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多分……、宇宙もの……。  作者: わだつみ
56/94

56.コスプレとチラリズム

「成程、カドレチェク艦長が私のお蔭と言った理由が判りましたよ」


「はは、そうなのですよ。東郷提督がいらしてくれたので、大尉から戦死もしていないのに二階級特進で中佐になりました。それに任務が、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーの護衛ですからね。家族に親戚縁者、友人達、果ては初対面の親友まで大喜びですよ」


「少しでも、お役に立てたのなら良かったです」


「「はっはは」」


 カドレチェク艦長から定時連絡があったのだが大した内容ではなく、さっくと終わってしまったので雑談へとシフトして、近衛護衛艦隊の汎銀河戦争後の立場について聞いていた。


 シュクヴォル王国は、汎銀河戦争後にオティーリエ王女の弟王子が即位をして王位に就いた。その後、中央銀河連合設立に合わせて政体を王政から民主共和政へを緩やかに変化させていったとか。

 数十年かけてアンドルリーク王家がシュクヴォル王国に於いて、象徴的な元首となった事を切っ掛けに近衛護衛艦隊は解散となったらしい。


 近衛護衛艦隊所属の艦船は、殆どが廃艦になり処分されたそうだが、数多の戦場を潜り抜けたウースチー・ナド・ラベムとチェスケー・ブジェヨヴィツェは、船体に大掛かりな補修なども必要ない事から宇宙港に隣接する博物館にて展示されていたそうだ。

 そして数年に一度は、政府や軍のイベントの為に航行をしていたとか。その為、戦闘は兎も角も、亜空間航行も行えるように整備され続けてきたとのこと。


 今回、俺が総旗艦フラデツ・クラーロヴェーに乗ってやって来た為、歓迎の意味を込めてこの白い二隻の軍艦を護衛艦として寄越してくれたらしい。

 その際に、どうせなら艦長も汎銀河戦争当時の所縁のある者にしようという話になったとかで、軍艦の艦長に任命される為に大尉であったカドレチェク艦長が中佐に昇進したとかなんとか。

 相当にシュクヴォル王国は、俺達の訪問で浮かれているのかもしれないね。だって、出迎えに行かせる為に昇進させちゃうんだもんね。しかも二階級特進。


 ンジェグ海賊艦隊戦の後でハッタが教えてくれたのだが、連合ではだいたい戦艦と巡洋艦と護衛艦の艦長は中佐。駆逐艦と警邏艦と工作艦の艦長は少佐が任に就くそうだ。

 100隻単位の小艦隊で行動する時は、艦隊旗艦の艦長が指令となる為、一階級上の人物が務めるらしい。勿論、その他もろもろの事情に合わせて例外もあるとか。


「では、東郷提督これにて失礼します。主星ドヴール・クラーロヴェーで時間が有れば一杯やりましょう」


「ありがとうございます、カドレチェク艦長。是非ともお願いします。その時は、エスコートのお礼に奢らせて下さい」


 カドレチェク艦長との通信を、大人の約束を交わし終了する。でも、本当に一緒に酒を飲めたらいいな。カドレチェク艦長は、酒を飲んでいても楽しそうな人だしね。


「ハッタ。明日は、ドヴール・クラーロヴェーへ到着するけど、例のオーロラビームとかいう祝砲って使用できるの?」


「バッチコイです。明日は、歓迎の艦隊が祝砲を打ちまくるでしょうから、私も張り切って返礼としてぶっ放します」


「そう……、程々にね」

 なんとハッタは、ハメーンリンナのドッグで俺の知らない間に、オーロラビームの装置も付けてもらっていたらしい。ハメーンリンナに到着時に、アスピヴァーラ国宇宙艦隊が祝砲として撃つの見て羨ましかったんだとか。

アスピヴァーラ国を出立した後で聞かされた俺は、慌てて護衛艦隊を通じて総統閣下様にお詫びとお礼の通信をした。総統閣下様は笑って『大した事無いですよ。遺伝子提供お願いしますね』と仰って下さったが、あまりにも失礼なのでハッタを叱ったら『予算内なので、問題ありません』とぬかしやがった。

 それ以来、テストとしてオーロラビームを撃ちたいと強請るハッタに、『反省してないからダメ。新品の装置なんだから、テストは要らないだろ』と許可していなかった。

しかし、エルヴィに『返礼として撃つのが常識ですよ』と言われ、渋々使用を許可した経緯がある。


そんな事宿を考えつつ、明日は遂にシュクヴォル王国かぁ~と考えていると……、


「拓留、どうだ! ハッタ殿から、拓留の好みを聞いて作った衣装だぞ。その気になったか?」


と賑やかに指令室へ入って来たエルフさん達が着ていたのは、上下白を基調とし紺のラインが入ったセーラー服だった……。


「どうしたの、そのセーラー服?」

俺が、額に手をやりながら尋ねると、ゴキゲンな返事が返ってきた。


「さっきも言っただろ、作ったんだよロボ太に手伝ってもらって。短いスカートも、なかなかのモノだろ」


「どうだ、俺だってなかなかだろ。ほらほら、どうだ。拓留は短いスカートが好きなんだろ。ほらほら」


「拓留が好きなら仕方ないですが、私は子供ぽくないですか? でも、これが好きなんですよね」


クリスティーナは、高身長でバランスの良いスタイルなのでハッキリ言って美しい。

ヴィーヴィは、肉体派のバァディーがこれでもかってぐらいに強調されて凄まじい色気を放っている。

エルヴィは、セーラー服に小柄な身体がベリーマッチ、一番違和感無く美少女な雰囲気を放っている。


 しかし、全員コスプレチックなんだよ~。リアルさが、欠片も無いんだよ。あの初々しさや、あの大人に成りかけのぎこちなさが、全くないんだよ。しかも、三人とも、スカート短すぎ。もっと、その素敵な御御足様を隠せよ。


