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全然駄目だ

 歌峠鈴花うたげすずか春速蒼動ファンタジアという魔法を使い。まるで風船の空気を緩めるように湘南桃花とレジェンドマンの『力の気を抜いてゆく』、パワーという名のエネルギーだけではなく精神の方にも作用し無気力になってゆく。

「力の入れ過ぎよ、腕相撲じゃないんだから」

 レジェンドマンは自分の力の入れ過ぎを嘆いた。反省したので『普通のパンチ』より弱くするように努める。

「そうだな、では空気中に弱々しくデコピンをしよう『凄く弱いデコピン!』」

 ピン。デコピンの空気の振動により、四重奏に全体攻撃となって襲われる。4人とも足をすくわれた。威力とは無縁の回復に転じたデコピンは。マイナスイオンのように弛緩しかんした。ものすごい勢いで4人はリラックスして脱力して倒れた。

 だらん。倒れてうつ伏せになった超気の疑問に鈴花が答える。

「な、何だこれ、力が入らねえ」

「だ、脱力よ。超気がいつも力を内側に貯め込んで放出するように。レジェンドマンは力を外側に逃がした」

 レジェンドマンは、しまったと変に悔やむ。

「む、しまった『弱すぎた』か」

 場違いになる余談だが、『最果ての軍勢』がこの技の上位互換を使うと場の空気感。空間に作用し脱力、即ちお笑い空間。歪曲空間が出来上がる。シリアスごとぶち壊す路線変更には、変則性が発生してやはりお話にならない。今回の『凄く弱いデコピン』は体内のみに限定されており。全体攻撃ではない事は補足しておく。

 地べたに這いつくばる遥和は「なんなんだこいつら」と苦笑いをし、照礼は「極端すぎる……」ハニカミ笑いを浮かべた。

 桃花より断然厄介な人物が現れたなと感じた四重奏、桃花は肩をポキポキ鳴らしながら雑談をする。

「争いは同じレベル同士じゃないと発生しないっていうけど、あんた達じゃ話にならないわね」

 桃花とオーバーリミッツのコンビで互角の戦いをしていたのに、レジェンドマンとミュウが加わったので。形勢逆転どころか、形勢圧勝のような形になっていた。

 が。

「まだわしの攻撃は終わっとらんぞぉ!」

 時空間が遅れてやって来た。

 脱力しきった四重奏に、追撃で、子供の緊張感を持った物理攻撃が空気の振動波として。宇宙戦艦ヤ〇トのような波動砲がゴオ! と発射され四重奏は後ろへ、【彼の地】の彼方まで吹き飛んだ。だがミュウは『超気を信じて』言う。

「こんなもんじゃないだろ! 超気!」

 彼の体の中にある冷静と情熱が混ざり合い。死ぬ気ではない、本気の雷が響き始めた。

 それを感じて、何故だろう。湘南桃花は愛情と存在が混ざり合い、瞬動。超気と桃花の拳が激突した。

 桃花は単的に、根本だけを叫ぶ。

「ここで潰す! その雷は危険だ!」

 ここも自然と心のままに超気は言う。

「何を恐れてんだ?」

 湘南桃花にザワリと鳥肌が立った、こんな感覚はいつぶりだろうと一瞬思ったが。それが疑念から確信に変わる。

「確信に変わった! 獲る! 前進一歩!」

「桃花! そいつの相手はわしじゃ!」

 ミュウが口を挟む。

「……ッ!? くッ!」 

 桃花は任意全能の力によって瞬間移動をした、レジェンドマンとミュウの元まで戻る。

 桃花は微怒を抑えながらレジェンドマンをみると、レジェンドマンはそうしろと力強くうなずくのみだった。

「じゃあ気兼ねなくやんなさい! 運命の糸よ! かの者達に楔となって結びつけ!」

 桃花、鈴花、遥和、照礼の4人の右手首に運命の糸が可視化されたチェーンが繋がった。

「チェーンデスマッチと行こうじゃないの、いつかの時みたいにね。ついでに『私達4人には』重力ありに設定しといた」

「コンノー! 身に覚えが無いけど! やっったろうじゃないよー!」

 何故かブチギレ、全力で怒りに囚われて鈴花は疾走した。桃花は思いっきり冗談交じりに悪い顔をして遊んでいた。

「魅せてやるわよ! 黄金の夢ってやつをよぉおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおーーーーー!」

