魔女祭り87
「あ あの やはり 御無理なお願いでしたでしょうか・・・」
黙ったままのエルヴィンに語尾が消え入りそうな尋ね方をするセシリアの姿を見つめていたフィーネは
(セシリア様!よくぞ頑張って仰ってくれました!!)
プラチナブロンドの髪が微妙に震えている自分の主に心の中でそう喝采する。
「おい、エルヴィン!セシリア司祭がそう申しておるぞ!!!」
「あっ、これは申し訳ございませんセシリア殿。少々、思いがけない展開になってしまい彼女に いやヴァネッサに何と説明すればと考えてしまったもので・・・。セシリア殿!」
「は はい」
「陛下も了承されてますし、是非にも私の団の新しい渉外担当を紹介させてください」
「あ ありがとうございます!」
エルヴィンの明るい口調での快諾にほっとしたようにお礼を言うセシリアにフィーネは彼女の手を取ると
「ようございましたねセシリア様」
「ふぃ フィーネ・・・」
「よく頑張りました」
「ええ・・・」
安堵する二人の主従の姿を微笑ましく見ていたアグネスは視線をエルヴィンに移動させる。何となく苦笑い気味な表情を浮かべるエルヴィンにどう言う訳かふつふつと嗜虐心が湧くのを覚えてしまいまたエルヴィンに問いかける。
「それにしてもエルヴィンにとって、そのヴァネッサさんという方はあなたがそこまで気を配らなければいけない存在なのですね・・・そう とても大切にしている まるで自分の彼女みたいに・・・」
「えっ???」
「ホホホ、違いまして?」
「いえ! 彼女とは、そんな いや そのような関係ではなく・・・」
「でも、エルヴィンにとって大切な方なんですね」
「ええ・・・それは そうです・・・」
「まあ、ホッホッホ・・・。もうこれ以上エルヴィンを苛めるのは止めましょう、ごめんなさいねエルヴィン」
「はぁ、そうしていただけると助かります・・・」
エルヴィンは困ったように頬を指先で掻くのであった。
(隊長 マテウス隊長・・・)
(なんだい・・・)
(何故か、ヴァネッサ嬢が団長の正妻に認定されそうな雰囲気ですけど・・・)
(・・・)
(隊長・・・?)
(・・・。ハハハ、本当・・・どうなるんだろね明後日は、アハハハ)
(アハハハって・・・)
(まあ、僕達には何もできないし、エルヴィンがうまくやるでしょ!)
(そうですね・・・)
「さて、后よ。エルヴィンをからかうのはもういいか?」
「まあ、あなた、からかうなどと人聞きの悪い・・・」
「まあ、俺としてもエルヴィンの困った顔を見るのは楽しいのだがな、ハッハッハ」
「あなたも人の事は言えませんね、フフフ」
「では、ジャンよ明後日のエルヴィンが連れてくる彼女の紹介の件はそちに一任する」
「はっ」
「夜もだいぶん更けてきたか?、皆の者、今宵はいろいろとあって疲れたであろうこれで散会と致す事にしようぞ」
「はっ!!!」
ハインリッヒは一同にそう告げると愛娘の許に向かい、娘の頭を撫でながら
「ベアよ、お前も今日は疲れたであろう・・・ゆっくりと今晩は休むのだぞ」
「はい、お父上様」
「うむ、カミラ、ベアのことを頼む」
「畏まりました、陛下」
ベアトリクスの付き人であるカミラの言葉に満足したように頷くとハインリッヒは部屋から退出する。
王の後に続くように皇后のアグネスが続きその二人を護衛するようにレオが続く。
ホトもまた彼等の後に続くように部屋を出ようとした時に、エルヴィンが呼びかける。
「ヘル爺、ちょっと待った」
「ん、何じゃ?」
エルヴィンは素早くホトに近づくと小声で話しかける。
何やら二人でボソボソと話していたがやがてホトが頷く
「よかろう、わしの方でも捜しておくわい」
