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魔女祭り66

(この侍女は確か・・・そうだ、晩餐会会場の入り口前で倒れてた子だったな・・・)


 エルヴィンは、事情を説明する途中で急にしゃがみ込んで嗚咽を始めた侍女を見てそう思い出したのであった。


「大丈夫だよ、君は何も悪くない。むしろ、君は被害者であって怖い思いをしたかもしれないけど無事だった訳だから不幸中の幸いと思わないと・・・ね」


「そうよ、ユーイ。エルヴィン様の言う通りよ!あの悪人から怪我どころか命までも取られなかったわけだから・・・。頭が痛いの?それとも他に痛い所があるの!?」


「ウグッ、ご ごめんクラウ・・・ありがとう、だ 大丈夫だから。ちょっと、あの状況を思い出してあの男の怖い顔を・・・」


「そ そう?本当にそれだけならば・・・良いのだけど・・・」


 エルヴィンは二人のやり取りを見ていたがやがて自分も腰を下ろし、ユイーザと視線の位置を同じにすると


「ユイーザさんと言ったかな、念のために瞳を見せてくれないかな?」


「ウグッ、す すみません、は はい・・・」


 エルヴィンは顔をユイーザに近づけ彼女の瞳を覗き込む。


「うん、大丈夫みたいだね、他に呪いの魔法とかも掛けられてては無さそうだ。多分、忘却の魔法を掛けられたんだろうな」


 ユイーザの瞳に映るエルヴィンはそう言うと立ち上がり


「念のためにヘル爺、他の魔法が掛けられてないか、確かめてくれないか?あんたの方が俺よりこういった事は得意だろ」


「ふむ、どれ」


 ホトはエルヴィンの言葉に当然と言わんばかりに身を乗り出しユイーザの瞳をエルヴィンと同じように覗き込むとやがて立ち上がる。


「古 (いにしえ)より紡がれる賢の知識よ、我にその力を貸し与え給え・・・ファーザンッツ(解呪)!!」


 ホトの持つ魔法の杖の先から青色の光が輝き始める。その光の塊をホトはユイーザの身に浴びせるのであった。


「ふむ、反応無しじゃ。安心するが良いユイーザとやら、わしの見立てもこ奴と同じだわい。ただの忘却魔法だけ掛けられておったようじゃな」


「あ ありがとうございます、ホト様、エルヴィン様!!」


 ホトの言葉に安心したのか立ち上がりホトとエルヴィンに頭を下げるユイーザに


「良かったね、ユーイ!ホト様、エルヴィン様!!!」


 友人の安堵する姿に喜ぶクラウィアもまたホトとエルヴィンに感謝の気持ちを述べ頭を下げる。


「ホト様、エルヴィン殿、私の部下であるユイーザのために、お二人のお心遣いとご協力に感謝致します」


 デボラ女官長もまた寸部の隙の無い見事なお辞儀をし、二人に礼をすると彼女は気になっていた事を尋ねるのであった。


「ユイーザはあの乱入者によって知らず知らずのうちにかの者の悪事に加担してしまったと・・・言うことでしょうか?」


「ああ、はいそうです。女官長の申せられらた通りです。これを見てください」


 エルヴィンは外套のポケットから幾つかの小石のような物を取り出しそれを手のひらに載せ皆に見せる。するとデボラは血に染まって切り裂かれているエルヴィンの袖口に眉をひそめるのであったがエルヴィンは気づかない・・・。その時、