「あー、ありがとう。みんな、可愛いよ。似合っているね(棒)」


「「「気に入ってない!」」」

俺の心を込めた棒読みのセリフが、三人に真意を気付かせてしまったか。まぁ、そりゃそうか。


「三人とも宜しいでしょうか」


「「「何?」」」


「スカートを捲って、ショーツをマスターに見せて下さい」


「「判った」」

 ハッタのとんでもない頼みにクリスティーナとヴィーヴィは、躊躇う事無くスカートを捲り黒と白のショーツを見せてくれた。そしてエルヴィは、スカートを手で押さえもじもじとして捲らなかった。


「それだ! エルヴィそれだよ!」

そうだよ、俺が欲しかったのは恥じらいだよ。『やだ、ぽっ』って、なるぐらいの初々しさが欲しいんだよ。


「アンティラ中尉、そのまま、くるっと一回転して下さい」


「えっ、はい」

ハッタの指示に素直に従ったエルヴィが、勢い良く回るとミニスカートがふわりと捲れ、紫色の大人ショーツがチラ。


「エルヴィ、最高!」

思わずエルヴィの両手を掴んで、ブンブン振っちゃったよ。うん、これなら俺は、これからも戦えそうだ。って、何を相手に?


「ハッタ殿。良く判らないのだが、説明を頼む」


「はい、判りました。マスター程の拗らせた変態になりますと、ちょっとした所作にも興奮を求めます。なので、見せれば良いと言う訳では無く、脱げば良いと言う訳ではありません。

 ちょっとづつ、焦らしながら、でも不自然にならないように恥らいながら、チラ、チラと見せていくと大変に喜ぶ変態です。

 つまり、『チラリズム最高!』の精神で接すればよいという事です。これは、私が日本のゲームから学んだことですので間違い無し!」


 大体にして当たっているから反論できないけど、ここでオートマタのネタを持ってくるとは思わなかったよ。でも、ハッタの言葉で三人の眼の色が変わった。って、エルヴィはそのままで良いんですよ。


「ハッタ殿、今度そのゲームを貸してもらえないだろうか。チラリズムとやらを学んでみよう」


「あっ、俺にも貸して」


「私もお願いします。チラリズムの神髄を極めて見せます」


「宜しいですよ。皆さんで、ゲーム同好会の設立ですね」


俺を喜ばせる為のコスプレが、何故にチラリズム勉強の為のゲーム同好会に為っちゃう訳? まぁ、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーの中で護衛は要らないから、暇な時は遊ばせておいても構わないか。


 俺達は、いつもの緩いカンジでシュクヴォル王国艦隊に護衛されながら、宇宙を進んでいた。そして翌日、主星ドヴール・クラーロヴェーに到着した俺達は…………、


「「「「ふぉ、おおおお!」」」」

感動と驚愕の混じった、なんとも言えない声を上げていた。


シュクヴォル王国第一艦隊が、俺達を挟んで左右から、第二艦隊が右前方から、第三艦隊が左前方から一斉にオーロラビームを放ち、この世のモノとは思え無い幻想的な光景を作り出してくれた。

 出迎えてくれている三艦隊のど真ん中を、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーはゆっくりと進み、返礼としてオーロラビームをハッタがオラオラとノリノリで放っている。


「マスター。ドヴール・クラーロヴェーのニュースを見れますが、見ますか?」


「ああ、映してくれ」

メインスクリーンにニュースが流れると、そこには三艦隊の真ん中を進む総旗艦フラデツ・クラーロヴェーが映し出されていた。そして、レポーターらしき人物の声が響く。


『ついに、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーが……、オティーリエ王女と共に自由と尊厳と平和を守る為に戦った総旗艦フラデツ・クラーロヴェーが、1700年前と変わらぬ姿にて帰ってきました。

 宇宙軍第一艦隊を従えた姿は、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーの名に恥じぬ威風堂々として王者の風格を持っています。

 近衛護衛艦を左右に従え、三艦隊の真ん中を進む総旗艦フラデツ・クラーロヴェーは、汎銀河戦争当時同じくシュクヴォル王国に希望を与えています。

 お帰りなさい。今、私に言えるのは、唯それだけです。お帰りなさい、総旗艦フラデツ・クラーロヴェー。お帰りなさい、オティーリエ王女の意思を受け継ぐ者よ。全てのシュクヴォル王国民は、貴方達をまっていました!』


「大歓迎だね」


「ええ……、良かったです」

 レポーターの絶叫からも、俺達をシュクヴォル王国が待っていてくれたと判るよ。来て良かった。



 そんなこんなで俺とハッタは、シュクヴォル王国、主星ドヴール・クラーロヴェーに到着した。しかし、大歓迎の陰で俺達を妬む人物がいる事を知らなかった。

ハーレムが迷走している! 書いてて楽しー!

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