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魔女祭り75

(まさか・・・あの少女がユイーザだったとは・・・)


 エルヴィンは少し急ぎ足になりながら姫の部屋へと向かいながら先程女官長の部屋であった出来事を思い出している・・・。


(それにしても偶然とはいえ、まさかこんな再会になるとはな・・・それと彼女の母親であるゼルマさん・・・お変わりはないのだろうか・・・)


 エルヴィンはあの日別れ際に耳元で囁かれた彼女の声とその時の表情を数年ぶりに思い出す・・・今更ながらその時の情景が鮮やかに蘇ってきた事に彼の心の中にざわめきが生じてエルヴィンはやや狼狽している自分に気づくのだ・・・。


(あの花の花言葉の意味は・・・『再来』だった・・・)


 道すがら何人かの顔見知りの人物から声を掛けられたものの心ここにあらずといった体でなおざりな返事をしながら歩みを進めるエルヴィンの目に目的地の姫の部屋の前に立つ既知の顔に意識を取り戻される。


「エルヴィン、遅かったね・・・。それと・・・その格好は・・・?」


 不審そうにエルヴィンにそう声を掛けたのはマテウスだった。


「ああ、すまんなマテウス。偶然にも昔の知人と再会して少し話が弾んでしまった」


「昔の知人・・・?ふーん・・・で その素敵なお召し物はその女性からの贈り物なのかい・・・?」


「えっ!?な なんで女性ってわかったんだ、マテウス???」


「その高級そうな上着・・・どうみても男物じゃないよエルヴィン・・・デザインも大きさもね」


「あっ いや この上着は女官長が俺に貸してくれたんだ・・・。昔の知人というのはここの侍女の子でユイーザというんだ」


「はあ・・・エルヴィン あなったて人は・・・」


 本当にあきれたという感じで頭を振るマテウスの表情に彼の隣に立つハウサーは、『プッ!』と吹きだす


「な なんだ ハウサーまで・・・」


 二人の部下の微妙な表情に気づいたエルヴィンは慌てて自分の格好を見直しながら、


「やっぱり変かな・・・でも 今更、女官長に返すってのもちょっと・・・」


「アハハハ、いや 団長、お似合いですよ!すごく エルヴィン団長に合ってますから」


「そ そうか・・・?」


 エルヴィンはハウサーの言葉に安心したような表情で尋ね返す。


「ええ、少しも変じゃありません、アハハハ」


「ハウサー・・・」


 マテウスに睨まれて、ハウサーは笑いをやめる。


「エルヴィン、女官長様の部屋で何があって、何でその服を着ているのかとっても興味深々なんだけどそれは後でゆっくりと聞かせてもらうことにするとして早く姫殿下の許に行った方がいいと思うよ」


「ああ、そうだな。お前達はどうする?」


 エルヴィンの問いにマテウスとハウサーの二人は顔を見合わせると、マテウスが答える


「少し、深刻な事態になってるみたいだから僕達は遠慮しておくよ。王家にとっては触れられたくない事情の可能性もあるしね・・・。もし用ができたならここで待ってるから声を掛けてくれればいいよ」


