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episode.5 バイト

高校に入るときに、俺はバイトを始めた。つまり両親がいた時からバイトはもうすでにしていたことになる。親の金にできる限り頼るのが嫌で始めたバイトがサイゼットである。


「おはようございます。」


「おはよう。最近大丈夫だった?なんかあったらなんでも相談していいからね。」


バイトに来たのが久しぶりということもあり、店長に心配された。


「ほんとにすみません。結構お休みをいただいてしまって。」


「いいのよ。飛雄くんは妹たちのために毎日頑張ってるんだから。その代わり今日は、頑張ってもらおうかしら。」


店長は笑いながら俺にそう告げた。


「はい。休んでた分も頑張ります。」


「おはようございます。」


店長と話していると、もう一人俺の同じ出勤の女の子が入ってきた。


「飛雄。おはよ。もう体調は良くなったみたいね。」


七海だ。言ってなかったが七海は隣の席の友人でもあり、バイト仲間でもある。


「あーあの時はありがとな。七海が帰れって言わなきゃ俺は無理してでも残ってたかもしれないからな。」


感謝を伝えると、七海の顔が赤い。でも暑いからなんだろうな。


「よし。着替えるか。」


「そーだね。」


学生だからということもあり、時間はいつも18時から22時までになっている。


「お疲れ!飛雄くん、七海ちゃん。」


「「お疲れ様です。」」


「今日は思った以上にお客さんが来たから、二人がいてくれて良かったわ。」


俺と七海は店長に気に入りられている。


「それじゃおつかれさまでした。」


「お疲れ様でした。」


「飛雄くんちょっと待って」


更衣室に行こうとすると店長に呼び止められた。


「今度、飛雄くんと七海ちゃんの一つ下の女の子が入ってくるから飛雄くんに色々頼むからその時はよろしくね。」


「え?なんで俺なんですか?七海でも良くないですか?」


店長は何かを考えようにしてやがて口を開く。


「それは、飛雄くんがここで優秀なってこともあるけどなによりその子、飛雄くんのことを知ってるみたいだったからお願いしようかと思って。」


七海が横から睨んでくる。


「なんだよ。」


「いや別に。」


七海はそう言うと、着替えに行った。


「その子の名前なんですか?」


俺は七海がいったのを確認して聞いてみた。


「えっとまだ秘密にしておこうかしら。お疲れ様。」


店長はそう言って笑いながら厨房に戻っていった。

着替えを終え、外に出ると七海が待っていた。


「お疲れ。」


「で!誰だのその女の子は。」


なんかいきなり責められた。


「俺もわかんない。名前教えてって言ったけど、店長がまだ秘密だって。」


「はぁ!なにそれ。飛雄どんだけ女の子をたぶらかしてるわけ。」


「お前、人聞きの悪いこと言うな。」


七海は不機嫌そうに帰っていった。


高校1年となると、明里と同じってことになる。帰ったら明里に聞いてみることにしよう。


「ただいま」


「「おかえりにぃに」」


もう22時半だと言うのに、夢と叶はいつもこうして玄関に来てお迎えをしてくれる。


「迎えはありがとう。だけどもう夢も叶もお姉さんなんだから抱きつくのはやめたほうがいいぞ。」


夢と叶は不機嫌そうになり、頬を膨らませる。


「やだ。夢はにぃにが大好きだから毎日こうするの。」


「叶もにぃにのこと、一番好きだから離れない。」


俺は嬉しい気持ちもあるが、不安にもなってきた。


リビングにつき明里がいつものように、リビングにいた。


「あ、おかえり。お兄ちゃん。ご飯食べる?」


「あー頼む。」


俺はひとまず部屋に戻り、リュックを置き、手を洗ってリビングに戻った。


「いただきます。」


明里が俺の向かいに座って俺を眺めている。


「明里。そーいやさ明里のクラスとかで最近バイト始めそうな子とかいるか?」


「え?なにそれ?急にどうしたの?」


「いやなんか今日店長に俺の一つしたの後輩が今度入ってくるかよろしくって言われて、俺のことを知ってるならしんだよ。」


