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多分……、宇宙もの……。  作者: わだつみ
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12.ファンタジー系住人の正体は……

 あの後もハッタは、サンライズをネタにした事をクドクド言っていたが、面倒くさいなので聞き流していた。まだ出会って数時間なのに、もう既に俺の態度がぞんざいになってきているような気がする。

 うん、社会人として宜しくないね。フリーランスの仕事をしている人間は、ビジネスマナーを欠いていると思われがちだが、フリーランスだからこそ礼儀正しくないと直ぐに仕事が無くなるんだよね。だから、襟を正さなければ。


 因みにサンライズのハッタのお気に入りは、オーラバトラーらしい。特にパリを炎上させた回が良かったとの事。しかし、俺の生まれる前のアニメなので良く判らん。



 

 人恋しかったから話したい事が沢山あるのだろうと広い心で聞いたんだけど、そろそろ厭きてきた。

 それにしても、何でこんなアニメに詳しいの?


 そうして散々語り満足したのか、漸く俺の質問に答えてくれる気になったみたいだ。

「では、そろそろ本題に戻りたいと思います。では、動画スタート。ポチッとな」

またまた何やら小ネタを入れているみたいだが、リアクションするとまた話がそれそうなので流そう。それに、そのネタも判らん。


 そして、オティーリエ王女の演説が始まる。

「我々の多くは、スウィン帝国を恐れつつも尊敬していた。それは、スウィン社会人民全体共和国となっても変わりはしなかった。だからこそ、多くの国々が革命後に混乱したスウィン社会人民全体共和国を支援し手助けをしてきた。

 しかしスウィン社会人民全体共和国の愚か者達は、漸く成した復興を、僅かばかりの繁栄を、己達だけで成し得たと思いこみ、増長し、慢心し、不遜な野心を抱いた。その結果が、今日の惨状だ。

 多くの国家が、自由を侵され、尊厳を奪われ、愛する者を別離を強いられた。われらの友も、その子も、スウィン社会人民全体共和国の貪欲さによって命を奪われた。それを許すのか。否、断じて受け入れることなど出来ぬ。

 今、我々が成すべき事は、手を拱いて事態を傍観する事ではない。そのような悠長な時を過ごすのは、最早過ぎ去った。そう我々は、立たねばならぬ。今、ここに集い、志を同じくする勇気有る者達と共に! 勇気有る者達よ立て! 立てよ! 勇者達よ!

私、オティーリエ・アンドルリークは、ここに誓おう。フラデツ・クラーロヴェーが健在な限り、自由の為、尊厳の為、愛する者達の為、そして友の為に戦場に立ち続けると!」


「この演説が切っ掛けで、星系連合軍の結成が決定し、オティーリエ王女は総司令官に就任。フラデツ・クラーロヴェーは、星系連合軍総旗艦となりました。以後、当艦は、敬意を込めて総旗艦フラデツ・クラーロヴェーと呼称されるようになりました。


 オティーリエ・アンドルリーク王女の言葉は、1700年経っていても俺の心激しく打った。これが戦いに臨む者の覚悟なのかと、これが兵達に死を厭わぬ覚悟を持たせたのかと。

 しかし……。しかし、今俺が聞きたいのは、別のことなんだなぁ~。なんて事を考えている間にも映像は流れ続け、俺の疑問の核心部分に迫った。



「ビタリ共和国は、シュクヴォル王国の提案に賛成しましょう。我らが共に戦えば、スウィン社会人民全体共和国を倒すなどたやすい事。勝利の暁には、オティーリエ王女、私とディナーなどいかが」

頭の上に犬耳を付けた青年が、軽薄そうな笑みを浮かべてオティーリエ王女をナンパしている。


「こちらの方は、ビタリ共和国の大使ですね。ビタリ人は、非常に社交的で、男女関係に非常に寛容です。彼らは、地球で言うところの狼が進化した種族です」


ハッタから、驚愕の事実が! 狼だってよ、狼だってさ。狼系の獣人って、孤高な戦士だろ。いや、孤高な戦士でいてくれよ。なのに事もあろうか、ナンパ種族なんて!


「戦か、儂らは好かんのぉ」

ナンパ野郎の次にそう言ったのは、樽のような体、髭もじゃの顔、ドワーフだ!


「彼は、メコノプシス国の大使ですね。農業国家で、銀河中央部の食糧の何割かを一国で賄う国家です。非常に温厚で、戦いを好まず。他国間の争いの仲裁を引き受ける事が多い国です。地球のゴリラを小さくしたような生物から、進化した種族です」

ド、ドワーフが、平和主義者? 何の冗談? ドワーフって言ったら、酒、肉、鍛冶、戦いだろ。それが……、それが……。


「そなたらに戦など、望んでおらぬよ。戦は某ら、モルダヴィアの民に任せるが良い。この戦、存分に楽しもうぞ」

何やら物騒な事を言っている戦人は、薄緑色の肌を持ち、鬣のようなブラウンの髪、縦に割れた瞳孔、そしてうなじの鱗。竜人か?


