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23話 魔法の国の動物、そして料理。

雨の降る森、テント内。


リリー「方法は…?あるんですか?」


リリーは赤い布を巻き付けて見えなくともターサー確かにを見つめていた、希望を感じているのがひしひしと伝わる。


ターサー「昔……一緒にこの国に来た友人に相談

してみるんだ…奴の技術は確かでな…盲目を治した実績はないが…腕をくっつけたり、確か…嗅覚は

治したりしてたな…」


ターサー「…(一緒にこの国に来た…というよりか…亡命なんだがな…)」


リリー「…!なら!」


ターサー「治るかもしれない…ピットの技術は凄いからな…」


リリー「ピット…ピット?あのピットですか?」


ターサー「それ以外ないさ…」


リリーは口元が少し強張る。


リリー「ターサーさんは…ピットから来たんですか…?」


ターサー「言ってなかったな、そうなんだ…(亡命なんだがな)」


リリー「……。そうですか」


ターサーはリリーの様子に少し違和感を覚えたが

何も聞かないことにした。


ターサー「さぁ、少し休もう、医者のいる街は

まだまだ遠い、着くまでにまだ三つの街を通る

くらいだ。」


リリー「遠い…んですかね?」


リリーは地図も見たことがなく、道も見たことがないため距離の感覚がいまいち分からなかったのだ。 


ターサー「……いや、やっぱり近いな…もうすぐさ。」


ターサーはそう言って寝袋を取り出しリリーを誘導する。


ターサー「暖かいぞ、おやすみ。」


リリー「はい…おやすみターサーさん。」


リリーは少し安心したように握った手を開いた。


ー朝ー


テントの外で鳥のさえずりが聞こえる。


ターサーは眠らずに銃を持ちテントの端で座ったままだった。


リリー「ん…」


リリーは目を覚まし、ゆっくり身体を起こしては

周りに手を伸ばす、ターサーを探しているようだった。


ターサー「ここだ…」


ターサーはリリーの手を握るように手を伸ばす。


リリー「あ…いた…」


ターサー「平気か…」


リリー「はい…大丈夫です。」


リリーの握る力は少し強かった。


ターサー「少し待ってろ、朝食を用意してやるからな…。」


ターサーはテントの外に出る。


ピシャリと踏んだ地面、水溜まりがあった。


太陽の光を反射してより森を綺麗に写していた。


ターサー「おはよう…」


ターサーは馬に近付きそっと撫でる。


そしてゆっくり鞍から荷物を取る。


小型のガスコンロに小さな鍋を取り、そこにピット

名物のハルオウの粉末と水筒の水をいれる。


ハルオウは春が旬の果物のような野菜で甘い香りで味も甘くスープに用いられやすい。


見た目は赤色の葉っぱに包まれた緑色の果実が特徴的だった。


ピットの軍はハルオウの栄養満点さを採用しこれを粉末食料として採用している。


数分後、グツグツとし、甘い匂いが漂う。


しかし甘い匂いに引き寄せられる動物がいた…。


グルルルルルル…。


ターサー「…っ?」


ターサーは気配に気付きすぐにホルスターから銃を抜く。


唸り声の方へ銃を向ける。


森の奥に見えるのは猿?だった。


しかし猿は顔がイノシシのようで四足歩行…。


やはりマジリカには普通の動物はいない。


おとぎ話のような動物がいる。


シシザル「グルルルルルル…」


シシザルは足で地面を蹴り突進する構えを取っていた。


ターサーは冷静に銃を向けたまま…。


一方テント。


リリー「…(ターサーさん…少し…遅い?大丈夫かな…)」


リリーは様子を見ようと立ち上がるも目が見えない

為テントから出るのにも時間がかかるし…と、再び

座り待つことにする。


その直後だった。


バンバンバン!


銃声が外から聞こえる。


リリー「っ!ターサーさん!?」


リリーは心臓がドクドクするのを感じる…ターサーが心配で仕方ないがテントから出られない…。


ただ待つことしか出来なかった。


そして、テントのファスナーが開く音がする。


リリー「っ!」


ターサー「リリー、今回はスープに追加で肉も食える」


リリー「えっ?」



リリーはテントでまたまたターサーに待てと言われ

数十分後、先程までしていた甘い匂いに追加で

香ばしい匂いを感じる。


再びテントのファスナーが開く音がする。


ターサー「リリー…案外、美味いもんを用意できた…ん…」


ターサーは何かを口に含んだように話している。


リリー「な、なに作ったんですか?」


ターサー「さぁ、ただ焼いて塩をかけた」


ターサーはリリーに分かりやすいように目の前に

少し大袈裟に皿を置く、音をたてて分かりやすくする為だった。


リリー「甘い匂い…に、香ばしい匂い…お肉ですか?」


ターサー「あぁ、イノシシみたいな頭をした猿がいてな…。」


リリー「シシザル…ですか?」


リリーは目が見えなくとも頑張っていっていた買い出しの時に動物を狩って肉を販売するおじさんの話を思い出す。


ターサー「シシザルっていうのか…なるほどな…。」


リリー「はい、確か…果物を好んで食べるんです…

人を襲いはするんですけど…肉食ではないんです…

だから食用として美味しい肉で有名で…よく買い出しの先のおじさんが…そんな話を聞かせながら

食べさせてくれてました…。」


ターサー「なるほどな…(だからハルオウの匂いに…)」


ターサーはリリーの話を聞きながら肉をナイフで

食べやすく切り分けていた。


ターサー「ほら…少し熱いが…食えると思うぞ…

口開け…」


リリー「あ…あー…」


リリーは少し戸惑いながらも口を開ける。


ターサー「ほら…」


ターサーはリリーにそっと食べさせる。


リリー「っ…あふっ!あふっ!」


リリーは熱かったのか口をはふはふさせる。


ターサー「はっはっ!熱かったか…」


ターサーはリリーを見て笑っていた。


リリーは少し拗ねたように肉を噛む、そして飲み込む。


リリー「っ…!んっ!もうっ!」


ターサー「はっはっ…次はもう少し冷ますさ」


リリー「お願いしますよ!」


続く。

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