出会い3
主要キャラがまだまだでます。登場回おわったら、やっと本編が進みそうです笑
うわー、注目されてるなー。いつもは喧騒感のある体育は、明日原の参加でさらに拍車がかかっていた。窓からは明日原が伸びをしただけで悲鳴と歓声が上がる始末だ。
「あぁ、本来なら団体行動をやる予定だったが」
そこで一度区切り、深々とため息をついた。体育教諭の火花先生は、窓の方へ親指を指した。
「さっき、教頭から苦情があってな。急遽グラウンドでできなくなった」
まぁ、こんなに注目を浴びれば当然か。周りを見回すと、同意するように男子が首を縦に振る。てっきり抗議でもするのかと思いとしに尋ねると、「集団行動がだるいからじゃね?」とすげなく答えた。
赤と茶色を混ぜたような色の髪をした女の子が手を挙げた。
「じゃぁ私たちは教室で自習ですか?」
「まぁ、まて。話を聞け」
火花先生はなだめるように手を上下に振った。そして手をポケットに突っ込むと、中から鍵を取り出しぷらんぷらん揺らした。
「ほれ、代わりと言ってはなんだけど、体育館を借りてきた。だからバレーでもしようか。ちょうど昨日バレー部がネットをたたまなかったらしいしな」
その言葉を聞いて、さっきまでおとなしかった男子一行は、いきなり走り出した。
「うっしゃー。やっと団体行動やめれるーー」
「くそつまんなかったーーーー」
不満の声を上げながら、最低限の準備をする。
チームは男子と女子が混ざってざっくり半分にした。団体行動できないのに、息は合うんだよな。
試合が始まる。明日原は一緒のチームで、運動神経がいいのか、すげー点を取ってる。そのたびに敵味方問わず、雄叫びがこだまする。しかし、相手にバレー部がいるのか、終始一方的なままゲームが終わる。最後に決めたのはあの明るい髪の子だった。
休憩中にとしに聞いてみた。
「はぁ、はぁ、お疲れ。あの赤髪のやつ何者?」
「あぁ、お疲れ。すげーつかれてそうだな」
「余計なお世話だ。んであいつは?」
「桜川千夏。バレー部所属の優等生。たしか中間で10位いない入ってた」
まじかよ。すげーなと感心していると、それだけじゃないと付け足した。
「一昨日さ、聞いた、んだ。彼女、優秀だからこそ悩んでるんだって」
「何を?」
「部活やめるんだと」
としはゆっくり立ち上がると、コートに戻った。チーム替えをして、件の桜川と同じチームになった。跳んでる姿は綺麗で、かっこよくて、部活を辞めたがっているようには見えなかった。
授業が終わり、体育館から出たらすぐにタオルを差し出された。
「先輩っ。お疲れ様ですっっ」
お読みいただきありがとうございました!