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魔法少女てぇい  作者: アメミヤ
7/8

7:三日の休暇後初出動

 てぇいは研修を終えた。

それから三日の休みを貰いゆっくりとこれまでの激務を振り返ると、ふと思う事があったと感じ取る。

給料ってどうなるんだろう?

そんな疑問が芽生え、ATMへと残高確認に向かうと入金の桁が一つ間違えてるだろうと言う金額が入っていて、思わずともそのまま引き卸ろし即買い物に出かけたりもした。

研修用のジャージ以外は寝間着程度しか用意して貰えてなかった為である。

この背丈に合う服など持っているはずもない、元々所持していたのだったらそれはそれで問題なので、この際買い揃える事にしたようだ。

元々この研究所は施設の一つでしかなく、周囲には宿泊所やブティックやスーパーマーケットに美容室やら。

施設の境界線にはゲームセンターや映画館と言った娯楽施設まである。

研究所から出た事が無かったてぇいにとって初めての景色が広がっており、戸惑いもした。

移動はパスが主流の様で、今では子供料金で乗れるようになったそれに乗って地理を覚えたりもした。

そうやって平和な三日間があっと言う間に通り過ぎる。

てぇい初出動の日は直ぐにやって来たのであった。






◇---◇






 「やぁ早かったね、10分前行動は良い事さ」


研究所の屋上で待っていたアリナが声をかける。

そのままで来るようにと言われたてぇいは手ぶらで屋上のドアを閉め、歩み寄る。


「まずはこれを」


そう言うと空中に波立つような振動が一瞬したかと思うと、目の前に30Cm程の棒状の物が現れる。

てぇいは器用にそれを受け取る。

研修中に何度もやった仕草だ、体が勝手に反応するほどに繰り返している。

受け取ったそれをよく見てみると、おもちゃ屋さんで売ってそうなファンシーなピンクの杖のようなものだった。

可愛いでしょ?と言うアリナをジド目で睨むと、それを後ろに投げ捨てる。


「いや、こんなの要らないでしょ?」


明らかに玩具であるその杖の様なものは地面に落ちる事なく虚空に消えた。

アリナが回収したようだ。


「判っちゃった?ごめんごめん、ちょっとしたジョークさ」


そう言いながら再び空中を波立たせ何かを出現させる。

今度は小さな何の変哲もない輪だった。

サイズ的に腕輪だと思われる。

金属製を思わせる輝きだが、明らかに軽い。

具体的にはプラスチック製のものにメッキを塗ったかのような軽さだ。


「手と足どっちが良いか考えたんだけどね、やっぱ手が良いよね?」


てぇいの思惑通りこれは腕輪の様だった。

何となく右手で持っていたので左手に嵌めてみる。

そのままでは手首まで通らないサイズだったので途中で突っかかる。

どうやら二つに分けられるタイプの様だ。


「ソウルエネルギーを通せば分かれるよ」


言われた通りにしてみると確かに二つに分かれた。

相変わらず不思議な光景だと思いながらも左手首の辺りに通すと、分かれたそれらは再び一つに戻る。


「これは君が意識していなくとも不意打ちなど危険な攻撃などにより危機にさらされた時、自動でシールドを張ってくれる安全装置さ。

普段はつけている間君のソウルエネルギーを微量に吸い取り貯える事で補給するから出来るだけ外さないで欲しい。

あと、緊急時の発信機にもなってるから、もしもの時はそれが壊れていない限りは助けが来るようになってるよ」


唯の銀色の腕輪にしか見えないそれは、意外と高性能なんだなと認識しつつ人差し指で撫でる。


「ふーん、これがあれば安全なのね」


腕輪を突いたり撫でたりをしていたてぇいはそんな事を呟く。

とてもそんな凄いものに見えないのだが、この一か月で様々な常識外れを見せられてきたてぇいはこれも受け入れるべきだと考える土台ができていた。


「まぁ絶対じゃないけどね、貯える限界量もあるし、貯えた分使ったらお終いだし。

あと、シールドが耐えられなければ安全じゃないし」


注意しなよ?と付け加えながら補足する。

それに対して守ってくれるんでしょ?と悪戯を成功させたような無邪気な笑みで返すてぇい。

はぁやれやれと言った表情のアリナ。

この一か月で何度もやったやり取りだ。

こうなったてぇいは言うより先に進ませる方が良いと判断し、今回のお仕事の内容を話す事にした。


「君の初仕事なんだけど、極小さなゲート反応があった。

小さすぎて誤情報じゃないか?って言われてるんだけど一応調査する事になってね。

それを私と二人で行う事になったんだ」


地図を広げて此処だよと教えるアリナの肉球。

正直地図に比べて肉球が大きすぎてあまり意味はなしていないが、ちょっとした森になっているようだった。

アリナによればここに小屋があるらしく、その辺りで反応があったんじゃないかと推測しているようだ。


「じゃあ行きましょう、どの道行ってみないと判らないんでしょう?」


仕事と言うよりもこの施設から外に出られる方が楽しみだと言った感じで先を急かす。

早く早くと言うてぇいを尻目にアリナは転送の魔法を使った。

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