魔女祭り86
「それでエルヴィン、今晩の君達の活躍の報酬と先程決まった王宮警護の契約の件で彼女と そうヴァネッサ嬢と取り急ぎ打ち合わせをしたいのだが、こちらからギルド協会に居る彼女に連絡を取ってもいいのかい?」
「そうだな・・・今後の事もあるしアリスティッド卿には直接紹介したほうがいいな・・・。うん、明後日彼女と会う約束をしてるからその時こちらにお邪魔してもよいかな?」
「それは僕としてもそうしてもらえるとありがたい」
「じゃあ、彼女にもその旨、伝えておくよ」
「ではヴァネッサ嬢によろしく伝えてくれよエルヴィン。ギルド協会随一の美貌という噂の女性・・・合うのが楽しみだ、フフフ・・・」
エルヴィンはそう言って微笑むアリスティッド卿の表情にどういう訳か不安を覚えたのだが・・・その時
「二人の会話にお邪魔して申し訳ないのですけど、エルヴィン!」
「は はい、何でしょうか皇后陛下?」
突然皇后のアグネスより自分の名前を呼ばれ戸惑うエルヴィンにアグネスはニコリとしながら語り掛ける。
「私もその彼女とお会いしたいのです!」
「えっ!!皇后陛下が!!! また何故に??」
「ホッホッホ・・・ヴァネッサさんとか申されましたね」
「はい」
「エルヴィンの傭兵団の交渉の窓口になられる女性・・・あなたがそのような大事な仕事を任せるぐらいですからさぞ素敵な女性なんでしょう・・・。アリスティッド卿が何やら格別に興味を持たれるのも私にも分かります。彼女の噂の美貌にも同じ女性として興味もありますがその容姿だけでなく何といってもエルヴィンの傭兵団の渉外担当をこなせる才媛もお持ちなんでしょ?」
「はい、彼女はとても優秀な女性です。私にはもったいないほどの」
「まあ!ホッホッホ・・・。そこまできっぱりと言われるとますますお会いしたいですわ」
「は はぁ・・・」
「ホホホ・・・。エルヴィン?」
「はい、何でしょうか?」
「ヴァネッサさんとは知り合いになってからは長いのですか?」
「えっ? はい そうですね・・・ギルドで知り合ってから・・・4年か 5年ぐらいでしょうか・・・」
「そうですか・・・。で あれば・・・ふむ・・・」
「えっ??」
「もう お年頃かしら・・・」
「はっ?」
「いえ、独り言ですエルヴィン」
「は はい・・・」
「そうですね・・・何故にギルドの職を辞してまでもエルヴィンの団の専属渉外担当を引き受けたのか詳しく聞かなければなりませんね・・・」
アグネスは小声で独り言をつぶやくと、二人の会話に食い入るように見つめる3人の女性の一団に視線を移し、そして控えめに立つベアトリクスの侍女に更に視線を移す。
「アグネス皇后陛下・・・どうかされましたか?」
エルヴィンの呼び声にアグネスは考えをいったん中断させ微笑むと
「エルヴィン、彼女を是非私にも紹介してくださいね、もちろん非公式の場で」
「は はい・・・御希望に添えるよう彼女に相談してみます・・・」
「なら余もだ!!」
「へ 陛下!!!」
「いや、個人的に俺も興味が湧いてきたな、ハハハ・・・。私的な場で俺もそのエルヴィンが全幅の信頼を寄せるその噂の美貌の受付嬢を見てみたい」
「あなた・・・」
「い いやっ、后よ。これは単なる好奇心だからな・・・それに后だけ紹介されるのも不公平ではないか!」
「あら・・・しょうがない陛下ですこと。エルヴィン、陛下もこう仰ってますがお願いできますか?」
「は はぁ・・・彼女に相談してみます・・・」
「よし話しは決まった。ジャンよ私的な会見の場を設けてくれ。あくまでも私的な いいな!」
「御意にございます」
「私的な会見とあれば・・・陛下、皇后陛下、私も同席してもよろしいでしょうか?」
「な ヘル爺!!あんたが何で!!!」
「エルヴィン、お前には聞いておらんぞ。わしは陛下ご夫妻にお伺いしておるのじゃ」
「くっ・・・」
「別によろしいのでは、あなた?」
「ああ、そうだな。エルヴィンよホトに彼女を紹介したくない理由が何かあるのか?」
「い いえ特にそういったことは・・・」
「なら、構わんな」
「は はい・・・」
ホトは恨みがましそうなエルヴィンの表情を見てほくそ笑むのであった。
(あ奴が仕事とはいえ、選んだパートナーの女・・・この老骨にさえも気になってしょうがないわ、ホッホ ホ・・・)
(クソッ、ヘル爺め・・・あの憎らしそうな顔・・・絶対に今度仕返ししてやる・・・。だか・・・何でヘル爺までもヴァネッサのことを気に掛けるんだ・・・?)
