立ち食い寿司考察
これは小説ではなく、私の食べ歩き呑み歩きの忘備録です。悪しからず!
○月✖️日 季説 初冬
場所 御徒町
寿司とは江戸時代末期に現在の形に近いものができた訳だが、もともとは屋台の食べ物だった。
言ってみれば今のファストフードのようなもので、さっと食べるもののようだ。
それも今のように一口二口で食べられる形態ではなく、おにぎり並に大きかったらしい(何せ見ていないから伝聞推量でしかない)
それがいろいろ進化を遂げて、現在の寿司屋になっていった。
高級店や大衆店、回転ずしに宅配寿司。食べ放題もあれば、一回座っただけでン万円という店もある。
なぜか江戸時代のファストフードは進化を遂げると値段に差異が出るようになる。
そば然り、天ぷら然り、ウナギ然り。
必ずと言っていいほど高級店と大衆店ができるのである。不思議な話だが、これが日本人の飽くなき探求心というべきか。高級店は素材と技量の探求。大衆店は価格と万人に向けてのサービスの探求。
大衆店と高級店の差は価格だけであって、探求心と情熱には差はないのだと私は思う。
さて前置きが長くなったが、私にはあんまり高級店にいく財力がない。なのでもっぱら大衆店に行くしかないだが、最近は立食い寿司が増えてきているので、こちらとしては助かるのだ。
その中でも御徒町の立食い寿司はバラエティーに富んで面白く、一カンからでも注文を受けてくれる融通の利くお店だ。
入れる人数は9人だけだが、お客人の事を良く考えた良店だと私は思っている。
刺身をあてにお酒を呑む事もできるし、ただ純粋に寿司を楽しむ事ができるからとても重宝する。立食いを回転ずしと同列に捉える向きもあるようだが、ここはキチンとした職人が握っているので味は段違いである。
仕事を施したネタもあるので、店のやる気というものが見えてくる。(最近はただネタを切っただけのものを乗せたような寿司屋も珍しくはないので)昆布〆もヒラメとタラの2種類があるし、漬けマグロも存在する。日によって出すものが違うと言う事は、それだけ目利きをきちんとして仕入れをしている証左だと私は思っている。
仕事をし、尚且つリーズナブルで時間をかけずに寿司が食べられる。このような店に人気が出ない訳がなく、最近は行列がちょくちょくできている。その為待つ時間だけがかかってしまうのが、悩みの種とも言えるのだが。
しかし待つ時間の潰し方さえ心得ていれば、安くて美味い寿司が食べられるのでその辺はご勘弁頂きたい。
ここはまぐろに力を入れており、仕入れ先は山幸である。卸の名前だけでネタを食べる訳ではないが、やはり名の通った卸のまぐろにはハズレはあまり無い。
ヅケ、中トロ、赤身等を食べても満足を得る事はあっても不満を感じる事はさして無い。
その他に鯛や青物を少しずつ摘んで酒を1本飲んでも二千円程度である。
この事を考えると私には安いと考える次第だ。
立ち食いでも名店はある。その事を知ってもらいたい。