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多分……、宇宙もの……。  作者: わだつみ
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66.首都星ベジャイアを目の前にして勉強回

「中央銀河連合首都星ベジャイア……。荒野が広がる大地と険峻な山脈だけだった星……。その乾燥した大地は、多くの人の汗と血で豊かな緑に溢れるまでになったと言われているわ。清らかで、豊かで……、そう美しい惑星。

 1700年前にニジェール連邦共和国が所有権を中央銀河連合に移譲して連合首都星となってからは、連合参加国協力の元で開発が進み自然と調和された美しい惑星。

 そして、星系連合発祥の地……。そう、ここが私達の旅のもう一つの始まりなのよ、鉄郎……」


 いつもの様に突然訳の判らない事を言い出すハッタなのだが、今回のは脈略が無さ過ぎだ。なんだか、普段とは違うやたらと大人びた話し方をするし、それに鉄郎ってマジで判らん。


「…………ハッタ、鉄郎って誰?」


「……鉄郎、私はメーテル。私は青春の幻影、若者にしか見えない時の流れの中を旅する女」


 あっ、昔オッパスキー隊長と酒飲んでいるときに聞いたな。確か酔っぱらって『今、万感の思いを込めて汽笛が鳴る。今、万感の思いを込めて汽車が行く』とか『メーテル~! メーテル~!』って言ってたな、ええ~と、確か……、


「ああ、そうか銀河鉄道か。カムパネルラが川で溺れる話ね」


「ちがーう! 999だってばよ! それに、せめてジョバンニだと言ってよバーニィ!」

えっ、違ったの? 賢治の話じゃないの? まぁ、考えてみれば賢治の話にメーテルなんて名は出てこないか。

それに、誰がバーニィじゃ。


「おい、メーテルもどき、キャラが壊れてるってばよ。大体にして、ベジャイアを見て感動しているのに邪魔をするなよ」


「むっ、マスター。最近、綺麗どころ三人も侍らせているとはいえ、私への態度がおなざりではありませんか。折角、初めて訪れる星の説明をしてあげたのに!」


あれ、説明だったの? イキナリやるから、唯の嫌がらせかと思ったよ。それにイマイチ説明になっていないよ。

「なら、普通にしろよ。なんで銀河鉄道999なんだよ」


「だって、マスターがアンドロメダまで行くって言ってたからですよ。てっきり機械の身体を貰いに行くのかと思いまして、予め雰囲気づくりをしておこうかと。」


「うん、確かに追われたら逃げると言ったけど、機械の身体うんぬんは言った覚え無し。記憶を改ざんするなよ」


「ヘーイ」


 初めて中央銀河連合首都星ベジャイアを眼にした者は、必ず驚くと云われている光景を目の当たりにして、感動していた俺にハッタが余計なチャチャを入れてきやがった。お蔭で、感動なんてどっかへ行っちまったよ。

 しかも、最近やたらとモノマネネタを入れてきやがる。それに銀河鉄道999って、オッパスキー隊長が子供の頃に嵌ったアニメだって言ってたよな。俺は多分生まれて無かったと思うし見た事無いんだから、もっと判り易いモノをやってくれよ……。



 無茶苦茶盛り上がった記者会見後、主星ドヴール・クラーロヴェーを総旗艦フラデツ・クラーロヴェーとシュクヴォル王国政府専用艦、それに近衛護衛艦を含む護衛艦隊に囲まれて出発した俺達は、数日の航行で中央銀河連合首都星ベジャイアに到着した。

 この数日間はトラブルも無く、いつもの様に緩いカンジで過ごしていた。強いて言うならば、3エルフ達の遺伝子提供協力が凄まじかったことぐらいかな。生体保護ナノマシーンを入れて、タフな身体になってて良かったよ。



 宇宙港は、構造的に軌道エレベーターに繋がっているのだが、ベジャイアにはその軌道エレベーターが八基も設置されていて、周囲を行き交う艦艇や近隣宙域に滞宙している艦艇を合わさった光景がなんとも壮大な景観を作り出している。

 

 シュクヴォル王国、主星ドヴール・クラーロヴェーには三基、アスピヴァーラ国、主星ハメーンリンナには四基の軌道エレベーターが設置されていた。しかし、ベジャイアには、赤道に四基、北半球に二基、南半球に二基の軌道エレベーターが設置されて、それぞれの宇宙港と接続されているので、星の外側に人口の大地が作られているように見えるほど壮大だ。この光景は、全盛期のコルサントだって敵わないな。