明里は固まっている。


「どうした?」


「あ、そうゆうことね。ウチは誰かわからないけど、お兄ちゃんって結構うちのクラスでも人気だから知ってる人はいっぱいいると思うよ。」


明里が人気といってるのは確かにいやでも俺にはわかる。だがこの話は後々にしておこう。


「つまり明里は知らないってことか。ありがとう。変なこと聞いて悪かったな。」


「ううん。」


俺がまた箸をすすめていると、


「お兄ちゃん、手を出さないでね。」


いきなりそんなことを言ってきたのでむせてしまった。


「出すわけないだろ。」


「お兄ちゃんなんかだし、その子もきっとお兄ちゃんのことが好きで・・・・・・でも私だってお兄ちゃんのこと大好きなんだから」


明里がなんかぶつぶつ言ってるが、俺は自分の咳で聞こえなかった。


数日後、とうとう後輩がやってくる日になった。


「おはようございます。」


「おーきたきた。今日から入る近藤雛ちゃんだ。」


「近藤雛です。中山さんよろしくお願いします。


恥ずかしそうにそう言った。高校の制服が一緒だから同じ高校はわかったけど、俺はその子を知らなかった。


「あーよろしくね。近藤さん。」


ちなみに中山は俺の名字。


「じゃあ飛雄くん、雛ちゃんをお願いするわね。」


「はい。わかりました。」


俺はそれから、基礎的なことや、ポジションのことを教えてあげて、あっという間に終わってしまった。


「お疲れ様。近藤さんすごく覚えるの早いね。俺驚いちゃったよ。」


「いえいえ、中山先輩がわかりやすく教えてくれたおかげです。」


すごく恥ずかしそうにいってくれた。


「よし。じゃあ今日はこの辺で上がろうか。」


「はい。」


そういって店長に挨拶をし、近藤お店を出た。


「近藤さんお疲れ。仕事は続けられそう?」


「はい。とても楽しかったし、店長もとてもいい方ですし、中山先輩も優しくて・・・」


だんだん声が小さくなっていき、最後の方が聞き取れなかった。


「それならよかった。」


「あの。中山先輩。」


顔真っ赤にしながら俺と視線を合わせる。思わず俺もドキッとしまった。


「これから一緒にこうしてバイトをしていくわけですし、私も、中山先輩のことを、飛雄先輩って呼んでもいいですか?」


顔がもう沸騰するぐらいまで真っ赤になっている。


「え、あ、うん。そんなことなら全然いいよ。」


俺の答えが聞けて安心したのかホッと一息ついた。


「わ、わ、私のことも雛って呼んでくれませんか?」


また近藤さんの頬が真っ赤に上昇した。


「うん。わかったよ。でも雛ちゃんでもいいかな?


真っ赤になりながら言葉を発せず首だけうなづいた。


「雛ちゃん」


「・・・」

 

返事がない。


「おーい雛ちゃん」


「おーつーかーれーさーまーでーしーてーたぁぁ。」


顔を上げたと思ったら逃げていってしまった。俺もとりあえず帰ることにした。


「近藤雛ちゃんって子だったよ」


帰って明里に聞いてみる。


「う〜ん私もわかんないかな。同い年でもクラスが7組まであるからね」


それから数日が経ち、雛ちゃんはすっかりサポートなしで出来るようになった。


「雛ちゃんお疲れ!」


「お疲れ様です。飛雄先輩。」


「うふふふふ」


店長は俺たち変な笑い声を向けてきた。


「店長どうしたんですか?」


「別になんでもないわよ。七海はどうするのかしらふうううう。」


店長がなんか呟いているが、俺は途中で更衣室に向かった。外に出ると雛ちゃんが待っていた。


「飛雄くん先輩、お疲れ様です。」


「あーお疲れ。別に待ってくれなくて良かったんだぞ。」


なにやら雛ちゃんがもじもじしはじめた。


「飛雄先輩さえよければなんですが、アドレス交換しませんか?」


「いいよ。」


俺はすんなり言った。何かあった時のために持っていたほうがいいからな。


「ありがとうございます。」


こうしてまたいつものような日常が始まったのであった。



















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