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魔女祭り74

(スイセン ドイツスイセンの花言葉といえば・・・)


 女官長のデボラは形の良い唇に手を当てて考えこむ・・・。


(他にまだ意味が  あったような・・・)


 彼女の視線の先には、感に堪えないといった風情で話し込むエルヴィンとユイーザの二人の姿が映る。


(それにしても、あなたはそんな以前からいろんな人たちに心遣いや、優しさや思いやりを知らず知らずのうちに施してたんですね・・・。私もその中の一人ですけど・・・ウフフ・・・)


 彼女はしばらくの間、当時の思い出話をはずませている二人を微笑ましく見ていたがやがて思い出したように表情を改め声を掛ける。


「エルヴィン殿、歓喜の再会でお話しが弾むのは分かりますが姫殿下がお待ちになってるのでは?」


「あっ! そうでした女官長殿。ついつい話が弾んでしまって・・・アリスティッド卿にも怒られてしまう」


「あっ、そうですよね。お引止めして申し訳ございませんでしたエルヴィン様」


「いや、気にしないでくれユイーザ。久しぶりに当時の事を思い出させてもらって楽しい時間だったよ」


「そ そう言っていただけると私もうれしく思います」


「じゃあ、また」


「はい」


 エルヴィンはユイーザにそう言い、デボラの方に向き直すと


「女官長殿、それでは姫殿下のもとに行って参ります」


「ええ、お願い致します」


 エルヴィンは踵を返し女官長の部屋から出ようと扉のとってに手をのせたが、振り返ると


「そうだユイーザ、今度時間が合えば一緒にヴェルニゲローデに行かないか?久しぶりに君のご両親ともお会いしたいしね」


「え!!!ほ 本当ですか?!」


「ああ、本当だとも。しばらくはこちらに自分は居るつもりだから君さえよければ」


「は はい!!是非、ご一緒させてください」


「うん、ありがとう」




 エルヴィンがユイーザに言葉を残し部屋を出ていくと侍女の二人は声を潜めて話しだす。


「ユーイ、良かったね。昔の恩人の方があのエルヴィン様で」


「ありがとう、クラウ!!」


「それにしてもユーイの初恋?いや想い人があのエルヴィン様だったとは・・・」


「え えっ !!!な 何を言ってるの ク クラウ!!!」


「いいの いいの ユーイ~~。私には、ちゃあんと分かってるんだから」


「ち 違うのよクラウ!!え エルヴィン様は私にとって いえ 私の家族にとっての恩人のお方であって・・・そ そんな初恋とか お 想い人ということではなくて・・・」


「はいはい、そう言うことにしておきましょうね、フフフ・・・」


「な 何よ! クラウ。その その意味不明の笑い顔は・・・」


「いーえ、どうか気にせずに。でも エルヴィン様は確かにカッコイイんだけど  ちょっと年齢が おじさんだよね・・・?」


「え エルヴィン様は お おじさんなんかじゃありません!!!」


「あーあー、はいはい。そうね、そうよね。まったく、恋する乙女は盲目だと聞くけど本当にそうなのね」


「く クラウ  あ あなたは何を・・・」


「けど 羨ましいなあ・・・想ってる人が自分の両親の居る実家に一緒に行こうって誘ってくれるなんて・・・」


「え???」


「これって・・・もしかしたら  ひょっとして  ご両親に挨拶に伺うってことは!!!」


「???」


「プロポーズ!!!お嬢さんをください  って!!!」


「プロ・・・」


 言葉の途中で顔を真っ赤にして立ちすくむ僚友をクラウディアは見て


「じょ 冗談よ、ユーイ! ユーイったら」





(まあまあ・・・あの子達ったら・・・)


 自分達の上司であるデボラの存在を忘れたかのようにガールズトークに夢中になる二人を暖かく見守っている。


(若いって 素敵ね・・・フフフ・・・。ユイーザにとって彼は恩人 あの様子ではどうやら想い人になってるようね・・・ん? 想い人??? あっ ドイツスイセンの花言葉の意味は・・・そう!)


「二人とも、おしゃべりはもうその辺でよろしいですか!」


「は はい!!!」


 毅然とした口調で女官長からたしなめられた、ユイーザとクラウディアは姿勢を正し同時に応答する。


「ユイーザ」


「は はい」


「あなたにとって、旧来の恩人のお方の身元が分かり、まして見知っていたエルヴィン殿がその恩人の方だということは多大な喜びだと私にもよく理解できます・・・良かったですねユイーザ・・・」


「あ ありがとうございます女官長様」


「その喜ばしい気持ちは大切にしてください、それとご両親にもその件を手紙でお伝えした方がよろしいかと」


「はい、直ぐに手紙を書きます」


「結構です。ではそれはそれとして・・・」


 デボラは表情に威厳を漂わせ


「あなたには、先ほどホト様がおっしゃっておられた通りお咎めはなさそうですので引き続き自分の仕事に戻りなさい。それとクラウディア、あなたもです」


「は はい!」


「よろしい、ではお行きなさい」


 二人は、お辞儀をすると部屋を出ようとする、が、デボラがユイーザを呼び止める。


「ユイーザ」


「はい」


 そこでデボラは少し考え込む風情を見せたが


「あなたは、スイセン・・・  そう ドイツスイセンの花言葉の他の意味をご存知かしら・・・?」


「スイセンの花言葉の意味ですか・・・『再来』と別の意味といいますと・・・?」


「あなたのお母様は何もおっしゃってはいませんでしたか・・・?」


「・・・、はい 他には何も・・・」


 デボラはユイーザの顔を注意深く見つめていたがやがて、表情を緩め彼女に答える。


「そうですか、分かりました。では、お仕事に戻りなさい」


「はい、失礼します」


 少し怪訝な表情をユイーザは見せるのであったが、直ぐに明るい表情に戻り元気よく挨拶をすると女官長の部屋を出る。


 一人自分の部屋に残ったデボラは、ふうーっとため息をつくとテーブルの上に置いてあったエルヴィンの外套を見つめる・・・。


(花言葉の別の意味は・・・そう 『思慕』・・・もしくは 『純愛』・・・そうでしたよね・・・)


 彼女はエルヴィンの汚れて破れた外套の袖口をそっと指でなぞりながら胸中にてつぶやく・・・


(ユイーザのお母様・・・あなたは まさか彼のことを・・・)






 



今週も花言葉の意味が主題でしたね・・・。


ガールズトークに花を咲かせるユーイとクラウの二人も可愛いいのですが今回の主役は大人の女性の雰囲気を醸し出すデボラ女官長様でしたね^^


さて、次週は姫殿下の登場です^^ついでに付け加えると姫様お付きのあの侍女さんも久々の登場予定です。どうかご期待を~^^


それでは、最後にまたお礼を申し上げます。


この物語を楽しみにしていただいてる全ての皆様に感謝の気持ちを!!!


本当にありがとうございました。


それでは、次週もこのお時間にてお会いしましょう~^^




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