10話 文明、石器時代
あの異様な光景を見てから数十分…。
タークはまだあの女が一人で怪物を退治している
光景が脳内でリピート再生されている。
ターク「…」
と…その瞬間、目の前の扉が開けられる。
ターク「おわぁっ!とっとっと!」
体勢を崩しながら船内出てくるが結局転ぶ。
他の奴らは澄ました顔で出てきてやがっていた。
マール「だ…大丈夫ですか?」
マールは心配そうに近くでかがみ様子を見てくる。
ターク「あ…あぁ…平気平気…」
その時…二つのブーツの足音が聞こえ近くまで来る。
ゲマナ「いたいた…それじゃ…キャンプついたから詳しく話してもらおうかな。」
ターク「え?」
そのままタークはゲマナとグリンスに連れ…連行されキャンプに連れていかれる。
砂漠の地域とはいえキャンプ地はオアシスも近く、緑も生えていて、都合よく近くに洞窟もある。
そしてテントもあればタープの下で何か料理を作っていたりとしているのが見える。
ターク「すっげぇなぁ…なんかイベント会場…
みてぇだな…石器時代の…」
タークは辺りを見渡し続ける…すると槍を持っている男を見つける。
ターク「いや石器時代だわ」
そのままグリンスとゲマナ両方に挟まれながら引きずられながら連行されていると少し大きめのテントに連れられ、座らされる。
ターク「っ…ふぅ…」
ゲマナ「で…聞いて良い?」
ターク「…あぁ…はい…答える答える…」
タークは目の前の女の片方、グリンスが強いことは知ってるので抵抗はしなかった。
ゲマナ「まず…名前は?」
ターク「俺は…ターク…」
名前を口にだすとグリンスも口を開き始める。
タークだ。助けてくれて、ありがとう。」
グリンス「それで、ターク。お前はどこから来た?」
グリンスの問いに、タークは一瞬口を閉ざした…
さっきも言ったが…どう説明すればいいのか…。
ターク「気がついたら、雪山にいた。」
グリンス「…ふむ。」
その隣で、ゲマナは興味津々といった様子で手を組んでいる。
ゲマナ「迷子ってこと?」
ターク「いや…そういうわけじゃないんだが…」
グリンス「気付いたらいた…というのは…変な答えだが…とにかく…既に私達が保護した以上…ここら一体の問題を解決するまで保護をし続けなければならない。」
ターク「保護?」
グリンス「そしてターク…今はお前がどこから来たのかは関係ない…私達が保護する以上私達のやり方に適応してもらう必要がある…」
ターク「は…はぁ…(適応?さっきみたいのと戦えってことか?冗談じゃねぇ!)」
と、タークは考えているもグリンスの話は止まらない。
グリンス「理解はしたか?」
ターク「…イ…イエッサー!」
グリンスは静かに微笑んだ。
グリンス「それでいい。…さあ、まずは食事だ。」
…
テント近くの焚き火でゲマナとグリンス、そして先ほどの女マールも来ていて四人で食事をしながら
話す。
マール「…ところで…ターク…さん…珍しい服装をしていますね…」
ターク「あぁ…えぇっと…確かに…」
見渡すとグリンスとゲマナは装備って感じだし…
マールは装備って感じはしないが少し古い。
ターク「…(RPGの世界みたいだな…ん?世界…
世界…異世界…っ…そういうことか?異世界ってやつか!?これ!)」
タークは謎の察しのよさで答えを導きだす。
ターク「そうだ!俺はきっと異世界に来たんだ…!」
ゲマナ「イセカイ?どういうこと?」
ゲマナは首をかしげる。
マール「異世界というのは…国や星を跨ぐなど…そんなものでなく…全てが違う場所のような感じです……」
ターク「おぉ!すげぇ!その本に書いてあるのか?」
タークは分かってもらい嬉しそうにしながらマールの本を指差す。
マール「は…はい…一応…」
と、そんな中で食事を続けていると他にも魔物を狩るような装備をしている人達が何人か通りすぎていくが、みんなタークを見ていく…。
ターク「……やっぱり浮いてるよな、俺。」
ゲマナ「まぁまぁ!そのうち慣れるって!
タークのために、何か武器でも作ってあげようか?」
ターク「いや、俺は戦えないから…ってか…作れるのか?…」
ゲマナ「そりゃ、キャンプには武器とか装備作れる人必要でしょ?」
ターク「こっちの世界の事は知らねぇんだ」
マール「それにしても……今夜はどうしましょうか?」
ゲマナ「あ、そっか…」
ターク「どうって?」
ゲマナ「テントだよ!タークの分のテント、用意してないからさ!」
ターク「えっ……」
ゲマナ「だから、どうする?私のとこ来る?」
グリンス「……ゲマナ、お前はスペースが足りないだろう。」
ゲマナ「まぁねー。私のテント、道具とかいっぱいで狭いからね!」
マール「私のところも資料や書物があるので、少し手狭です…」
グリンス「……なら、私のテントでいい…」
ターク「……は?」
ゲマナ「えぇー!?グリンスのテント!?マジで!?」
マール「意外ですね……グリンスが誰かと同じテントに泊まるなんて。」
グリンス「大したことではない…それに、
タークの分のテントを今から張るのは手間だろう?…場所もない…」
ターク「……まぁ、それはそうだけど……」
グリンス「なら、決まりだ。」
そう言い切ると、グリンスは何の迷いもなくタークを自分のテントへと連れて行った。
続く




