episode.2 勉強
「突然だが、今日テストを行う。筆記用具以外しまってくれ。」
「きいてないっすよ。そんなの。」
クラスメイトが声を上げ、教室がざわつく。
「そうだろうな。今言った通り、さっき決めたことだからな。全学年同じ共通テストをしてもらう。」
みんな納得しない様子で筆記用具意外を机にしまった。
「じゃあ始め!!!」
翌日、テスト結果が張り出される。
「雄スゲェーな。学年9位なんて。」
友人の1人である聡太に褒められた。
「おう、サンキュー。お前はどうだったんだ?」
聡太は一瞬ビクッとなったが笑って誤魔化した。
俺は聡太の名前を探した。
「おい、下から数えた方がはえーじゃん。」
「まぁ、急だったし俺の本当の実力はこんなもんじゃないから」
またもそういいながら誤魔化すのであった。聡太と話していると、明里と目があった。
「お兄ちゃん、すごいですね。学年9位なんて」
「いやいや5位の明里に言われてもな。あははははは」
「私は毎日しっかり勉強してるので、このぐらいはとらないと。それに比べてお兄ちゃんは、毎日バイトして、夢や叶、空の面倒を見てるから、お兄ちゃんが私みたいに勉強したら1位になっちゃうかもしれませんね。」
家に帰ると未来がテーブルでノートと紙を見て、頭を抱えていた。
「どうした?」
声をかけると、体をビクッとさせ、紙とノートを隠した。
「え、いやなんでもない。」
「そうか」
俺は無理に聞くのもアレだし部屋に戻ろうとしたが
「待って。雄にぃ!」
5秒くらい間が空いて未来が口を開ける。
「雄にぃ勉強得意だよね?だったらうちに教えてくれない?」
「・・・」
「なんかいってよ。」
「あ、すまん。そんなことか。俺はもっと深刻なことかも思ったぞ。」
「そんなこととはなによ。私にとっては大切なことなの。雄にぃと一緒の・・行くためには。」
なんか最後の方が聞き取れんかったけどまぁいいか。
そう言ってさっき隠したノートと紙をテーブルに出した。
「明日テストだから自己採点してた。そしたら平均点以下だった。」
「そうゆうことだったんだな。でも偉いな。きちんと勉強するのは。」
「もぉ〜うっさい。バ〜カ〜」
未来は恥ずかしそうにそう言った。
「今日はあんがと。教えてくれて。明日頑張る。」
「おう。頑張れよ。おやすみ」
「おやすみ」
翌日、俺がバイトから帰ってくると、未来がテストを持ってやってきた。
「じゃ〜んどうよ。」
「おお、75点か。すごいじゃないか。」
「まぁうちにかかればこんなもんよ。」
昨日の今日でこれほど成長するとはやっぱり未来がやればできる子なんだな。
「よし。この調子でいって、雄にぃと同じ高校に・・・」
「なんか言ったか?」
「ううん、なんでもない。」
何か言ってた気もするが、よく聞き取れなかったし、納得してしまう。
「そうか。」