彼の地~星空の境界線(スターダスト・スペースゼロ)~☆
「わし参加していい?」
「え、もうですか?」
「だめ?」
「え~……いいですけど」
「あーでもこれだと男女比が2対4になっちゃうな~美しくないな~」
「気にするところそこですか」
「しょうがない、セバスチャンはご老体だし。……そうだ! レジェンドマンを呼ぼう!」
ピ! ポ! パ! と何処からともなく黒電話を取り出して話すミュウ。
「あーもしもしもしもし、おれおれおれおれ! ……、わしじゃってミュウじゃよ。え、今仕事中? そこを何とか~以下略」
すると、さもターミネーターのごとくヒーロー着地ポーズと落雷で現れた。この場合、素っ裸では無かったが。非の打ち所のない、すごくカッコイイ登場シーンだった。
「……、話は解った。だが湘南桃花よ、まず同士であるヒーロー達を返してもらおう」
翼遊超気と湘南桃花は手を止める。
「……、オーケー良いわよ。別に殺したなんてひと言も言ってないしね」
そういうと、手のひらを地面へ叩きつけて運命の糸を展開する。円状に倒れていったヒーロー達が揺らいだ空間から姿を表した。2人のヒーローが他のヒーロー達を代弁するかのように言う。
「これはどういうことだ?」
「これは、……助かったのか」
戦隊特有の物分かりの良いテンポで話がスムーズに進む。
ついでに桃花は空間を変えた。0と1のアルゴリズムが空間を支配し時空が安定する。
超気が「ここは?」と桃花に声を掛ける。
「【彼の地~星空の境界線~】光が死んだ後に行きつく、星の墓場よ」
鈴花は空を地上を見まわして「綺麗……」と自然体で言う。
レジェンドマンは雄々しくこの場に居る全員に語り掛ける。
「皆聞いてくれ! この戦いで決めるのは善悪でも、愚かさや賢さを決めるためではない! これだけの人数だ、深い因縁もあるだろう。だがケジメをつける時代はもう終わった。では何のために戦うのか……それは、ひとつなぎに誇りだ! 今から戦う6人にはそれぞれ決着をつけないといけないプライドがある! 皆にはただ、応援して欲しいッ!」
ミュウはレジャンドマンの言葉を口を挟まずにただ聞き入りみつめる。そして最後に、この物語の主人公翼遊超気が。考えに考えて言う。
「うちは、なんも考えずに走って来た。がむしゃらに、ただ前だけをみて。でも、気が付いたらうちの背中には沢山の人達が一緒になってついてきてくれた。追いかけてくれた。そして言うんだ『共に歩きたい』って、理由になってないかもしれない。でもこれがうちなんだ! 誇りを取ったらもうこれしか残らない! だからうちは『共に歩くために』戦う! それがうちの答えだ!」
レジャンドマンに憑依したミュウは言う。
「それが超気の答えか……。うん、始めてヒーローしてるぞ! おぬし」
ニカっと笑顔で答える超気。ミュウは話をまとめる。
「何のためにこの戦いを始めたかったのかずっと心に引っかかってたんだ。でもこの戦いはきっと皆の空いた心に水を注ぎたいんだろうな……。私はラスボスに憧れてきた、そして超気はヒーローに憧れてきた」
お互いに利害が一致している。だから、だから、だから。超気とミュウは声を合わせて叫ぶ。
「「戦わなきゃ、終われない!」」
至極めんどうな人達ばかりだなと遥和と照礼は思った。
これは人が夢を叶える物語ではない。
これは人が夢を実現させる物語だ。
翼遊超気は奮い立つ。
「皆、行くぞ!」
敵も味方も全員言う事は「「おう!」」と同じ誇示だった。