 遥和も照礼も鈴花を追うように駆けだす。

「上空は超気とレジェンドマンの領域ってことか、面白れぇ!」

「自信過剰もいい所ね! 望むところよ! 返り討ちにしてあげるわ!」

 心のエレメンタルを3人は起動させる体制に入った。

「「「心のエレメンタル! ドロー! 名は……ッ!」」」

「約束ッ!」

「護るッ!」

「命ッ!」

 ちなみに、湘南桃花には心のエレメンタルが『無かった』かと言ってこの3人で隠し玉が無いのは分が悪い。桃花は舌打ちして。自身の歴史の象徴たる大剣『吸血鬼』で迎え撃つことにした。



 【彼の地~星空(スターダスト・境界線スペースゼロ~】その上空、観客であるヒーロー、悪役、一般人は超気とレジェンドマンを『上と下から観ていた』鏡が上下に映し出されているようだった。どっちが本物だとか言うのはこの場合些細な問題で、そんな概念が無かった。ただ皆は上下を見守り歓声をあげ応援する。

「正義は負けん!」

「うちは勝つ! 超えてゆく!」

 ミュウが『口を挟んで来た』、手を掲げ過去を思い出すかのように。

「なら超えてみな! 全ての『傷と悪夢』よ甦れ! タイムショック!」

 ドゴン! とこれまでにない衝撃波が【彼の地】全体に響く、が、これも『悠長に数秒』。遠雷のごとく超気は始めて『超えてきた』。

「『ああダメだ、全然駄目だぁー!』うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃだりゃあぁああああああああああああああああああああああーーーーー!」

 レジェンドマンと超気が打ち合いをしているさ中、ミュウは本当に信じられないと言うような顔をして唖然としていた。

「あ、有り得ない……ッ!」

 レジェンドマンは悟すように言う。

「ミュウよ、お前は言ったよな。想像を超えろ、想像を超える全力で。でなきゃ相手に失礼だって」

「え……、あぁあ……」

「今度はお前が返す側に、与える側に来たんだよ」

「つ、つまり」

「『お前が、お前自身の想像を超えろ』そして与えてやれ」

「……誰に?」

「全てにだ、無理にとは言わない。少しずつでいいからな」

「…………ッ」

 レジェンドマンはミュウに向けていた顔を超気に向ける。

「話は変わるが超気。お前は『ラスボス』を超えるんだったな」

「ああ!」

「ならばついでに『伝説』も超えてもらおう」

 微塵の迷いもなく、即答した。

「ああ! 心のエレメンタル、ドロー! 名は! 誇り!」

 超気はノリと勢いと決意で輝く星々を全部纏って【マスターフォーム】になった。通常の黒の世界線、過去に戻って誤差修正する紅い世界線。世界の一方通行の蒼の世界線。世界と世界を渡る金色で出来た神速の世界線。

「面白い! それでこそキミだ!」

 レジェンドマンは雄々しく構え直す。

「うおあぁああああああああああぁああああああああああああああ!」

 超気が理由もなく叫ぶと、『【マスターフォーム】が合唱し』死んだ星々が輝き出す奇跡が起こった。そして雷の奥義を放つ。

「秘奥義! 『天の光は全てマオテラス』ッッツ!」

 ふん! とレジェンドマンは『普通のパンチ』で衝突させた、その力が互角だった。ここまでやってやっとレジェンドマンと互角だった。虚栄という名の玉手箱はもう空っぽだった。クイクイ、と手でかかって来いよの動作をする。

「さあ、速く私のステージまで上がってきなさい!」

 これまた超気は迷いなく、根拠も何も持ってない状態で自信たっぷりに笑いながら言う。カケラが、光が笑顔を浮かべながら。

「オウ!」


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