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エアストーリー ~異世界の軍人VS転生してきた男~  作者: TarTark
第二章 異世界への転生者
13/28

13話 女に密着目指せ決着♪

ターク「……近いな。」


グリンス「気にするな。」


ターク「いや、気にするだろ……」


タークのすぐ目の前に、グリンスの背中がある。

ソニバルドの揺れに合わせて、タークの体が彼女の肩や腰に軽く触れてしまう。


しかも…いい匂いがする。


ターク「(……いかんいかん。)」


距離が近いせいで、グリンスの香りが妙に意識される。


戦闘を繰り広げる彼女だが、何故かほのかに甘い香りがする。


ターク「(これは、集中できねぇ……!)」


グリンス「しっかり掴まっていろ。」


ターク「あ、ああ……」


タークは仕方なくグリンスの腰の辺りに手を軽く添えた。


しかし、思った以上にしっかりとした体つきで

無駄な肉が一切ない。


ターク「(……いやいや、考えるな。)」


自分の思考を振り払うように、タークは必死に視線を逸らした。


グリンス「……そんなに緊張しなくてもいい。」


ターク「……いや、お前は気にしなさすぎなんだよ……」


グリンス「気にする意味が分からないが。」


ターク「(こいつ、本当に無自覚なのか……?)」


タークの心臓は妙に落ち着かなかったが、グリンスは気にも留めず、そのまま探索へと向かっていくのだった。


グリンスとソニバルドに乗ってから、およそ二時間が経過した。


タークは最初こそ落ち着かなかったが、次第に揺れにも慣れ、探索を純粋に楽しめるようになっていた。


広大な砂漠から少しした森の方を探索していた。


植物が現実と似ているが違うのが瞬時に分かる…


なんだか惑星映画の世界にいる感覚だった。


だが、タークが驚いたのは景色だけではなかった。

グリンスの狩猟技術だった。


グリンス「……よし、見ていろ。」


そう言うと、彼女はソニバルドから降り、静かに双剣を構えた。


彼女の視線の先には、小型モンスターの群れ。タークには種類も分からないが、明らかに肉食性の獣だ。


ターク「おい、大丈夫なのか?」


グリンス「問題ない。」


そして、

次の瞬間、グリンスはまるで風のように駆け出した。


ターク「……!」


モンスターが気づいた時には、すでに遅かった。


鋭い双剣が閃き、一匹目の首元を斬り裂く。


驚いた他の個体が反撃しようとするも、グリンスは寸分の狂いもなくかわし、次々と正確に仕留めていく。


ターク「……すげぇ。」


彼女の戦い方は、まるで舞うようだった。無駄な動きが一切ない。


力任せではなく、洗練された技術で相手を圧倒する。


たった数分。


気がつけば、周囲には動かなくなった小型モンスターが横たわっていた。


ターク「……一瞬だったな。」


グリンス「当然だ。」


彼女は淡々と血のついた双剣を拭き、タークの方を振り返る。


グリンス「……どうだ、少しはこの世界の"狩り"に慣れたか?」


ターク「いや、まだ実感が湧かないな。」


グリンス「なら、ゆっくり慣れればいい。」


彼女は落ち着いた表情でそう言うと、魔物の肉を

切り取り始めた。


しばらくして、二人は近くの安全な場所を見つけ、焚き火を囲んで休憩することにした。


タークはじっと燃え盛る炎を見つめながら、さっきの戦いを思い返していた。


ターク「……お前、なんでそんなに強いんだ?」


グリンス「狩人(ハンター)だからな。」


ターク「いや、それはそうだけど……」


タークは深くため息をついた。


ターク「俺は、こういう戦いの世界に慣れることができるのか……?」


グリンス「慣れられるさ。」


グリンスは迷いなく断言した。


グリンス「お前はすでに、この世界の罠を理解し、興味を持っていた、つまり、適応しようとしているということだ。」


ターク「……」


グリンス「お前の適応力は悪くない。」


ターク「……お前がそう言うなら、少しは自信を持ってみるか。」


タークは苦笑しながら、焚き火に手をかざした。

グリンスは静かに肉を焼きながら、タークの方を

ちらりと見た。


グリンス「……慣れるまで、付き合ってやる。」


ターク「……そりゃ頼もしいな。」


こうして、タークはこの世界に少しずつ馴染んでいくのだった。


焚き火の炎が静かに揺れ、タークは少しずつこの世界のことを受け入れようとしていた。


グリンスの狩猟技術を見て、狩りの知識を得て、

この世界で生きるための第一歩を踏み出しつつある。


だが、その瞬間だった。


ズズン……ズズン……!


地面が揺れる。


ターク「……ん?」


焚き火の薪がカタカタと音を立てるほどの振動が、遠くから響いてくる。


ターク「なんだ、この音……?」


グリンス「……っ!」


グリンスがすぐに身を起こし、鋭い目で周囲を見渡した。


グリンス「ターク、立て。」


ターク「お、おい、何が……?」


グリンス「来るぞ。」


その言葉と同時にーー


ドシャァァァァン!!


森の奥から突如、巨大な影が姿を現した。


ターク「なっ……!?」


巨体が木々を押し倒しながら、ゆっくりと姿を現す。


ゴーレム

緑の苔が生えているがそれよりも砂漠の砂がついている、通常ならこの森の地域には現れなそうな見た目をしている。


大型モンスター。分厚い苔の生えたレンガの鎧を纏い、岩で

出来た硬い腕を持つ…。


"守り神"の異名を持つモンスターだ。


ターク「おいおい、嘘だろ……?こんなデカいの、なんでここに……!?」


グリンス「……分からない。しかし、考えている暇はない。」


タークはゴーレムを見上げながら、背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。


ターク「(やばい……これ、やばいぞ……!)」


ゴーレムは大地を踏み鳴らしながら、ゆっくりとこちらへ向かってくる。その赤く光る瞳は、完全に

タークとグリンスを"獲物"として認識していた。


ゲマナが言っていた。

「この世界で、大型モンスターに遭遇したら、まず逃げる事!」


ターク「……逃げるぞ!?」


だが、グリンスはすでに双剣の柄に手をかけ、静かに構えていた。


グリンス「……いや、逃げられない。」


ターク「は……?」


グリンス「この距離では、逃げる前に捕まる…

やるしかない。」


ターク「マジかよ……!!」


その時、ゴーレムが大きく咆哮を上げた。


「グォォォォォォ!!!」


戦いの幕が、上がる。


続く

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