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19話 ほぼ尋問

バンッ!


ルニャ族1「さっさと吐くにゃぁ!」


タークは少し暗い和風な家の中で取り調べを受けていた、目の前の小さな猫はちゃぶ台をひっくり返す勢いでちゃぶ台を叩いている。


ターク「いや、ごめん、色々分からないな、なんで俺は被害者に取り調べされてんだ?」


犬「くぅーん…」


ターク「なんで警官の犬が被害者みたいになってんだ!」 


犬は急に平然と立ち上がりボウルに入った何かを

目の前に置いてくる。


犬「まぁまぁ…これは村で作ってるドックフード

だワン…」


ターク「おう」


ボリボリ…


タークはふざけた取り調べにうんざりしていると

部屋近くの扉の奥から女性の声が聞こえる。


???「まったくダメね…」


ガラガラガラ…


ドアが開いた先には紺色一色の着物に黒髪を和風に留めた女性が来る、瞳も黒い。


女性はタークの近くに来て止まり見下ろしてくる。


ボイン…


女性の着物から茶色の尻尾がはみ出る、良く見たら犬のような耳もついていた。


ターク「…(絶対尻尾の擬音じゃないだろ…)」


女性「さて…あなたは…何故この村に来たのかしら?目的を話なさい…」


ターク「あぁ…実は、カグヤ…というモンスター

が俺らの拠点の近くで出没している…それで生態系の都合上やらなにやら…調べに来なきゃならんくてな。」


女性「カグヤ…」


ルニャ族1「密猟にゃ!おかしいにゃ!」


ターク「うっせぇ!」


女性「ふぅん…しかし…この男の言うことは間違いないかもしれないわ…」


女性は近くに正座し俯いて何かを考えている。


ターク「というと?」


女性「私達は獣達と共存しているの、だから一つ

分かっていることがあるの…一体カグヤが

行方不明な事よ…。」


ターク「つまり…仲間なのか?」


犬「言っちゃえば仲間ではないワン、でも一緒に

過ごしている以上殺したら殺人と同じと考えてる

ワン」


ターク「物騒な例えだな…(討伐は無理…か…)」


女性「さて、目的がわかった以上…釈放以外ないわね…ね?」


女性は手をパチンと叩いて上品に立ち上がる。


ルニャ族1「…オレ達仲間が迷惑かけてるにゃんなら…仕方ないにゃ…」


ターク「意外にもそういうタイプなのかよ…まっ…

分かってもらえて良かった良かった…それじゃ…

俺はこれでー…」


タークは流れるようにその家の正面の扉から出て

急いでグリンスを探す、辺りを見渡すとすぐ見つかった、彼女は家の近くに潜み話を聞いていたようだった。


ターク「で…どうするんだ?」


グリンス「カグヤを狩る事が出来ない以上…

追い立てる他なさそうだ、一旦キャンプに戻って

みんなに話してみよう。」


ターク「そうだな…そうするか…。」


タークはグリンスと一緒に再びソニバルドに乗り込み村を後にする。



ソニバルドに乗り移動して数十分後だった。


竹に囲まれた道をソニバルドで移動していると。


ソニバルド「クゥ?」


グリンス「?…どうした」


ターク「ソニーが鳴くなんて珍しいな。」


グリンス「…この竹の奥に反応してるようだ」


グリンスはソニバルドから降りては横について

よーく視線の先を観察をする。


グリンス「…何かいる」


ターク「何か?嫌な予感しかしないんだが…」


タークもソニバルドからゆっくり降りて同じく

竹の奥を観察する。


ドシドシドシ!!!


ターク「…なんか来てね?」


ルニャB「にゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」


ターク「な…なんだ!」


ルニャB「サイボーにゃー!」


ターク「さいぼー?」


8匹のルニャ族が一気に来てはタークの後ろに隠れる


グリンス「サイボー…大きな角を持った魔物だ…

どこにいる?」


ルニャC「分からないにゃぁ!でも追ってきてたにゃー!」


ターク「そんなこと言っても…足音一つ聞こえねぇしなぁ…」


グリンス「サイボーは巨体にして竹を登って移動する…」


ターク「竹をねぇ…」


メキメキ…


タークの近くの竹が音を鳴らす。


ターク「ん?」


タークが上を見上げると何かがタークに向かって

落ちてきている。


ターク「ぎゃぁぁぁ!!」


タークは慌ててルニャ族を蹴り飛ばして自分も飛び込む。


ドスンとサイボーが着地する、地震が起きたかのように地面が揺れる、竹の葉が取れて上からヒラヒラ

落ちてくる程だった。


ターク「っ…なんて重量…」


タークは立てないまま顔を上げサイボーの姿を見る


サイボーは白黒の大きなサイ…角は普通のサイよりも遥かに大きかった。


それだけじゃない…身体は約3mはある…


ターク「っ…やっべーな…(これが竹を登るのかよ…竹がすげーっての…)」


タークはやっとの思いで立ち上がる。


ターク「…あいつらは…共に生きる獣か?」


ルニャI「あいつは不法移住者にゃぁ!

