まったんじゃないか?)」