「エルヴィン殿には申し訳ないが・・・」
「レオ団長?」
それまで黙っていたままのレオがエルヴィンに対し申し訳なさそうに口を開く。
「陛下、皇后陛下、私もそのヴァネッサ嬢との私的な会見に同席させていただけないでしょうか?」
「レオ団長まで!!!」
「すまんな、エルヴィン殿。これは今後この王宮への警備へと就く貴殿の傭兵団ゴルトヴォルフと我が近衛騎士団とのつながりを考える上でエルヴィン殿の渉外担当官となられる彼女に近衛騎士団団長として挨拶をしておきたいというのがその理由だ。もっとも、個人的にエルヴィン殿が選んだ才色兼備の女性をこの目で見てみたいという願望ももちろんあるのだが、ハハハ」
「レオ団長・・・」
「エルヴィンよレオからこうまで言われたら断れんぞ、よいな?」
「はい・・・」
(はいって答えたものの・・・はぁ・・・。こんな大袈裟な事に・・・ヴァネッサに何て伝えれば・・・)
エルヴィンは憂鬱になるのであった・・・。
(隊長・・・マテウス隊長・・・)
(何だい、ハウサー?)
(場違いな場所に居るせいで緊張しているかもしれませんが、確認してもいいですか?)
(うん、いいよ)
(・・・先程から御尊貴な方々の話を聞いて感じたのですが・・・)
(うん?)
(何故か、エルヴィン団長が選んだ女性ということでヴァネッサ嬢のお披露目会のお話になってるような気がするのですが・・・)
(うん、そうみたいだね、ハハハ)
(また隊長ハハハって・・・こんな事になってるってヴァネッサ嬢が聞いたらびっくりしますよ、か く じ つ に・・・。いきなり団の仕事の交渉という事で王宮に連れてかれるだけでも大変なのに、ましてそこで王陛下御夫妻や宮廷魔術師殿や近衛騎士団団長との私的とはいえ、お目通りですよ!!!)
(ああ、間違いなく彼女驚くだろうね、ハハハ)
(また他人事のように・・・)
(ハハハ、そう怒るなハウサー。まあ、でも彼女がうちで渉外担当を司るという事は今後王室関係の仕事が増える可能性が高いから王室関係者と知己になるために、ちょうどヴァネッサにとっても良い機会かもしれないと思うよ)
(それはそうですが・・・)
(フフフ・・・それどころか、まだ他に彼女に会いたがってる人達も居そうだよね、ほら!)
(えっ!?)
エルヴィンが信頼する特務隊の隊長と隊員が周りをはばかり小声でそう話していると
「ハインリッヒ王陛下様、お話しの途中で申し訳ございませんが発言の許可を・・・」
「うん?セシリア司祭、この場は公式な場でないからいちいち発言の許可など求めぬともよい」
「ありがたきお言葉です」
「それで、いかが致した?」
「はい・・・あの・・・」
そこでためらうように言葉を濁したセシリアの表情に一同が注視する。
「わ 私達もその場に同席させていただけないでしょうか?もし、不都合という事であればエルヴィン様、別の機会にヴァネッサ様を私どもにご紹介してはいただけないでしょうか!!」
勇気を振り絞るようにお願いをするセシリアの姿を眺めていたハインリッヒは
「エルヴィンよ、セシリア司祭がそう申しておるがどうする?余は別に構わんが・・・」
(えっ!?セシリア殿も!!!)
エルヴィンはハインリッヒの言葉も耳に入らず、ヴァネッサと会いたいというセシリアの言葉に驚き絶句するのであった・・・。
あらあら、ヴァネッサさんの知らないところでとんでもない事が(苦笑)
やはり、セシリアさんもヴァネッサさんの存在は意識せずにはいられないのでしょうね、アハハハ。
皆さん、お待たせしました。今回のお話しはどうだったでしょうか???
アクセスしていただいた皆様にお礼を申し上げます。
感謝、感謝です~~^^
ブクマを付けていただいた方、本当にありがとうございました・・・。
とても、とてもうれしいです・・・励みになります。
それでは、次週もまたこのお時間にてお会いしましょう~^^




