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魔女祭り78

「え!?」


「その黒羽のコート、いったい何でそんな高価そうな服をお前が身に着けてるんだ?」


「あ いや・・・これは その・・・」


 ハインリッヒからいきなり質問されたエルヴィンは言葉もしどろもどろになり、慌てて自身が身に着けている黒羽のコートに視線を落とし無意識のうちに短めになっている両の腕の袖口を広げるのであった。


「そうだよエルヴィン、僕も女官長の部屋で君のその姿を見た時からずっと気にはなってたんだよ」


 ハインリッヒの問い掛けに応じるようアリスティッド卿も追い討ちを掛けるように更に問いかける。


「女官長の部屋だって!・・・その服はひょっとしたらデボラのか???」


 ハインリッヒは驚いたかのようにまた更にエルヴィンに尋ねる。


「は はい・・・そ その 女官長殿がこの外套を着ているようにと仰られまして・・・」


「まあ、エルヴィンったら!ホッホッホ・・・」


 エルヴィンの情けない表情を見てアグネス皇后は思わず吹き出してしまう。


「やはり自分にはこんな高価そうな服は似合いませんか・・・女官長殿には申し訳ありませんがお返しする事に致しましょう・・・」


「それはいけませぬ、エルヴィン」


 はっきりとした強い口調でアグネスはエルヴィンに断言する。


「ですが、皇后陛下・・・」


「いいえ、返すことは絶対にだめですよエルヴィン。あのデボラがせっかくあなたにと渡されたのでしょ。彼女の厚意を無下にすることは同じ女性としても私は許可できません」


「は はあ・・・」


「エルヴィンよ后が言うのも尤もだ。あの鉄の女史の異名を持つデボラがお主に自らの衣服を渡したのだからな!!!これは、愉快!いや、記念すべき事態やもしれん、ハッハッハ」


「陛下・・・喜びすぎではありませんか?」


 恨めしそうにささやかに反論するエルヴィンに


「いや、悪く取るなエルヴィン。ところで何でデボラはお主にその服を渡したんだ?」


 ハインリッヒは悪びれることなく更に質問する。


「破れている自分の外套を繕うからと、強引に脱がされまして・・・それで修繕が終わるまで代わりにこの服を着ていなさいと言われまして・・・」


「まあ!!!デボラが!!!」


 驚くアグネスが思わず驚嘆の声を上げる。


「そう言えば・・・デボラの奴・・・昔からお前には  ちと甘かったような気がするな・・・」


 自分の妻が驚ろきの声を上げる隣でハインリッヒは冷静に回顧する。


「そうなんですか、陛下?」


「ああ・・・そんな記憶がある・・・」


 尋ねるアグネスにハインリッヒは心ここにあらずといった体で答えていると


「おお、そう言えばデボラ女官長殿はこうも言っておられたな!」


「な、ヘル爺!あんたは黙ってろ!!!」


「ホッホッホ、うるさいぞエルヴィン!わしは陛下ご夫妻に申し上げておるのじゃ」


「クっ・・・」


 それまで、にやにやしながらも王陛下夫妻とエルヴィンのやり取りを黙ったまま聞いていたホトがここで口を挟むのであった。


「エルヴィン、お前は少し黙ってろ!で、ホト、デボラはこいつに何て言ってたんだ?」


「はい陛下、女官長殿は自分の外套を渡すのを渋るこやつに、『これが初めてではないでしょ』っと言われましてな、そうするとエルヴィンめは観念したかのように素直に外套を差し出したのでございます」


「ほっほう・・・これが初めてではないとな・・・」


 ハインリッヒはジト目でエルヴィンを睨む。


「・・・」


 黙ったままうつむくエルヴィンの横顔をみていたハインリッヒは思い出したかのように


「そうだ!あの時もデボラはお前には優しかったなあ・・・エルヴィン?」


「は???」


「俺とお前で宮廷を抜け出して、夜中にこっそりと帰ってきた時の事だ。忘れたとは言わせんぞエルヴィン!!!二人してデボラに見つかって俺はこってりとデボラの奴に説教されてたのにお前は小言の一つもなく、後でデボラの部屋に来るようにと言われてただろ?」


「そ それは・・・俺と陛下じゃあ、身分も立場も違いますからねえ・・・」


「お!開き直ったな!!!エルヴィン、お前、あれからデボラの部屋で何してたんだ!?」


「何って・・・確か・・・お茶とお菓子を頂いて・・・少し 怒られたような・・・」


「お茶と菓子だって!!!お前だけ何でデボラはそんなに優しいんだ!」


「何でって言われても・・・それより 陛下はデボラ殿に優しくされたかったと・・・?」


「な 何を 何を言ってるんだお前は!!!」





(あらあら、二人とも・・・ウフフフ)


 口論を突然始めたハインリッヒとエルヴィンの二人の姿に目を細めるアグネスは、微笑ましそうに心の中で呟く。


(二人とも、あんなにぞんざいな口調で話してるのを当の本人達は気づいてないのでしょうね・・・)


 言い争う二人の姿はとても一国の王とそれに仕える一傭兵とは思えない・・・


(本当に親しい友人みたいですわ、あなた・・・)




 



王様は、デボラさんに優しくされたかった???


お詫びを申し上げます。先週の後書きにて今週にセシリアさんやレオさんが登場予定だと案内していましたが、エルヴィンさんの黒羽の装束に対する周りの人達の突っ込みで今週のお話しが終わってしまいました。ちょうどきりが良かったというのもあったんですが・・・二人の登場を楽しみにしていただいた方々には本当に申し訳ございませんでした、すみません。


来週こそは、セシリアさん一行やレオさん達が登場しますのでどうかご期待を!!!


一週間の間、アクセスをして頂いた全ての皆様にお礼を申し上げます。


本当に、ありがとうございました^^


また、次週もこのお時間にてお会いしましょう~^^

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