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何のために、誰と戦っていたのか。これは超えねばならない敵の話。

ヒーロー達が無数に吹き飛ばされる。ある敵によってどんどんやられている。


 彼女の四方八方には大量のヒーロー達が居た、囲まれている。群を成すという言葉が最も近い。それほど彼女は強いのだ、いや、強すぎた。望んで強くなったわけではない、ただただ目の前のヒーロー達を自己防衛のために倒していったら結果的に反感を買い。全部相手をするという形になってしまっただけだ。

 もし、ほのぼのスローライフだったら、皆が出迎えてくれる暖かなシーンになっていたかもしれない。しかし今彼女が居る世界は、天然水が無く。喉が渇くような殺伐とした荒野の真ん中で。ただ一人、世界の自業自得を一心に背負った悪の姿がそこに居た。

 これは他人を巻き込まないための彼女なりの正義だった『他の人に矛先が向けられるなら自分がその悪役をやろう』そういう自身の正義感がそこにはあった。


 今から話す内容は、チートな主人公ではなく倒すべき敵の話だ。何故そうなってしまったのかは今となってはもう解らない事で。どうして彼女がそのような能力を持ってしまったかという経緯も過去の夢の彼方に消えてしまった。それほど話せば長くなるし話したくもない。解っていることは彼女の能力がチートで倒さなければ次のステージに進めないという事だ。

「エレメンタルマスター発動キー起動、演唱開始。『地獄の底から這いあがれ、天国の空から奈落しろ。たむける炎の色は桃』エレメンタル、ドロー!」

 メダルを親指で弾き宙へ浮かす。飛んだメダルは回転し。トリガーから、扇形の光が空へライトアップ。水中にダイブしたかのように光の中で遊泳。空中で静止する。静止したメダルはパリィン! とメダルサイズから、手のひらサイズへ大きくなり。コンペイトウのような形に変貌。水晶の結晶体のような透明感と、ダイヤモンドのような煌びやかさを輝かせ。西部劇の拳銃を抜くような緊張感と構えで、ヒーロー戦隊のお約束変身シーンでの、前動作をした後。

 今回のボスキャラ。異能の力、特殊能力が発現する。


 ステータス

 名前:湘南桃花しょうなんももか

 職業:歴史教師

 能力名:時械炎型オーバーリミッツ

 彼女の能力は4つの型で構成されている。

 1の型、夢幻むげん。右目の紋章。時計の中にある歴史を追体験させる。総じて理から外れた意志では砕けない。

 2の型、戦鳥せんちょう。左目の紋章。相手の理想の先を反転して出す、しかも考えてない状態でオートモードで出せる。

 3の型、ヒルベルト空間。右手の紋章。無限の空間内で全能と、運命の糸の可視化。

 4の型、型破り。左手の紋章。1・2・3の型の最中に予測不能の自由度を持って動くことが出来る。


 ある最強ヒーローは成すすべなく倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは何をされたのかすら解らず倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは手も足も出ず倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは信念を折られて倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは歴史の重みに耐えきれず倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは現実に打ちひしがれ倒れてしまった。

 ある最強ヒーローはこの世の全部の能力を使ったがそれでも倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは自分の生きた世界を破壊されて倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは計画通りに事を進めたが返り討ちにあい倒れてしまった。

 ある最強ヒーローはルールそのものに戦いを挑んだが論理に打ち負かされて倒れてしまった。

 ある最強ヒーローは、ある最強ヒーローは、ある最強ヒーローは……。


 全てのヒーローが雑兵のモブキャラのごとく倒されていった。無様に宙を舞い。愚かしさに笑いも出ない。

 そうして残ったヒーローは4人のみになった。ボスキャラ湘南桃花は相棒である精霊オーバーリミッツと共にありながら。『あくまで人間に固執した人間』は『理由があって』口にする。

 

「悪いけど、私達という名の壁を……。超えられなければ次のステージへ行かせるわけにはいかない! 来なさい、選ばれし4人組!」

 そこには10歳の少年少女が二人。そこには12歳の少年少女が二人。合計4人のヒーローは横一列に戦闘態勢で構えていた。

 そして走り出す、何のために。ただ守るために? ただ攻めるために? ただ壊すために? ただ飛ぶために?

 彼らに明確な『理由は無かった』、それがヒーローの器であると『決められたレール』であると『知っていて』走り出す。

 そうして、4人と1人は対峙する。この物語の主人公、翼遊超気ふゆうたつきが声を上げ叫ぶ。

「行くぞ! 先生!」

 彼ら彼女ら5人は激突する。全ては心のままに動いた結果でしかなかった。

 倒すべき敵の前座でしかなかった。

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