Part1
焼肉食べたい。
ある日、僕は蛾を殺した。
理由は簡単だ。
八つ当たり。
僕は親友と喧嘩をした。
「あいつが悪い。」
そう口にしながら、蛾を潰した。
この時は、ただ感情に任せていただけだった。
あんなことになるなんて知らずに。
その日の夜、僕は悪夢を見た。蛾が出てきたんだ。
蛾はこう言った。
「お前を忘れない。お前が招いた悲劇によって大切なものは全て失われる。」
と、驚いて飛び起きた。しかし、冷静に考えてこう呟いた。
「ベタじゃね。夢だし。」
正直どうでもよかった。眠りを妨げられたんだ。その怒りがでかい。
「まあ、いっか。もう一眠りしよ。」
無事寝れて、朝を迎えた。
もう昨日のことなんか忘れた。親友と仲直りしよう。
そう思いながら、リビングに行っても誰もいない。
いつもなら母が台所にいて、父がテーブルで新聞を読みながら朝ごはんを食べている。なんでもなさすぎて逆にレアな日常がない。
「まだ寝てんのか?」
寝室に行く。
「うわぁ!なんじゃこりゃー!」
逆にこれをいう人はいるのかというような声が響いた。しかし、それぐらい驚くことだったのだ。
親が死んでいる。しかも、手と足が無くなり血だらけだ。見るに耐えない。果たして何が起こったのか。皆目見当も付かず、僕は泣いた。親が死んだのだ。それはそれは泣いた。学校に行かなかった。警察にも、救急車にも連絡をしなかった。電話の使い方よく知らないから。
「泣いたら腹減ったなぁ」
冷蔵庫には何もない。
「なんで何もないんだよ。」
急に親にキレた。死んでるのに。
「しゃあなし、外行くか。」
と、外に出てみると、そこは昨日までの世界ではない。なんかこう違和感を感じたのだ。見た目的に。僕は学校に行ってみた。学校には人の死体が山積みだった。なんとそこには親友の死体?もあった。なぜ「?」なのかと言うと微妙に生きている感じがしたからだ。何があったか聞いた。そうすると、彼は死にそうな声で喋った。
「蛾だ。蛾が急に現れて、俺らを殺していった。その蛾は喋ったんだ。お前の名前を言いながら、」
は?どういうことだ。なんで俺の名前を?
「俺らを全員食い殺した。」
問い詰めようとしたがもうなんか無理そう。最後に彼はこう言った。
「昨日は...ごめ..ん。お...れが....悪か...た。じゃあ.........な。」
聞こえねえよ。もっとはっきり言えよ!そう思いながら、僕は泣きながら、
「そうだよ!お前が悪かったんだよ!だから罪を償ってもらうために、生きてろよ!許さねーぞ!」
こんなくせーセリフ自分でも言うと思ってなかった。僕は、こいつのためにも蛾を探して倒そう。そう考えた。しかし、ここで僕は思い出した。昨日の夢で蛾が僕の大切なものを全部奪う、と言っていたことを。
「あの夢は本当だったのか。」
急に怖くなった。昨日蛾を殺したことがこんなことを招いたのであれば、感情に任せてあんなことしなければよかった。僕は立ち上がる。座っていたから。そこら辺にあったなんか強そうなものを持った。鉄パイプみたい。僕は走り出す。蛾がいそうなところへ。
なんでいつもの風景だったのに違和感があったのか。なんで学校の人みんな殺すんだよ。少し、大雑把じゃね。
そんなことを考えながら行った場所は、僕の所属するサッカークラブのところだ。案の定そいつはいた。
「なんかデカいのがいる!あれがあいつの言っていた蛾なのか?デカすぎるだろ。」
急に体が動かない。遠目で見ても分かる。絶対勝てない。だって今、コーチが食われそうになってるんだもん。でも、大好きなコーチが食われるのを遠くから見ているのは漢じゃねー。僕は突っ走る。蛾に向かって。持ってた鉄パイプで殴りつける。蛾は怯む。
「うわぁぁぁ!」
どすっ!鈍い音がした。僕は返り血を浴びた。蛾は倒れている。僕の勝ちだ。コーチに駆け寄った。
「大丈夫?僕が蛾をやっつけたよ!」
しかし、コーチは僕の後ろを見て、何も言わずに青ざめた顔をしている。振り返ってみた。さっき倒した蛾を食べている新しい蛾がいた。その蛾はこっちを見てこう言った。
「オマエヲ、コロス。」
僕に飛びかかってきた。僕は目を瞑る。ああ、僕の人生ここまでか。しかし、なんともない。目を開けてみる。コーチが庇ってくれていた。目の前で僕の大好きなコーチが死のうとしている。コーチは言った。
「なんか知らないけど、大切な教え子のために死ぬってのはある意味本望だぜ!お前は逃げろ!」
血が飛ぶ。もう何も考えられない。足が動かない。僕はもう死ぬ。というかもう死にたい。コーチの死は無駄だった。僕はそのまま食われた。コーチと一緒の場所に行けるならこれでいい。これ以上この蛾によって死ぬ人が出ないならそれでいい。僕の人生はここで幕を閉じた。
蛾は止まることを知らない。標的は殺したはずだ。
「マダ、タリナイ」
そう言うと、蛾は飛んでいった。
To be continued
もっと寝たい