「エルヴィン、それは!」


 ホトがその小石のような物を見ると叫ぶ。


「ああ、そうだよヘル爺。魔物の召喚魔法用のマジックアイテムだ」


「これは、どこに・・・」


「灯篭の中の蝋燭立にあったようだ・・・ハウサーが発見して自分に渡してくれたんだ」


「ハウサーがのう・・・奴は何で灯篭の中を・・・まあ、詳しい事はよいが・・・」


「女官長殿、これはあくまでも私の推測なんですがユイーザさんが灯篭の蝋燭の交換のために現場に居合わせたところ、あのソティリオに声を掛けられ蝋燭を見せてしまった。その後彼女は奴に気を失わされてしまいその間に蝋燭の中にこの骨を埋め込んだのでしょう。そうすればその蝋燭が火にともされて一定の時間が経てばこの骨、いやこのマジックアイテムが発動されるように細工をしたと考えられます。もちろん、その後目を覚ました彼女に蝋燭が違和感をもたれないように元通りの形に魔法で整えたのは間違いないでしょうね・・・。それから彼女が目を覚ました後も、そのまま蝋燭の交換の仕事をさせるように自分と出会った出来事を忘れるように忘却の魔法を彼女に掛けたと思われます」


「なるほど・・・あなたにそう言われればこのが思い出した出来事と、近衛騎士団の方が灯篭の場所であの魔物達が出現したという話に合致しますねえ・・・」


 デボラは口元に人差し指をあてがうと考え込む風情を見せる。


「どう思う、ヘル爺?」


「お前想像通りじゃろうて、そのマジックアイテムが状況証拠になっておるわい・・・して、その骨の数は?」


「ああ、そうだこの通り」


 エルヴィンはゴソゴソとまたポケットから骨を取り出す。エルヴィンの手のひらには数えて11個のあるのがホトにはわかった。


「間違いないのう・・・召喚された魔物の数とも合致するわい」


 エルヴィンは同意するホトに頷くと更に続ける。


「ユイーザさんが、記憶を取り戻したのも理由があります」


 エルヴィンはユイーザに視線を向ける。


「晩餐会会場でソティリオの奴はヘル爺の拘束魔法を解くために大量の魔力を使用したんだ。それで奴が持つ魔力が少なくなり君に掛けた魔法の効果があっと言うまに薄められたのだと思う・・・。言ってみればヘル爺、いやホト殿のおかげで君の忘却魔法が解けたということかな、もしヘル爺がソティリオに拘束魔法を掛けなければ君はいつか、とんでも無い時に記憶が戻り、気が動転しまい大変な事になっていたやもしれないね・・・。さすがは宮廷魔術師殿と呼ぶべきか・・・ハハハ」


 エルヴィンは、からかい気味にホトを持ち上げる。


「そ そうでしたか・・・本当にありがとうございました、ホト宮廷魔術師様」


 深々と頭を下げるユイーザにホトは少し照れたような口調で


「いや、そこまで感謝されることではないぞ。偶々、きゃつに魔法を掛けた結果がそなたにとっては幸運だったということじゃからな、ホッホッホ・・・」


 まんざらでもないといった表情で笑いながらホトはユイーザに答えるのであったが、次第に表情を引き締めるとエルヴィンに語りかける。


「いずれにしても、いかにこの召喚魔法用のマジック・アイテムを使用したとはいえあのソティリオという奴・・・とんでもない魔術師じゃわい・・・」


「ああ、さっきマテウスとも話し合ったんだけどあれだけのデス・ナイト達を召喚する技量は俺では無理だな、ヘル爺ならできそうか?」


「やって出来ん事もないが・・・それには少しばかり準備がいるのう・・・」


「あんたでもそうか・・・」


 考え込む二人・・・その一方のエルヴィン袖口を凝視していたデボラがやがて声を掛ける。


「エルヴィン殿、その袖口はどうしたのですか?それは血糊ですか・・・赤黒く滲んでいるではありませんか!怪我をしてるんじゃありませんか?」


「え?ああ、これはその・・・戦いの最中に斬られまして・・・」


 エルヴィンは詰問口調のデボラに慌てて斬られて破れた袖口をブラブラとかざすと


「ああ・・・明るい場所で見ると・・・これは・・・酷いなあ・・・」


「怪我は。怪我は大丈夫なんですか!?」


 更にきつい口調で問い詰めるデボラに


「大丈夫ですよ、先程セシリア殿に治癒魔法を掛けていただきまして、この通りです」


 エルヴィンは袖口を引っ張りあげると傷のあった部分をデボラに見せる。


「さすが聖女様と評判の方の治療ですね見事なものです。他の傷も治療してもらってる最中にあまりにもその治癒魔法が気持ち良かったせいか不覚にも自分は気を失ってしまったぐらいですから、ハハハ」


