21.夏の扉
JK回のスタートだ!
「おはよう」
今日は、朝からレヴォーグで実家に恵莉達を迎えにやって来ていた。
ロベルト達が、チューンしてくれたレヴォーグは快調そのもので不満など無い。『出力500Psなのに、街乗り20Km/Lを保障しますよ』と言っていたが、本当にそれだけの性能が出せるのだから凄い。しかもロベルト達の改善点を見出すにも、役に立ち良いこと尽くめだ。
「たっちゃん、おはよう」
「おはようございます。今日は、宜しくお願いします」
「おぱよう、叔父さん。初めまして」
三人三様の挨拶をしながら、3JKがレヴォーグに乗り込んでくる。恵莉の友達たちも実家に集合していたので、イチイチ回収に廻らなくて助かったよ。
「たっちゃん、美華ちゃんのこと覚えてる? 前に何度が会ってるんだけど」
助手席の恵莉が指差したのは、助手席の後ろのシートに座る身長がやや高め、黒髪ロングの美少女。レヴォーグに乗り込む時、きちんと挨拶をしてくれた子だ。
はて、誰だっけ? 昔の記憶を辿っていくと、夏祭りの縁日でストップ。あっ!
「昔、縁日で魔法少女のお面を買ってあげた子か」
「はぃ……、そうです」
「あはは、もっと最近会ってるのに、何でそんな昔の事を言ってんの」
カラカラと笑う恵莉の横で、少し頬を染め、体を小さくする美華。うん、シャイで可愛いな。正に正統派、美少女。
恵莉の話によると地方の学校にありがちだが、小中高と同じ学校に行っているとか。それて今は、クラスも同じらしい。そして恵莉の話を聞いて、ああそういえばと思い当たる事が幾つかあった。
「ごめんね。すっかり綺麗になっていたから、判らなかったよ」
必殺、おっさんの言い逃れテク全開。
こう言われて、許さない人は少ない。事実、美華は『そんな事ありません』とか言いながら、両手を頬に充てている。小娘、ちょろいな。
「うぉ! ちょい悪親父、初めて生で見た」
誰が親父だ、誰が。おっさんだけど、結婚していないから親父ではない! そんな失礼な事を初対面でぬかすのは、俺の後ろの座席に座る、やや身長が低く、しかしながらもアスリートのような筋肉の付き方をしたショートカットの可愛い女の子。おぱようって言った子だ。
「恵莉、この初対面で人を悪人呼ばわりするチビッ子は?」
「あはは、チビッ子はないよ、たっちゃん。この子は、心愛。同じクラスで、とっても面白い子なんだよ。口は、ちょっとアレだけどね」
恵莉のフォローしているんだか、ディスってんだか判んない言葉を聞いても心愛は笑ってる。
「キャハハ、ごめんなさい。目の前で、さらりと美華ちゃんを口説き落としたからスゲーと思って」
「だよねぇ。美華ちゃんモテるから、いっぱい告られて、いっぱい振ってる百戦錬磨なのに、たっちゃんに瞬殺だもんねぇ」
いや、別に口説こうとした訳では無いんですけど。それに、美華はどう見ても恋愛の達人ってゆうよりか、体を小さくしてプルプル震える小動物に見えるんですけど。
「人聞きが悪いな。口説いたつもり無いし、挨拶だけ三人みたいな美少女を口説けるなら、この世に振られる男はいないよ。改めまして、恵莉の叔父の拓留です。今日から宜しくね」
本当に挨拶をしただけなのだが、3JKが『へぇ~』といった顔や、『いや~ん』といった顔や、『おお』といった顔をしている。君達、おっちゃんと同年代に会ったことあるでしょ。いちいち、反応が変よ。
「ヤバ、叔父さんイケてるかも……。恵莉と同じクラスの佐藤心愛、バレー部所属、ポジションはリベロです。恋人募集中です。おぱよう」
最近のJKは、聞いていない個人情報まで教えてくれるんだね。スリーサイズも聞けば教えてくれるかな。でも、俺が聞いたのは別の事。
「ええっと、おぱようって何? おはようって事で良いのかな?」
尋ねなくても判りそうなものだが、おっちゃんはJK言葉にちょっと敏感なので、ここでしっかりと学んでおかなくては。
「いいえ、こういう意味です。おっぱい、だようーん!」
突然、心愛が両手で胸を寄せて突き出してきた。うん、85センチぐらいかな。カップはCかDかな。なかなか良い成長具合ですね。今後が楽しみです。
しかし、その姿、親が見たら泣くぞ。でも、まぁ、確かに、お、ぱ、よう、と字は入ってたな。
「恵莉。友達は選んだほうが良いぞ」
勿論、本心は隠して、大人の建前を言います。これが、JK愛好家の世の中を敵に回さない処世術なのです。
それに、恵莉が下ネタを口にするようになったのは、絶対に心愛の影響だろう。
「アハハ、たっちゃん、それひどっ!」
俺の言葉に三者三様の言葉で大騒ぎしているが、その様子に暗さは無い。ただ夏を迎え、羽目を外した少女たちがいるだけだった。くそ、これが若さか……。
それにしても、恵莉も可愛くて美少女の類だから、この三人の顔面偏差値はラサール高並みに高いな。
その後も3JKは、レヴォーグが走れば大騒ぎ、マリーナに到着してヴェネレ号を見て大騒ぎ、ヴェネレ号に乗り込んでライフジャケットを着て大騒ぎと元気いっぱいである。
「叔父さん、この船高いんでしょ」
心愛って、人の懐に入る才能があるね。今も、操縦席の隣の席に座りこんで、あーだこーだと俺を質問攻めにしている。恵莉と美華は、ソファーに膝立となって船内から外の景色を眺めている。
「そうね、億ぐらいかな」
JKの手前、見栄を張ってしまいました。
「億だって、しゅごーい。叔父さんは、恋人とかいるんですか?」
『しゅごーい』のは、心愛きみだよ。何の脈略も無く、ダブルスコア年上のおっちゃんに恋愛話を振るなんて。
ほら、恵莉と美華も耳をダンボにして、聞き耳立てている。いや、露骨に近寄って来たよ。
「心愛ちゃんと同じで、募集中だよ」
あくまでも大人の対応をする俺である。勿論、心の中は違う。『へっ、へっ、へっ、お嬢ちゃん。狼さんが怖くないのかい?』が本音である。
しかし、現実でやって良い事と、お金を払ってやって良い事の違いは十分心得ている。だから、心中で血の涙を流しながら、爽やかなおっちゃんスマイルを浮かべている。
「いゃーん、偶然ですね。私の事は、心愛と呼んで下さい」
「わ、私も、美華と呼んで下さい」
心愛との会話を聞き耳を立てていた美華が、突如乱入か!
「えー、駄目だよ。美華ちゃんは、美華ちゃんだよ」
残念、恵莉のインターセプトにあいました。
夏って、やっぱ解放感があるのかな。3JKとも、何かを解放しまくってるよ。そんなにストレス溜まってんの?
そんなこんなで俺は、3JKとの夏休みスタート!! ポロリは、無いよ。
夏がきたー! JKもキター!
話は変わりますが、エコでエロな僕もリサイクル大好きです。
という事で、JK回の登場人物3JKですが、JK回が終わっても、また後日登場します。
それにりに重要なポジションで。
これからも名前アリのキャラは、使い捨てにせずにリサイクルする予定です。