「じゃあ、頼む」
その後、ホトが部屋を出て行くのを見届けてアリスティッド卿はエルヴィンに話し掛ける。
「エルヴィン、今日は本当にご苦労様だったね、ありがとう」
そう言って、頭を下げるアリスティッド卿に
「卿よ、頭を上げてくれ。俺のような傭兵に簡単に頭を下げるような身分ではないだろうあなたは・・・」
エルヴィンは慌てて、アリスティッド卿を促す。
「いや、これは、私個人の感謝の気持ちだ、本当に今宵は助かった。この通りお礼をさせてくれ・・・」
「了解したから、頭を上げてくれ」
「うむ」
「感謝の気持ちはありがたい、それで俺よりもあいつらに今晩の褒美をうんと頼みたいのだがね」
「もちろんだとも、君の部下達には特別手当を出させていただくよ安心してくれたまえ」
二人はまだ居心地が悪そうにしているマテウスとハウサーの方にちらりと視線を向ける。
「それでエルヴィン君は今晩はこれからどうするんだい?」
「それなんだが・・・念のために姫の近くに今晩は居ようと思う。マテウス、ハウサーの二人もだ」
「そうか、そう言ってもらえると安心だ。さすが今晩はもう襲ってくるような事は無いと思うが・・・それでもエルヴィン達がここに残ってくれると非常に心強い」
「うれしい言葉だな」
「では、姫殿下様の事は頼む」
「承った」
「じゃあ、私はこれで退出するよ、明日の使節団との会談の準備もあるからね」
「卿もたいへんだろうが、頑張ってくれ」
アリスティッド卿はエルヴィンの言葉を聞き終えると背を向けて部屋から出ようと歩き出すが、部屋の出入り口の扉の前で立ち止まると振り返る。
「エルヴィン!」
「うん?」
「今日、ここに来る前 私の屋敷での話しだが覚えてるかい・・・?」
「屋敷での話し?」
「ああ、忘れてるみたいだね 明日の夜 そうヴァルブルギスの夜(魔女祭りの夜)、うちで晩餐会をどうかと聞いたはずだが・・・」
「あっ・・・」
アリスティッド卿はエルヴィンの表情を見て少し寂しそうな笑顔を浮かべながらエルヴィンに語り掛ける。
「エルヴィン・・・君がその ヴァネッサ嬢のことを大切に思ってるのはわかるのだが・・・」
「おいおいアリスティッド卿、いったい何を・・・」
「それでも言わせてくれないかな・・・クララを・・・我が妹のクララのことを あまり悲しませないでもらえるとありがたいのだけどね・・・。ああ、すまなかった。これは妹を思う、つまらぬ兄の独り言と聞いてくれたまえ・・・じゃあ、晩餐会の件、よい返事を期待しているよ」
そう、言い残して部屋を出て行くアリスティッド卿の後姿を呆然と見つめていたエルヴィンがつぶやく。
「クララ殿を悲しませないでくれって・・・」
ジャン兄さん・・・そうですよね・・・妹さんのことを思えば・・・。
エルヴィンさん、クララさんのこと 完全に忘れてましたね・・・。
今日のお話しでは、勇気を振り絞ってエルヴィンさんの彼女???ヴァネッサさんとの面会を希望した、セシリアさん、頑張りました!!!
セシリアさん達の耳に、いきなり登場したヴァネッサさんの名前 彼女の存在が気になってしょうがない
彼女たちの、ファースト・コンタクト! 楽しみですよね~^^
はてさて、いかがなことに(笑)
最後に、お礼を申し上げます。
ブクマを付けていただいた方に、感謝の気持ちを!!!
本当にありがとうございます~^^毎回、同じ言葉で申し訳ありませんが、本当に 本当に励みになります、頑張れます・・・。
この物語にアクセスをしていただいた全ての皆様に・・・ありがとうございました~^^
次週は、都合により更新できないかもしれません・・・申し訳ございません・・・。




