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多分……、宇宙もの……。  作者: わだつみ
13/94

13.その名は、ロボ太

「では他にご質問は、ございませんか? お有りでしたら、遠慮せずにどうぞ。さあ、さぁ、どうぞどうぞ」


そう促されるが、頭の中にあった色々聞きたい事は、ファンタジー系異星人の衝撃で既にぶっ飛んでいる。どうしよう、と考えていたら一つ思い出した。


「俺が、オティーリエ王女の子孫だとして、フラデツを継いでも良いの? 俺は、偶然ここへ来ただけだけど」


「総旗艦フラデツ・クラーロヴェーです。フラデツではございません。当艦を呼ぶときは、敬意を込めて総旗艦フラデツ・クラーロヴェーとお呼び下さい。宜しいでょうか」

何だか、ハッタの目が鋭いよ。えっ、怒っているの? まぁ、だけど相手がAIだとしても、大切にしている物を軽んじるのは宜しくないな。


「ああ、御免よ。まだ慣れなくてね、ついつい省略しちゃったよ」


「左様でございますか、では今後ご注意ください。では、先程の質問の答えですが……」

なんか引っ張るな。何かまだ、秘密でもあるのか?



「ぶっちゃけオティーリエ王女の子孫であれば、どなたでも良かったんです。1600年も待っていたので、もう待ちくたびれてしまいまして、来てくれたので君に決めた! ってカンジです」


「誰でも良かったんかい!!」

そりゃないよハッタさん。さっき俺は、本気でアンタの献身に感動してたのに……。感動を返せー!


「ええ、そうですね。但し、当艦の艦長として相応しくなければ、宇宙空間に放り出しますが」

こえー、こと言うな、コイツ。


「いや、艦長放り出したら、指揮官いなくなるから駄目でしょ。それにハッタは、俺の部下になるんでしょ、そんな事出来ないじゃん」


「現在も当艦の指揮権第一位は、オティーリエ王女です。これは、当時の陛下と軍務卿、それにオティーリエ王女の三名で設定しました。変更するには二名以上のパーソナルバイタルデーターを確認の上で認証となります。

 しかし皆様、もう既に他界されていますので、実質変更不可能となっております。ですので、ご主人様は永遠の二位となります。しかもオティーリエ王女から、子孫が馬鹿なら放り出せとの命令も受けてますので問題ありません」

 いや、問題ありまくりだよ。ハッが気に入らなかったら、死んじゃうってことだろ。大体、異星で作られたAIなんだから、基本となる常識が違うだろ。そう考えると……。

 あっ、駄目だこりゃ。たった一人で、宇宙遊泳している俺の姿が想像出来る。と、なるとする事は一つか。


「うん、うん、そうか、そうだよね。宇宙戦艦の艦長だものね。しっかりとした知識と経験を持った人が良いよね。

では、楽しい話をありがとう。お茶も個性的でおいしかったよ。総旗艦フラデツ・クラーロヴェーの事は秘密にしておくから、次の人が来るまでゆっくりと待っていてくれ。それじぁ、さようなら」


別れの挨拶を一気に言い切ると、豪華な艦長席から立ち上がり、入り口へ向かった。

すると、アシモ似のロボットが入り口から五台ほど入ってきて、横一列に並んだ。俺の行く手を塞ぐ気か。


「ご主人様、帰られるおつもりですか」


「ああ、AIに命を狙われる危険性のある生き方より、一人でゆっくりとスローライフを楽しんだ方が良いからね」

 確かには宇宙戦艦は魅力的だ。星々を一人旅して、時に宇宙海賊と闘ったり、滅亡した超古代文明を見つけたり、悪の帝国から逃亡中のレイアな姫を助けたりと、子供の頃に見た映画や漫画のような宇宙探検旅行が出来るかもしれない。

 しかし、何やら危険な事を平気でほざくAIと一緒に銀河の果てまで行って大丈夫なのか? このままでは、太陽系を出る前に俺は、たった一人で流星になっているような気がする。



「どうしてもお帰りになると」


「ああ、帰らせてもらう」


「仕方ありませんね、ロボタやっておしまい」


「えっ、このアシモ似のロボットの名はロボ太って言うの?」

ってな事が緊迫感のカケラも無い脳裏を駆け巡り、ロボ太をぼんやりと眺めていた。だって剣鉈一本じゃ、ロボ太五台には勝てないでしょ。

 するとロボ太は、流れるようなスムーズな動きで、ゆっくりとしゃがんでいき、両手を床に着け、五台そろって見事な土下座を同時にキメた。


「えっ?」

 頭の中は、えっ? だらけである。理解不能というか意味不明、だってバトルという名の一方的な蹂躙劇が始まるかと思いきや、今どきの日本人では出来ないであろう美しい所作で、見事な土下座をキメたのであるから。


「申し訳ありませんでした。ちょっとだけ調子に乗ってしまいました。もう待つのは嫌なんです。行かないで下さい。許して下さい」

ハッタの謝罪が聞こえたのでスクリーンを見ると、これまた見事な土下座をキメたハッタがいた。


「因みに、そのアンドロイドはロボタ(robota)です。ロボ太ではありません。いえいえ、ご主人様がロボ太と言うのであれば、今日からロボ太です」

 見事なまでの掌返しである。しかも、ロボタも『今日からロボ太』の言葉に、少しだけ頭を上げ五台そろった動きで頷いている。

 何これ、コント? それとも小劇団のコメディーなお芝居?


そんなこんなで俺は、生命の危機から脱した……のかな?

robotaとrobotnik」(ロボトニーク)が合体して、robotになったそうです。

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― 新着の感想 ―
ちょっと今直ぐ今代の帝連れて来るするしか回避できんやろ…
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