「そうか、じゃあ行ってくる」


 マテウスの沈痛な表情に気を引き締めエルヴィンは案内を請う


「エルヴィンです、アリスティッド卿のお召しにより参上致しました」


 エルヴィンの声に姫の部屋の扉がすぐに開け放たれ、中から顔見知りの侍女が彼を待っていた


「エルヴィン様   姫様が  姫様が   ウッ・・・」


「カミラ殿・・・」


 エルヴィンの目の前には嗚咽を抑えようと口元に手をやるベアトリス姫の付き人のカミラの姿があった。


「姫 ベアトリクス姫の身に何か!?」


「取り乱し、申し訳ございませんエルヴィン様。姫様がお待ちかねです、こちらへどうぞ」


 自身を鼓舞するようにエルヴィンを案内するカミラの後ろ姿は心なしか震えているように見える・・・。


 ベアトリスの寝室の扉をカミラが開けるとその部屋に居る一同がエルヴィンの格好に奇異な視線を向けるが黙ったまま彼を受け入れる。


 すると、エルヴィンの姿を認めた少女の声が、


「エルヴィン!!!エルヴィン!!! ワーン・・・」


「姫 ベアトリクス姫!どうされました?」


 エルヴィンは彼女の傍らに立つハインリッヒとアグネスに許可も取らず、ベッドの上で手を差し伸べるベアトリクスの側に駆け寄ると さっと 優しく抱きしめる」


「ヒッ ヒック グス 怖かった!怖かったよー エルヴィン 怖かった アーン・・・」


「もう大丈夫ですよ、姫様。エルヴィンはここに居ます・・・」


 エルヴィンは、彼女の背中を優しく 優しくさすりながら彼女を慰める・・・。


「グスッ グスッ 本当に怖かったんだから あの 怖い声が いっぱい聞こえてきたの・・・」


「怖い声?」


 エルヴィンはベアトリクスの言葉にはっとして、カミラの方へ振り返る。


「はい、使節団様の歓迎会が開かれてしばらく経ったことでした・・・姫様と一緒にこちらで楽しく談笑していたところ急に禍々しい空気に侵されまして姫様が震え出し始めて、怖い あの夢の声が聞こえると言って泣き叫びだしてしまったのです・・・」


 エルヴィンはカミラの答えに頷くと、王陛下夫妻の傍らに立つアリスティッド卿に目配りをすると彼は黙ったまま肯定するように首肯する。そして彼の隣に立つホトに視線を移すとホトはエルヴィンの問いに答えるように


「多分 あの時じゃろうな・・・あ奴 ソティリオがわしの拘束の呪文を解いた時のことじゃろう・・・。この宮廷内に恐ろしい程の魔力が降り注がれたからのう・・・。それが姫様の悪夢の声を再び聞くきっかけとなったのだろうとわしは推測する・・・」


 エルヴィンはホトの考えを聞き終えるとベアトリクスの顔を見つめ


「姫様 よく頑張りましたね、本当に・・・。エルヴィンは頑張った姫様を誇りに思いますよ」


「そ そう?私は 頑張った??」


「ええ、頑張りました・・・エルヴィンは姫様を褒めて差し上げます」


「そう エルヴィンは褒めてくれる?」


「ええ」


「カミラ、聞いた!?エルヴィンが エルヴィンが私のこと褒めてくれるって~」


「それは、ようございましたね姫様。カミラが言ったとおり、頑張ったらエルヴィン様は姫様をお褒めになるはずだって と」


「うん、カミラが言ったとおりだった」


 姫主従が穏やかに語り合うのを見届けたかのように厳かな声でエルヴィンは声を掛けられる。


「エルヴィンよ、ベアが落ち着いたようなのでそちに確認してもらいたい事がある」


 言葉の主であるハインリッツヒ王は眉間に沈鬱さを漂わせてエルヴィンに命じる。


「は、何なりと・・・」


「うむ・・・」


 王は少し間をおくと


「ベアの ベアの首筋を見てくれ・・・」


 苦渋を浮かべエルヴィンに頼む。


 姫の許に身を寄せたカミラがベアトリクスに許可を取って彼女の服の襟元を緩めそして、エルヴィンにお願いするように頭を下げる・・・。


 エルヴィンは覚悟を決めたように、あえて優しくベアトリクスに話し掛ける・・・。


「姫 失礼します」


「う うん・・・」




(これは・・・)









 



やはり そうなるのですか・・・?


皆様のご想像通りの展開? でしょうか・・・?


アクセスをしていただいた全ての皆様にお礼を!!!


ありがとうございました~~^^


ブクマを付けていただいた方、本当にありがたく思います・・・とても とても励みになりますので・・・。


それでは、また次週もこのお時間にてお会いしましょう~~^^





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