「クックック、そうじゃな、お前はあまりの気持ちのよさでわしが着いた時には上半身裸であの聖女様を押し倒しておったからのう、ホッホッホ」


「また、な 何を言やがるヘル爺!!!」


「裸で・・・聖女様を?  あのセシリア様を押し倒して・・・」


 エルヴィンは慌ててその声の主デボラに振り向くと彼女の整った眉がつり上がっているのがわかった。


「い いや、それは決してやましい気持ちでそうした訳でなく先程言ったように気を失ってしまって知らず知らずのうちに その覆い被さってしまったと・・・」


 情けない表情でそう弁解するエルヴィンにデボラは目元を指先で押さえながら


「はあ・・・エルヴィン殿・・・あなたという方は・・・」


 デボラは顔を数度振り、顔を上げる。


「分かりました。エルヴィン殿!」


「は はい」


「その外套を、お脱ぎになってください・・・」


「え?」


「え ではありません。早くその着ている外套をお脱ぎになって私に渡してくれませんか・・・」


「あ はい・・・」


 エルヴィンは訳もわからずに女官長の言うままに外套を脱ぎ、彼女に手渡すとデボラは受け取った外套を顔の前に広げ裏返したりあちこちを引っ張っては注視していたがやがて


「あなたは本当に昔から変わってませんねえ・・・すこし目を離すといつもこのように服をボロボロにして・・・本当に・・・フッフッフ・・・」


 困ったような表情で頬をポリポリと掻いているエルヴィンの後ろでは侍女の二人が敬愛する自分達の上司であるデボラ女官長の垣間見せた優しい表情を目の当たりにして驚愕していた。


(ゆ ユーイ見た?)


(ええ、はっきりと見たわ・・・あんな優しげな表情をデボラ女官長様がお見せになられるとは・・・)


(そ そうよ!は 初めて見ました!!!女官長様が、あんな表情を殿方にお見せするなんって・・・)


(クラウ・・・)


(何・・・)


(女官長様の、エルヴィン様に見せたあの表情は いわゆる・・・お おんなの・・・)


(駄目よ、ユーイ!!!、それ以上言うのは女官長様に対して非礼です!!!)


(そ そうでした!!!す すみません女官長様・・・)


 何やらエルヴィンの姿に隠れて小声で話す侍女二人の視線に気づかないデボラは両手でエルヴィンの外套を器用にたたむと


「これは私が預かっておきます。繕って差し上げますので明日にでも取りに来てくださいね、エルヴィン殿よろしいですか」


(え えええ???)


 また、更に驚きの声を小声で上げる侍女二人であった・・・。

 


 



デボラ女官長さん・・・あなたは女子力が高い方だったですね・・・


それにしても、ユイーザさん、あなたは立ち直るのが早いんじゃないですか?(苦笑)


クリスマスもあっと言う間に過ぎ、気づけばもう今年も押し詰まってきました。


皆様はどう過ごしでしょうか?今年は良い年だったでしょうか?


お礼をまた申し上げます。ブクマを付けていただいた方に感謝の気持ちを!!!本当にありがとうございました。また今年この物語を楽しみにしてアクセスしていただいた全ての皆様にお礼を申し上げます。


本当に、本当にありがとうございました~^^


それでは来年もよろしくお願い申し上げます!!!


次週は日曜日のこのお時間にて、お会いしましょう^^


良いお年をお迎えください^^





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