全ての因縁に1つの決着を
別に難しいことを考える必要は無い。
ここに居る6人、正確にはオーバーリミッツとミュウは霊体なので8人だが。
この8人を休憩地点まで導けばいい。そうすることによって後から続くものへの希望となる。
倒れていった者たちの願いという名の足跡も辿りながら、ゆっくり確実に一歩ずつ進めばいい。
それだけでいいのだ。遅いか速いかの違いはあれど、いずれ必ず時は成る。
だって望みに望んだ結末の決着なのだから。これから先も時は続いていくと知っていても。
今、一つの形を成そうとしている。
この【彼の地~星空の境界線~】で。
また新たな、全ての因縁に1つの決着をつける時が来た。
◆
本来、霊体であるミュウの力はなんでもできるようになっているのだが。
憑依する人物によってその人物の体が耐えられる、もしくはその人物の身の丈に合う能力にカスタマイズする必要がある。
よって能力は憑依体である人物の性格を色濃く出す表すものとなっている。
ステータス
名前:レジェンドマン:憑依ミュウ
職業:ヒーロー
耐性:水
弱点:雷
能力名:何可一杯により、数多ある能力のうち1つのみを使用する。
聖杯の源泉
レジェンドパンチ:ただの水を圧縮したパンチ
レジェンドキック:ただのお水を圧縮したキック
レジェンドレーザー:ただの水を解き放つレーザー
4人の勇者が前を歩く。
1人は己の罪と罰の為に。
1人はもう逃げたくないと願った為に。
1人は約束を果たしたあと再会の為に。
1人はプライドを果たしたあとの共に歩く世界の為に。
2人のラスボスが前を歩く。
1人は己が人間として友との冒険の為に。
1人は本能と心のままの為に。
そのまま超気と鈴花はレジェンドマンと激突した。遥和と照礼は桃花と激突した。
運命か、宿命か、必然か、因縁の戦闘が幕を開けた。
レジェンドマンと超気が異次元ラッシュをしている間に、ミュウは的外れな事を言い出す。
「ゲームのキャッチコピーを考えたぞ! 『全ての因縁に決着をつけるRPG』なんてどうじゃ?」
レジェンドマンは自分の愛娘が楽しそうにしているのを嬉しそうに語る。
「お前が楽しければ私はそれでいい! ぞ!」
超気の攻撃を返り討ちにするレジェンドマン。
レジェンドマンと超気が異次元ラッシュをしている間に、ミュウは『また』的外れな事を言い出す。
「うちら霊体も入れての4人組のユニットを組まないか? チーム名は『達観者達』」
「お前が楽しければ私はそれでいい! ぞ!」
また超気の攻撃を返り討ちにするレジェンドマン。
観客であるヒーロー軍団も悪役軍団も一般市民軍団も、野次馬のように円形に見守りながら拳を振り上げ応援する。どちらを応援しても全く問題ない。
この場合観客席用のドームも無く階段状になっていないため、先頭の方が観やすく。後ろの方は『四重奏』と『達観者達』が戦闘をしているのをチラチラとしか観れない。
この空間、【彼の地~星空の境界線~】には上下の位はない。従って上から見下ろす人も、下から見上げる人も居てはいけないのだ。
「ふん!」
レジェンドマンが『普通のパンチ』を放った、超気はそれを速すぎて避けれずに正面顔面から受け止めてしまった。威力はさほどではない普通の大人のジャブパンチだった。
その後にミュウが「ぉりゃあ!」とまるで10歳の幼児パンチのように可愛らしく『霊体が』追撃する。攻撃は両方とも水属性。超気は自分が遅すぎて攻撃を受けてしまったのだと思った。だがこれは大きな間違いである。
レジェンドマンの攻撃が速すぎたのだ。ラスボスミュウという名の『時間の象徴よりも速く攻撃してきた』のでる。『時間という概念が遅れてやって来た』という驚くべき結果が付いてきた。
刹那の攻撃とか、永遠の攻撃とか。そんなチャチナもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を超気は味わった。
ポ〇モンで言うと、メガガ〇ーラの1つの技で2回攻撃しているのだが。
片翼は『時間という概念を置いてきた物理攻撃』威力大人ワザ。もう片翼は『時間そのものの特殊攻撃』威力子供ワザ。という頭の中が混乱しそうな『両翼型通常攻撃』を仕掛けてきた。
一発目で、生身で。時間と空間という常識を完全に超えていた。
更に申し訳ないほどに厄介なことに、それを観た湘南桃花は『真似して本物より上手くなろうと努力し始めて進化した』。4の型、型破り。今まで何もしてこなかった時械炎型の霊体であったオーバーリミッツが、意志のある1つの生命として『勝手に動き出す』。湘南桃花はいう。
「悪いけど、無限に進化しないぶん。ありがたいと思ってよね」
「こんなものじゃないでしょう」の言葉を有言実行してみせた桃花に対して、四重奏の4人組は笑顔で叫ぶ。
「こりゃまた」
「大層なこって、だが」
「理屈合戦に付き合う気は」
「ない!」
生きたサンゴ礁が死骸になって砂浜を埋めつくすような光の宇宙で、なお彼ら4人組は輝く。