バイト先の彼女へのデートの報告①
一ノ瀬視点について多くの方々からご意見を頂きました。送ってくださりありがとうございました。m(_ _)m
概ね好評だったみたいなので今後もたまにぐらいの頻度で出していきたいと思います。期待してお待ちください。
続いて
これで3週連続、またしてもレビューをいただきました!こんなに貰っていいんでしょうか!?Σヽ(゜Д゜○)ノ
レビューを下さった優希さん、ありがとうございます!こうしてレビューにしてまで魅力を伝えてくださって、本当に励みになります。(*・ω・)*_ _)ペコリ
(ちゃんと報告しないとな)
デートの計画を立てる際にはかなりお世話になったので、事後報告は必要だろう。それに次のデートのためにも柊さんの話は聞いておきたい。
柊さんにはデートの報告するためいつものように裏口で待とうと扉を開けると、既に柊さんがいた。どうやら先に着替えが終わっていたらしい。
「あ、お疲れ様です。柊さん」
「お疲れ様です……田中さん、確か先週末は例の方とデートでしたよね?」
「はい、色々ありまして。聞いてもらってもいいですか?」
「構いませんよ。その……私もどんな感じだったのか気になっていたので、待っていたんです」
ほんの少しだけ頬を桜色に染めてそう告げる柊さん。なるほど、柊さんが待っていたのはそういう理由だったらしい。なぜそんなに恥ずかしそうに言ったのかは謎だが。
「じゃあ、早速……といいたいところですけど、少し寒いですね」
いつものように話し始めようと思ったが、ぴゅうっと冷たい風が頬を撫で外気の寒さを体に染みつけた。
今日は普段以上に寒い。確か天気予報でも十年ぶりくらいの大寒波と言っていたのでそのせいだろう。流石にここで話すには寒すぎた。
「近くにカフェがあるんで、そこで話しませんか?」
「えっと……」
俺の提案に少し迷うように視線を左右に揺らす。
ああ、そうだった。最近は快く相談に乗ってくれていたので、彼女が異性を苦手としていることを失念していた。一瞬断られるかもと思ったが、「いいですよ」と了承してくれたので、ほっと安堵する。早速、目的の店に向かった。
徒歩三分程度のところに一軒のコーヒー屋さんがある。自分がバイトをしている店と違ってコーヒーとデザートを売りにしている店で、料理は提供しないので上手く共存しているらしい。あとは価格帯が違ってこっちのコーヒー屋さんの方が安いのもあるのだろう。
お店自体は夜遅くまでやっているので、ちゃんと開いていた。中へ入ると暖かい空気が体を包む。ほっと少しだけ気が緩む。
「いらっしゃいませ」
レジに人は並んでいなかったので、真っすぐにレジへと進む。メニューを眺めて注文する飲み物を決めていく。
「柊さんは何にしますか?」
「私はこのカプチーノのМサイズにします」
「カプチーノですね」
自分の分と柊さんの分を注文する。すぐに二つ完成したので受け取って、近くの席に座った。
「あの、お金……」
「ああ、いいですよ。普段相談に乗ってもらっているのでそのお礼です」
こんな程度では決して全ての恩を返せたとは言えないけれど、それでも気持ちは伝わるだろう。そう思って言ったのだが、柊さんは首を振った。
「ダメです。そうはいきません」
「いえ、本当に……」
「少し待っていてください」
どうやら柊さん的にはダメだったようで、すたすたとレジの方へ行ってしまう。少し待つとお皿を持って帰ってきた。
「あの……」
「これは、私からです」
そう言って、俺の前にショートケーキを置いた。これでおごられた分は返す、という意味だろう。彼女がそういうのなら受け取らないわけにはいかない。しっかりと頭を下げる。
「分かりました。ありがとうございます……でも、ほんといつも相談に乗ってもらって何か返したかったのですが……」
「気持ちだけで十分ですよ。相談のことは気にしないでください」
あっけらかんとした感じに言うので どうやら本当に相談のことは気にしていないらしい。その柊さんの態度に少しだけ気持ちが軽くなっていると、さらに柊さんは小さく言葉を付け足した。
「それに……私にとっても相談は大事なことですから」
「大事?どういうことですか?」
柊さんの呟きが気になり思わず聞き返す。すると柊さんは焦ったような上擦った声を上げた。
「え!?えっと、その……な、内緒です」
そう言って、わずかに頬を赤らめながらしーっと口元に人差し指を立てた。