ころせぇぇぇぇ!!!!!!にゃぁ!」


ターク「おぉ…おう…だってよ…」


グリンス「仕方ない……狩る。」


グリンスは二つの剣を鞘から取り出し両手で構える。


ターク「アシストは任せろ!」


タークはルニャ達を連れてその場を離れる。


グリンス「ああ、ここは任せろ」


ルニャD「無理にゃぁぁ!あんなの勝てないにゃぁ!

逃げるべきにゃ!」


ターク「おいおい、グリンス舐めんなよ」


シャキン!


グリンスの双剣は簡単にサイボーの身体を切り裂いていく。


サイボー「グガァァァ!」


サイボーの咆哮が竹林に響き渡る。


サイボーにつけた傷を良く見てみると確かに切り裂けている、がさらに奥の奥があるようだった。


グリンス「…(革は厚いか…巨体なだけあるな)」


サイボーは次に角で突進をしてくる。


グリンス「…」


グリンスはその動きにすぐに反応し避ける。


しかしサイボーはその巨体からは想像も出来ないようなブレーキですぐにグリンスの方へ振り返る。


サイボーはグリンスを狙い斬るように角を水平に

思いっきり動かしてくる。


グリンス「っ…(早い…)」


グリンスは間一髪で上体を反らしてスレスレに避ける。


ルニャ達「「おぉぉぉぉぉ!!」」


ターク「すげぇな…(って…いかん…感心してる

場合じゃない…ああ見えて…苦戦してるみたいだ…)」


タークはグリンスがサイボーと戦っている場所

周辺を良く見る。


ターク「…(使えそうなものはないか…?)」


しかしよーく管理されているのか竹の間隔もしっかりしていて綺麗だ。


ターク「…(そんなことどうでもいい!!っ…

どうするか…ハッ!)」


タークは思い出す。


ターク「…(確か…サイは視力が悪い、ってことは…今のグリンスとの距離が精一杯…なら…)」


ターク「おい!お前ら!」


ルニャF「んにゃ?」


ルニャ達はタークの方を振り返り一斉に見てくる。


ターク「(可愛い)…良いか!あいつの弱点は

おそらく視力…そして!」


ズサ!タークは靴の爪先で思いっきり地面を蹴る。


ターク「ここには土がある…」



ターク「握れ!可能な限り握れ!」


タークはルニャ達に土を握らせる。


ルニャ達は小さな手ながらも土を抱えるようにしながらどうにか持っていた。


カキン!


グリンス「っ!」


グリンスは振りかぶってくるサイボーの角に防戦

一方だった。


ターク「…(まずいな…)お前ら!準備は良いか!

(この土の性質なら…砂みたいに少しは舞ってくれるはずだ!)」


ルニャ達「「にゃっさー!」」


ターク「行けぇぇぇぇ!!!!投げつけろ!」


タークも土を握り思いっきりサイボーに投げつける。


グリンス「っ…」


グリンスはタークの作戦を察してその場から二歩…三歩と離れる。


サイボー「グゥゥゥ!?」


サイボーは土を投げられると顔を振ったり…慌てるようにして周りを見ていた。


ターク「よし!グリンス!奴は今視覚がないようなもんだ!目に土が入ってもいた!」


グリンス「ふっ…相変わらず奇策ばかりだな!」


グリンスは剣を持ち直しサイボーの足を切り裂いていく。


既に切り裂いた場所を何度も何度も切り上げていくことにより奥の奥の方まで切り裂いていく。


サイボー「グゴォォォ!!!」


サイボーは動きが遅くなり、やがて動かなくなる。


サイボーが地に伏すと、竹林は一瞬、風の音だけになった。


狩ったのだ。


ターク「よっしゃぁ!やったぞ!やった!」


ルニャH「やったにゃぁぁ!」


ルニャG「勝ったにゃ!」


ルニャ達もみんなで喜びあっていた。


ターク「みんな!良くやったぞ!」


ルニャ「「にゃっさー!!!」」


ルニャ達は元気に返事をする。


グリンス「…」


グリンスも一息つきながらタークな方へ歩いてくる


ターク「やったな…」


グリンス「あぁ…」


二人はしばらくの間見つめ合う


ターク「…さて…流石に…帰還するか…」


グリンス「そうしよう」


グリンスが口笛を吹いてソニバルドを呼び、二人で乗り込んではタークはルニャ達に手を振りながら

去っていく。


ルニャB「にゃっ…」


ルニャ「「にゃっ…」」


ルニャBが何かの合図をしては他のルニャ達は一斉に

合図を返す。


続く

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