「何度見ても、凄い光景ですね」

 ふうー、と息を吐きながら呟くエルヴィ。クリスティーナとヴィーヴィは、『おー、しゅごーい』と言いながらモニターに映るベジャイアを見ている。

 俺も二人と同じように眺めていた時に、ハッタのメーテルのモノマネが入った。感動が台無しだよ。


「エルヴィは、何度も来ているの?」


「ええ、中央銀河連合軍宇宙艦隊へ出向していた時期が有るので、暫くベジャイアで暮らしていましたよ」


「えっ、連合独自の軍があるんだ」


「連合国家なんですから、勿論有りますよ。連合参加国の住民であれば入隊出来ますし、士官学校だってありますよ」


「いや、参加各国それぞれに軍が有るから連合が軍事行動を行う時は、各国の軍が集結して連合軍を編成すると思ったんだよ」


「連合成立直後はそうだったのですが、汎銀河戦争に参戦していなかった星間国家が連合に参加してくると、連合内で交易などで軋轢が生じてしまい内戦の危機になったんですよ。その時は、ビタリ共和国の提言で連合艦隊が結成され対立していた国家に先んじて、周辺宙域を抑えた為に内戦に至らず収拾しました。

 その後、当時のビタリ共和国大使の『戦争なんて無駄な事なんてしないで歌うか恋をすればいいのに、それが出来ない者達がいるなら即応戦力として中央銀河連合軍を設立すべきだと思うよ』との提案により、中央銀河連合軍が常設軍として設立されたんですよ」


 そう云えばクーストネン総統閣下様が、俺を中央銀河連合軍宇宙艦隊名誉提督に推挙するって話が有ったな。宇宙艦隊が無ければ提督なんかいないのだから、考えてみれば判る事か。最近、短期間に色々な事が起きたから、当たり前の事に気が回らなかったよ。

 しかし、ビタリ人やるじゃん。唯のナンパ種族じゃなかったんだな。もしかして、オーラを全身から発するスーパービタリ人とかになって、白兵戦に特化した獣人に変身したりするのかな?


「まぁ、もっとも中央銀河連合軍が設立したらビタリ人は、殆ど関わらずにいますけどね」

やっぱ、ビタリ人が頼もしいなんて気のせいだったみたいだ。駄目じゃん、ナンパ種族。まぁ、でも、その腰の軽さが内戦を防いだのなら、それはそれでビタリ人は役割を果たしたのかな。


「いや、地球の常識に囚われ過ぎたよ。地球の国際連合は、連合国家でもなく統一法や常備軍も無い多国間機構だからね。成り立ちからの役割とかが、中央銀河連合と全く違うと判っていても十分じゃなかったみたいだ。それで、連合宇宙艦隊は、どれ位の規模なの?」


 そうなんだよね。中央銀河連合と云う一つの連合国家になって国家元首がいても、その中にシュクヴォル王国やアスピヴァーラ国などの星間国家が成立したままだから、ついつい地球の国連のような機構と勘違いしちゃうんだよな。

 それにしても各星間国家の主権を保ったまま、よくも1700年も連合国家として成立しているよね。地球で云うとイギリス(グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国)が、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各地域ごとに法と軍が在り、外交までやっているカンジ。

 サッカーやラクビーならいいかもしれないけど、政治でそれをやられると混乱しかしない気がする。おまけに、スコットランドは独立運動が起きて住民投票までやっているし。あっ、スコットランドの独立運動は関係ないか。

 まぁ、プリユラ大佐が連合内には反目しあう国家があると言っていたから、これまでも色々と大変な事が合ったんだろうな。



「拓留は、未だ銀河中央部に来て日が浅いですから仕方ないですよ。おいおい覚えていけば良いだけですよ。

 連合宇宙艦隊は、設立時は5艦隊、約6万隻でした。しかし約400年前に中域部の星間国家が、突然連合参加国に侵略して来たので、撃退後は増員して10艦隊約12万隻の規模になっています」


連合に戦争を仕掛けた国家がいたの! これは吃驚だ! 連合は286の星間国家が参加して、人口が約174兆いると聞いている。そんな連合に喧嘩を売るヤツがいたなんて!

と、連合の歴史を学んでいる時に驚いた覚えがある。

 それより……、


「中間域部って何処の事?」


「我々は、この銀河を銀河中央部、中域部、辺境域部と区分しています。地球は我々の区分では辺境域部になり、銀河中央部と地球の間を中域部としています。

 銀河中央部は、中域部や辺境域部よりか有人星系が密集しており、銀河自体も球形に厚みがありますので、文明を持つ多くの人類が発展してきました。

 中域部にも星間国家として成立している国家が存在するのを知っていましたが、人類生存可能惑星の数が銀河中央部に比べて少ないので宙域規模に対して人口が少なく、距離の弊害で経済活動も我々に比べたら規模が小さいですから特に連合から接触はしませんでしたね。

 それに、連合のような多国間統一された政体は無く、単独星間国家しかありませんから」


 そうなのか、俺の知識は、モルダヴィア帝国の工作艦ムレシュから得た800年前の情報がベースになっているから、時々古いままのモノがあるのよね。一応、訓練艦ラハティからの情報で必要な事は学び直したけど、この事は知らなんだ。

