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多分……、宇宙もの……。  作者: わだつみ
24/94

24.宇宙での計画を地下でします

 お盆を前にして、夏真っ盛りの日。具体的に言うと、3JKを家まで送っていた日の午後の事。


 3JKが食糧を粗方食べ尽したので、そのままコストコに買い物に向かっている最中の事。二泊三日で3JKが津久留島に滞在中、ハッタを放置プレーしていたのが気に入らなかったらしく、グチグチと文句を言っているのに辟易していた。

 アンドロイド達も、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーに引きこもっていたんだけど、自分だけが粗略に扱われたとご機嫌斜めだ。


 しかも、『皆さん、元気良くて可愛いかったですね』とか『船に乗って喜んでましたね』とか『JKに女豹のポーズは無いでしょう』とか『JKにお酒飲まして、なにをなにするつもりだったんでしょ』とか、エンドレスに文句を言ってくる。更には、『JKとお風呂なんて犯罪ですよ』とまで言われている。


 二日目は、ヴェネレ号で沖に釣りに行ったり、釣った魚を刺身にして食べたり、また海で泳いだりして、穏やかに楽しく過ごしたのだが、それはそれで気に入らないらしい。あーだこーだと文句を言っている。『可愛いJKで良かったですね。鼻の下が伸びてましたよ』とか……。



「で、何か用があるんだろ。文句ばっか言ってないで、そっちを優先して」


「……判りました。レアメタルが、予定よりも早く届く事となりました。具体的には明日。それで、ロベルト達と一緒に受け取りをお願いします。その後は、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーへお願いします」

えっ、八月の下旬到着だったよね。


「おお、半月も早くなったのか。助かるけど、何かあったのかな」


「……さぁ、存じ上げません」

何か、やったなコイツ。


「と言う訳で、明日から忙しくなりますので、のんびり出来るのは今日限りです。マスターは、JKと戯れてイロイロとエロエロな思いが溜まっている事でしょうから、瀬戸内の女学生のエミちゃんB86cmが出勤していますので予約入れましょうか?」


「いいよ。自分で予約するから……」

イロイロと筒抜けな俺は、ハッタに隠すのをもう止めていた。だって、インプラントしている通信機で全部バレバレなんだもの。くぅー、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーの乗員達は、気にしなかったのかな。



そして翌日。午前中に届いたレアメタルをロベルト達に任せて、俺は指令室に来ていた。


「レアメタルが早々に到着しましたので、計画を早める事にしました。修復作業自体は、ロボ太に任せておけば大丈夫なのですが、ロベルト型アンドロイドの設計に少々変更が出ました」


 最初は、カルフォルニア州知事型大量殺人者タイプと言っていたのだが、めんどくさくなったのだろう最近ではロベルト型と呼んでいる。初めからそうすりゃいいのに。あっ、そうするとロイド型って呼ばれちゃうか。


「オペレーター専用の12体は、全て女性型としてサイズ小さめに155センチ程度の身長で作る事にしました。ボディーサイズが大きくなると、コンソールパネルのシートが破損する恐れがある為です。なんと言っても、全身が金属でできていますから。それに、指令室オペレーター専用ですから、小柄でも構わないので資源も節約できますので」


「うん、判ったよ。なら、今あるロベルト型は、ロベルトとカテジナ以外はどうするの?」

 ロベルトとカテジナの他に、男性型が2体と女性型が2体作られていて、彼らがヴェネレ号とレボォーグの改造を行った。

 今日も、一緒にレアメタルを受け取って、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーまで運んでくれた。

 因みに、4体の名前はまだ無い。ハッタの付ける名前に、俺が駄目だしをしているからだ。


「4体に尽きましては、艦内の保安要員として活用するつもりです」


「保安要員という名の雑用か?」


「そうとも言います」

 

 まぁ、妥当なところか。

 以前ハッタに聞いたのだが、指令室オペレーターをアンドロイドが任じられる事などないそうだ。

 アンドロイドは、マニュアルに沿った事柄は完璧な仕事をするが、突発的な出来事や経験から齎される発想力が必要な場合役に立たないとの事。なので、瞬く間に変化する戦場の状況を把握し適切な対応を取るには、やはり人のオペレーターが必要らしい。

 となると、総旗艦フラデツ・クラーロヴェーは、大丈夫?


「6割ほどの実力しか出せませんが、それでも総旗艦フラデツ・クラーロヴェーを傷付けられる存在などありませんよ」との事。

 でも、傷つけられたから、地球に居るんじゃありませんか?



