↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブキャラ、はじめました。  作者: ドクターみかん
青年編
44/67

第十四話 異世界勇者タナカさん【005,006】

005.

僕は国王から、この世界には「魔王」がいて、その魔王によって世界が危機に晒されていること、そしてこの世界でこの世界を救うことのできる人間は「僕」しかいないことを聞かされた。


普通の人間であればそのことに喜びを感じたであろう。


自分にしかできない能力を、舞台の中央に立って見せびらかすことができるわけで、それを拒む人はいないと思う。


でも、僕は違った。


僕は、そんなもののために生き返ったんじゃない。


僕にとって、生き返ってまでしたかったことはこれじゃない。


もしもあの時の死神がこの場に現れて、僕に助言するとしたらどのような風に言っただろうか。生き返る代わりに勇者になるという使命を与えられたのだから、その使命を全うするべきか。勇者になるという選択を呑みながら、だらだらと生きながらえて、趣味として自分のやりたいことをするような折衷案をとるべきか。


否、そのようなことは言わなかったであろう。



僕はあの時、決心したのだ。二度と後悔しない人生を送ろう、自分にとって悔いのない人生にしようと。


だから僕は、勇者であることを拒否し、国から逃げて、日本料亭をつくることに決めたのだ。


006.

僕がその意思決定をすれば、当然僕は、「勇者は勇者でなければならない」という当たり前の大義に背いたことで命を狙われる。


そのため僕は、この街から逃げることにした。この街から逃げ、ひっそりと身を隠しながら料亭を営めば、なんとか生きることができると思っていたのだ。




しかし、そんな考えは甘かった。


僕がその街を出ようとした時には、僕は既に多くの兵に包囲されていた。


僕はその光景を今でも覚えている。

そして僕はその壮観な様子を見て絶望した。


凄まじい数の兵隊が私を探し出そうと血眼になっているその様子。私は結局逃げることすら出来ず、死んでしまう。


僕はあの死神を恨んだ。


せっかく生き返ってもやり直すことはできなかったのか。僕はそう思って、絶望した。



僕が諦めかけたその時だった。


僕は「誰か」に手を掴まれ、穴の中に引きずり込まれていた。


「大丈夫か?」

僕の顔を覗き込んできたのは厳つい顔をした男だった。


そしてその男は僕を見て、「やりたいことがあるんだろう?なら、こっちに来い。」と言い、洞穴の中に入っていった。



何時間歩いただろう。

僕たちはその洞穴を歩き続けた。



僕は体力の限界で倒れそうになりながらもその男について行った。


ここで諦めるわけには行かないんだ。

その気持ちだけが僕の支えになった。


「あそこだ。もう少しで外に出るぞ。」

その男は洞穴の先に見える微かな光を指さした。


僕は最後の力を振り絞り、その男に続いた。


洞穴の出口を出ると、そこには、小さな村があった。


見るからにみすぼらしい家が立ち並び、ところどころ瓦礫が広がっていた。


「ここだったら大丈夫だと思うぞ。まあ、こんな村にはさすがに追手が来ないだろう。俺たちは国王様を止めておくから、お前はやりたいことをやりな。」


「なんで僕のことを助けてくれるんですか?」


「俺たちの仕事は勇者様を守ることだからな。まあとにかく元気でいろよ。」


そしてその男は、「せいぜい頑張れよ、勇者様。」と言い、洞穴へ消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。