38話 狩人の溜まり場
日が暮れたのが窓を見ていて分かる。
海はオレンジ色と深い紺のグラデーションでさらに綺麗に見えた。
ターク「そろそろかな…時計あるか?」
ヴァルド「あぁ…」
カチッ、ヴァルドが海中時計を開けて見る。
ヴァルド「丁度30分前ってとこだな…俺は少し
トイレ…先会議室近くにいとけ、遅刻厳禁だからな」
ターク「おう…鍵頼んだ」
タークは部屋から出て廊下を歩いていく、すると大きな階段を跨いだ奥の方から緑髪の女性が歩いてくる、ずば抜けたスタイルの良さと緑の髪…。
グリンスだ…。
タークの脳内は思考する。
「あん時の事かな…」
「案外平気だったり…」
「それじゃあ気にされてもないって事に…」
「そもそも俺に用ないかも…」
「そもそも俺に用ないかも…」を採用しタークは右に曲がり階段に一歩…
足を下ろすと。
「ターク…」
と呼ばれる…。
ターク「…(用あったか…)なんだ…?」
グリンス「会議までまだ28分ある…少し話そう」
グリンスがあまりにも綺麗な瞳で見るので断れないタークであった。
~狩人の館:バルコニー~
数分前はオレンジ色のあった空が既に深い紺一色に染まっていた。
ターク「…話って…?」
グリンス「…ずっと前から思っていた事だ…」
ターク「は…はい!」
タークはそれを聞いてもすぐにシャキッとしてしまった。
グリンス「そ…そんなに構えなくていい…」
グリンスは少し照れたようにも見えた(ターク視点である)
グリンス「さっきカウンターに行ってあることを頼んだ…」
ターク「あること…?」
グリンス「私とヴァルドを交換して欲しい…と…」
ターク「あ…あぁ…な…なるほど…それは…その…どういった考えで…」
タークはドキドキが最高潮になり変な汗と震えた手でバルコニーの柵に手を置く。
グリンス「…君とは結構…親しい関係になったと思えたが…そうではなかったのだと…思ったんだ…」
ターク「…え?」
グリンス「…あの会議室で君は何かを言い掛けてやめた…つまり…気を使っていたという事だろう…」
ターク「いや…そう言う訳じゃ…」
グリンス「気は使わなくていい…だから今日…
今晩…君とは真に親しくなりたい…」
グリンスは少し真面目な顔で、でもいつもと同じような柔らかな表情で言う。
ターク「…あ…あぁ…親しくね…うん…分かった…うん…確かに…大事だ…そういうことも…」
グリンス「よかった…それでは…私は先に会議室近くに行っておく、また…」
グリンスは微笑み言う。
そして微笑んだままタークに手を振って行く。
ターク「っ…ぁー!!!(海に飛び込みたい…俺は一体何を…くそぉ!)」
その場にうずくまる、手にモフモフしたものがあたる。
ターク「っ…?」
ルニャA「にゃ…?」
ターク「んだよ!」
ルニャA「全部聞いてるにゃ…オレ達も会議室
近くいこーぜボス…にゃ」
ターク「ボスって言うなら敬語使えよ…」
タークはルニャAと…"ターク"だけトボトボしながら行く。
ターク「…(いや!まぁ、待てよと…俺は今晩はグリンスと二人きりだと…そう思えば良いじゃないか…親しくなることもすると…言ってたじゃないか…なにか分からないが…いやぁ…まぁ、絶対普通の事だろうけど…でもまぁ──…)」
ルニャA「そういえばボスは部屋どこにゃ…?」
ターク「…あ…」
ルニャA「にゃ…?」
ターク「…(今晩は二人きりではない…俺とグリンス…feat. The!cat…だ…)」
…
階段を下りようとすると何やら狩人の館にぞろぞろ入ってくる…。
ターク「っ…?」
何故かタークは陰に隠れる。
ターク「…(なんだありゃ…)」
しかしすぐにピンと来る。
ターク「…(会議の奴ら…いや…会議のお方達…か…)」
入ってくる人は大抵が白髪でかなりの経験者なのが分かる、装備も着けているというのはまだ戦えるという証拠でしかいない。
ターク「…(100年が1歳の世界じゃ…年寄りを見たら生き残りだと思えってのは…さらに重くのしかかるぜ…)」
タークは壁から身を出して階段を降りていく。
ルニャA「なんかめっちゃ禿げてる人いたにゃ」
ターク「やめろ」
タークは口を抑えるように抱え連れていく。
…
会議室は時間五分前になるとすぐに人で埋まった、皆が難しそうな顔をしている。
しかしターク…これには動じない…なんならテーブルに肘をついて、その手に顎を乗せている、この場でのポーズでは一番重役っぽいであろう…。
そして時計の針が8時になる。
さっきのルニャAが禿げていた…と言っていた男が前に出る。
男「今回はお集まりいただいてありがとう…まぁ、待ち合わせには苦労しなかったろう…何故ならこんな分かりやすい目印があったから」
と、男は自分の頭を指差す。
シーン、場は静かだった。
と、思っていると。
ルニャA「にゃははははは!!!やっぱ禿げにゃ!自覚してたにゃ!にゃははははは!」
タークが勘弁してくれと思ったのはまさにルニャAがタークの真横の椅子にヒョコっと座っていたからだ。
ターク「っ!おい!ばか!お前」
場のみんなはこちらを見ている。
ゲマナは端の席で笑いを堪えていた。
その数秒後だった。
「がははははは!」
場に来た男達がみな笑い出す。
男2「やっぱこれじゃよ!これ!これがないと盛り上がらんわい!」
男3「よっ!頭頂部シースルー!」
勿論。
グリンスは意味が分かっていないのかポカンとしていた。
毎度聞かされても分からない事なのだろう。
マール、セリーヌは切の笑みがなかった。
ただジト目一択だった。
そこだけ冷えきっていた、男の頭のようだった。
続く