「これから主動力機関の起動シークエスに入ります。各部点検をしながらなので、約2時間ほどかかりますが、主動力機関が起動すれば修復は約20日間で終了する見込みです」


「えっ、主動力機関って動くの。修復作業途中だったんじゃないの?」


「計算上、起動はします。しかし、以前に行ったように主動力機関の28%しか出力が出ません。ですが28%あれば、修復には十分です」

おお、これは驚いた。年単位で考えていたものが、僅か20日間で出来るなんて。確かに、レアメタルが届いた後の事は聞いてなかったけど、地球人的感覚なら年単位だよね。きっと……。

まぁ、時間はあったのだから、資材が手に入ったら直ぐに修復作業が出来るように、万全の体制にしていたんだろうな。



「そして、宇宙に上がりましたら、無重力化で分子構造を入れ替えるしか製造できない合金の生産に入ります。そして、亜空間航行装置の修復と、各部の点検をすれば完璧です」


「おお、完成が一気に見えてきた。それで、亜空間航行装置の何が、未修理なの?」


「緊急時自動停止装置を含めた安全管理機能です」


「いや、一番最初に直せよ」


「修復に必要な透明ステンレスは、浴室をオーシャンビューにするのに使用して不足しましたので」


「うん、なら仕方ないね」

うん、仕方ない。オーシャンビューのお風呂最高だもの。


 風呂を改装するときに便利な金属がありますよと見せられたのが、軽く、錆びにくく、しかも透明な金属。まるでステンレスと俺が言うと『では、以降は透明ステンレスと呼称しましょう』という事となり、本来の名前は捨て去られてしまった。

 しかし、そんな大切な金属だと判ってたら、風呂の改修に使わなかったよ。



「次に、当艦の外部の点検・補修を行う為の拠点を月の裏側。地球から観測出来ない地点に、月の資源を利用して作りたいのですが、2タイプありまして選択していただきたいのです」


「タイプ選ぶ前に、月の資源を一から探すのって、人手が足りなくないか。それに、月の裏側だと人工衛星が来て見付かちゃうよ?」

だってこの船、生きている人間は俺一人。あとは、AIのハッタ、ロボ太が82体、ロベルト型が16体の予定だろ。人口密度低すぎー。


「資源につきましては、1700年前の内火艇の調査資料がありますので、何処に何が存在しているか把握していますので問題ありません」


「なら、人工衛星は?」


「今の世界の経済状況を見れば、月探査の人工衛星を打ち上げる可能性は低いと思われます。

探査衛星の打ち上げに積極的なのは米国と中国ですが、両国とも経済不況により予算の削減を行っています。なのでリソースを限られた方面に向けています。

米国は、1960年代から行っている火星探査に力を注いでいます。中国は、米国に対抗する為、これまた火星に探査衛星を送っています。

直ぐに他星への移住を計画するというのであれば、月が拠点となりますので探査衛星が来るでしょうが、アクシデントが無い限り月へは来ないと考えます」


「アクシデントで来たら?」


「ECMで、全機能を破壊します。その後、月へ墜落させるも良し、大気圏で燃え尽きる軌道に変更するもよし、太陽に向かわせるのも良しです」

そっか、取り敢えず想定済みという事か。なら……。


「判った。話の邪魔をして悪かった。続きをお願い」


「一つ目のタイプは、天体のような球形タイプ。直径は約60Kmです」


おお、これは……

「デススターか!」


「いえ、イゼルローンです。あんな戦闘機から換気ダクトに、光子魚雷ごときを撃ち込まれたぐらいで爆散するような、ヤワな作りではありません」

映画なんだから、現実的な事で文句言っても仕方ないでしょ。


「オプションで、トールハンマーをお付けしますか? 大変お得になっていますよ」


「いらねーよ。誰と戦うんだよ! 」


「要塞主砲は、ロマンじゃないですか。粋じゃないですね」

何だか不満そうだが、本当に要らないよ。建設するとしても付けないでね。



「二つ目のタイプは、機動戦士な円柱のスペースコロニーですね。『人類の第二の故郷となり、人々は、そこで子を産み、育て、そして死んでいった』をリアルで体感できますよ」

おお、鉄板モノがキター! でも、『人類の第二の故郷となり……』の部分が永井一郎さんの声になってたけど無断使用してないよね。頼むよ、俺が怒られるような事しないでね。


「こちらのタイプは、直径約六キロ・長さ約三十キロ。ソラーパネルを三枚持ち、回転する事により遠心力を得て重力とします。そして何よりも、いざという時にコロニー落とし。所謂ブリティッシュ作戦を実行可能です」


「しねぇーよ、そんな事! 大量虐殺者になっちゃうじゃん」


「愉快なAIジョークですよ」

笑えねぇー。あっ、コイツ、俺をからかい半分に試しやがったな。いつぞやの狂人ネタで。


「それにしても、なんで、アニメからアイディアを拝借するの?」


「総旗艦フラデツ・クラーロヴェーのアーカイブには、拠点基地や要塞の設計図が無いので、既存の作品を猛烈にリスペクトしてたら突然インスパイヤしたので、誠心誠意オマージュして設計しました」


「はぁ……、リスペクトやオマージュって便利な言葉だね」

バレなきゃ良いって本気で考えているようで、溜め息しか出ないよ。


「そうだYO!」

ハッタは、無満足そうに三本指にした両手を、やや横に広げつつ前に突き出している。何それ、ラッパー?




そんなこんなで俺は、要塞かスペースコロニーまで所有する事となったようだ。

ダークサイド側の僕は、毎回なんで簡単に爆発しちゃうだよ。デススター! って、思ってました。

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― 新着の感想 ―
イゼルローンとトールハンマーはロマンのある旧アニメ版の液体金属と浮遊砲台型で!
再開につき読み直し中…… 中国の宇宙開発が国の威信を掛けて高難易度とされる月の裏側目指すとは、当時のハッタ様では思うまいという結果に〜
長寿と繁栄を?
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