「この方は、モルダヴィア帝国の大使です。帝国と名乗っていますが、立憲君主制の民主国家です。彼らは、コモドドラゴンのような生物から進化した種族ですが非常にストイックで、寒さに弱いのに生涯に二度ほど寒冷地に己の技と心を磨きに修行に出る人達です。また、非常に義に厚く、不正を憎み、友は決して裏切らない義人としても有名です」

ハッ、ハッ、ハァ~、ドラゴニアなのに、武士っぽいって……。しかも、物語に描かれた戦国時代の武士だよ。


「モルダヴィアよ。私達を忘れてもらっては困る。スウィン社会人民全体共和国とンジェグの蝙蝠共を撃つのだろう。私達が参戦せずにどうするか。今から楽しみだ」

 キター!! エルフだよ、エルフ!! 金の髪に金の瞳、白い肌、細面の顔立ちの超がつく美女。身体つきも、とってもスレンダーでスーパーモデルのようなバァディー。正に森の妖精だ!! でも、言葉の後のニヤリと笑った顔が、なんか肉食獣を思わせるぐらい凶悪なんですけど……。


「彼女は、アスピヴァーラ国の大使です。アスピヴァーラ人は、今より3000年程前にンジェグ国の者が持ち込んだ未知のウィールスによりパンデミックが起き、それが原因で男性が激減し、999対1という歪な男女比となっている国です。

 ンジェグ国などに、アスピヴァーラ人を奴隷にしようと何度も戦いに挑まれ、生存のために遺伝子操作を自らに施し身体を強化しました。非常に細身の身体ですが、筋肉や骨の密度が他国人の数倍あり、見た目では想像出来ないほどの非常に怪力を誇ります。

 また、国民皆兵制を取っていますので、数十億人を動員できる一大軍事国家でもあります。勿論、個々の戦闘力も凄まじくモルダヴィア人にも並び立つほどで、銀河一の戦闘集団との呼び名を持っています。

 耳の長い、大型の猿から進化した種族です。

 男性が少ないので、優秀な男性を積極的に招いており、ご主人様も男気を見せればワンチャン有るかもしれませんよ」


 Oh.No~。見かけはエルフでも、中身はアマゾネスだよ。森の妖精なんかじゃなくて、戦場の死神だったよ。



「卿ら、落ち着くが良い。そう意気込まなくても勝てる算段はしてある。

 スウィン社会人民全体共和国は、急激に領土を拡張した。そして新領土保持、反乱抑制の為に戦力を分散配置している。これを各個撃破していけば、良いだけだ。

 ヤツラが、兵力分散の愚に気付いた時には、兵力比は100対65となっているだろう。まともに戦えば、負けは無い」

非常に冷静に、かつ理論的に現状と戦略を説明していたのは、身長120センチ程度の小さな男性。天然パーマで幼い顔つきだけど、知性溢れるあの表情は成人だよね。あれか、映画にもなった指輪物語のハーフリンリグか。


「星系連合軍の参謀を務められたハイデラント国の方です。身体は小さいですが、智謀は無限と言われる種族で、多くの思想家や哲学者を輩出しております。

 彼らは良く思索に耽るので、ビタリ人には『堅苦しい』とか『根暗』などと言い募りますが、多くの他国人はハイデラント人とビタリ人を足して二で割れば親友になれると言います。

 ハイデラント人は、少し耳が長い小型の猿が進化した種族です」


 陽気で、酒好き歌好き踊り好きのハーフリングが……、思想家や哲学者に戦略家って、何の冗談? 映画化してもぜってぃにウケないね。


「ハ、ハッタ、もう良いよ。もう十分です」

本当に、もうお腹いっぱいです。

 だって、陽気なナンパ野郎の狼獣人。戦いを避ける平和主義なトワーフ。武士でストイックな竜人。アマゾネスで戦場の死神なエルフ。思慮深く陰気なハーフリング。

 そりゃー、ファンタジーから発生した勝手な思い込みだけど、ここまで現実と違うと、なんか辛い。なんか、違う。


「そうですか、まだこれから、虎や兎などの哺乳類がが進化した種族や孔雀のような鳥が進化した種族が登場するのですが」


 確かに、猫ミミやウサミミを持った人が映っていたのを見た。孔雀は、覚えていない。勿論、猫ミミやウサミミ……、猫ミミでなくて虎ミミか。どっちでも良いが、興味は有る。

 しかし、これ以上の色モノが出たら俺がもちません。また今度、精神が回復したら教えてもらうとしよう。



そんなこんなで俺は、ファンジーと現実の違いと宇宙の神秘を知った。

皆さんが、良くご存じのホビ○トという名称は、2043年まで自由に使えないそうです。

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