 それにしても、そんな星間国家が連合に侵略って……。事前の情報収集とかしてなかったのかな。少し調べれば、こりゃ敵わんと思う筈だけどね。

 

「その少し前、約450年前ぐらいからンジェグの蝙蝠共が、連合の成立を知らない中域部の星間国家を騙して煽り捲っていたんだ。それに乗ったアホ共が、侵略してきたり海賊行為に走ったのさ。そして、400年前から幾つかの星間国家が連合に侵略を仕掛けてきた。

 勿論、全ての敵を打ち破り主星を占領し政体を連合基準の共和制に変えて、他国を侵略しない星間国家として生まれ変わらせている」


 とても良いタイミングでクリスティーナが、補足的な説明をしてくれた。判り易くて助かるが、細かい事が嫌いなクリスティーナが説明してくれたよ。珍し~。

 しかし、本当にンジェグって碌なことしねぇーヤツラだな。正直もう関わりに成りたくないです。


「拓留。クリスティーナは、中域部の海賊艦隊とその拠点討伐で功績をあげて昇進したんですよ。だからクリスティーナは、その辺りの事情に詳しいのですよ」

 どうやら俺は、珍しく説明をしてくれたクリスティーナの事を考え事をしながらマジマジと見ていたらしく、俺の疑問をまたまたエルヴィが説明してくれた。


「そうか、そう言う事か。ではシュクヴォル王国やアスピヴァーラ国は、どれ位の戦力を保持しているの?」


「汎銀河戦争時は各国10艦隊前後は配備していましたが、連合の調整の元で戦後に軍縮を進めて5艦隊前後となりました。

 軍備は、各国経済に負担を掛けますから、汎銀河戦争後の復興の為に各国が同意して数百年かけて徐々に軍縮していきました。いきなり大幅に軍縮を進めると、スウィン社会人民全体共和国が銀河中央部へ戻ってきたりしたら戦力不足に陥りますね。

 しかし中域部の星間国家と戦いになった為、現在では各国10~12艦隊分の戦力を配備していますよ」


「連合宇宙艦隊よりも、各国の艦隊がほうが多いんだね」


「アスピヴァーラもですけど、各国は警邏艦や各惑星の警備艦などが多いので、艦隊行動をとれるのは8艦隊ぐらいですよ。

 ただアスピヴァーラは、今回のンジェグ海賊艦隊がガス状星雲の隘路を見付けて襲って来たので、探索艦を増やして周辺宙域の航行可能宙域を徹底的に調べる予定ですから、宇宙艦隊9艦隊とその他4艦隊分となりますね」


「そうか……。でも、そんなに中域部の星間国家と緊張状態にあるのに、よく地球への航路が確保出来たね」


「中域部の星間国家でも、わりと銀河中央部との交流が長い星間国家が幾つも在りまして、中には連合に参加していたりするんですよ。そんな連合参加国や、友好関係にある星間国家の宙域を通る航路設定となっています」


 成程ね、連合が態々『中央銀河』と名乗っている意味が判ったよ。支配域は中央部と中域部の一部で、この銀河を全て統一している訳でないから、地球のような辺境の惑星には来なかったんだな。

 では地球で目撃されるUFOは、何処の惑星から来たんだろうね?


 まぁ、未だ、この銀河には戦乱のタネがいっぱい散らばっている事が判ったよ。それで連合の政策は、政治的にも軍事的にも安全第一と云う事か。無理や無茶をしないから、発展する訳だよね。


「二人ともありがとう。連合や知らなかった事が、良く判ったよ」


「良いんですよ、拓留。補助の為に私がいるのですから」


「うむ」


 俺の感謝の言葉に、二人はとっても満足そうだ。此処の所、遺伝子提供協力も充実しているからか、3エルフさん達は機嫌が良いから本当に満足そうだ。


「まっ、ベジャイアでドラブルに遇う事は無いと思うが、護衛は俺達に任せておきな」

 会話に参加していなかったのだが、ヴィーヴィもご機嫌みたいだな。とても良い笑顔だよ。


「ああ、三人とも宜しく頼むよ」


 まだまだ理解していない事が多いが、この三人が居れば何とかなりそうだ。



そんなこんなで俺は、中央銀河連合首都星ベジャイアを間近で見て、地球と連合の違いを改めて知った。

うっす! オラたくる!


ベジャイアの宇宙港へ入る前にみんなで「999」を2本続けて見たぞ。


3エルフさんも号泣だ!


さぁ、行くん……(著作権に触れるので自主規制)

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[一言] 姫様の遺体が辺境の地球にあるとばれたらンジェグが大挙して奪いにきそう
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