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魔女祭り62

「お待たせしました、水の量はこれぐらいで足りますか?」


「お手数をお掛けしましたね、ディートル殿。大丈夫です、これぐらいあれば全然問題ありませんよ」


 小走りに両手に水桶を持った来たディートルがマテウスに尋ねるとマテウスは労いの言葉を返す。


「フィーネ殿、申し訳ありませんがエルヴィンの側から離れてはいただけませんか。そうですねセシリア様も水が掛かるといけませんから同じように離れていただけると助かりますが」


 エルヴィンの傍らで両膝を立てて待っていたフィーネにマテウスは声を掛けると、彼女はセシリアの許に近づくと


「さあ、セシリア様もこちらへ」


 フィーネはセシリアを促し横たわるエルヴィンから離れる。


(マテウス様は、あの普通の水をどのように使われるのでしょうか?魔法の水と言われてましたから魔法をあの水に掛けるのかしら・・・)


 フィーネの胸中のつぶやきに気づく素振りもなくマテウスはエルヴィンに近づくと手にした水桶をエルヴィンの顔の上に掲げると無造作にその中身をこぼす。


「えっ???」


 唖然とする衆目を気にせずマテウスは水をエルヴィンの顔面にこぼし続ける。すると、


「んん・・・うぷっ、うわあ・・・つ 冷てえ・・・」


「お目覚めかな、エルヴィン?」


「な 何をしやがる、マテウス!!!!」


 エルヴィンはガバっと身を起こすと澄ました表情のマテウスにどなりつける。


「いきなりの言葉だねエルヴィン、それが意識を戻させてくれた恩人への言葉だとは・・・僕は悲しくなるよ・・・」


「な 何だって?意識を・・・って」


 エルヴィンは改めて自分自身をふりかえると


(え?どうして上半身裸なんだ・・・。うん?痛みが無い・・・傷は・・・消えてる・・・)


 正常な感覚が五体に戻るのをエルヴィンは冷静に確かめると


(そ そうだ確かセシリア殿に治癒魔法を掛けていただいてたはず・・・その途中意識が・・・)


 エルヴィンはむき出しの自分の肩を見つめながらその場の情景を思い出す。


(ああ、思い出した・・・治療をするセシリア殿とフィーネ殿からほのかに漂ういい匂いが・・・それで俺は・・・)


「エルヴィン、思い出した?」


 心配そうに自分の顔を覗き込むマテウスの顔が見える。


「あ ああ・・・思いだしたよマテウス。俺はまた・・・落ちちゃったみたいだな・・・」


「本当にねえ・・・無茶をするんだから。僕達をあのデス・メイジの自爆魔法から守るために広域対魔法防御の魔法を使ったんでしょう?」


「う ああ・・・咄嗟に・・・」


「僕も全然きづかなかったよ。先程、ホト老師から聞いて知ったばかりだからね・・・」


 エルヴィンはマテウスに促されて視線を移すとホトの皺深い顔が見えた。


「魔力を大量にそれも瞬時に使うと魔力が枯渇して時には死に至るかもしれないんだからさ・・・今までもあったよね・・・」


 咎めるマテウスの視線の強さにエルヴィンは、たじろぐ。


「すまなかったなマテウス・・・心配かけた・・・」


「本当に反省してよね、エルヴィン」


「・・・」


「まあ、でもそのおかげで僕も含めてこの場に居る皆が大怪我もなく無事にいられた訳だからそれに関してはお礼を言わないとね、ありがとうエルヴィン」


 表情を和らげて微笑むとマテウスは更に言葉を続ける。


「お礼と言えば、エルヴィン。傷を治療してくれたセシリア様とフィーネ殿にしっかりとお礼を言わないとね。お二人はそれはもう・・・」


 マテウスはそこで言葉を止め、ニヤリと笑うと


「気を失ったエルヴィンのためにとても献身的に面倒をみてくれたんだから、フフフ・・・とっても献身的にね」


 マテウスの含みのある言葉にエルヴィンは慌ててセシリアとフィーネの姿を捜すと、二人は何故か顔を真っ赤にしてうつむいている。


「マテウス、献身的にって、ど どんな・・・いやっ、俺が落ちてる間、な 何かあったのか?」


「フフフ、本当に覚えてないのエルヴィン?エルヴィンが治癒魔法を受けてる途中気を失って倒れたのをセシリア様が受け止めてくれたんだよ、文字通り体を張ってご自身が仰向けになりながらもね!!!端から見ると上半身裸のエルヴィンが失礼な言い方になるけど・・・セシリア様を押し倒すように見えたぐらいにね、ハハハ・・・」


「な 何だって!!!?」


 エルヴィンは改めてセシリアの顔を見ると更に顔が赤くなってるのがわかった。


「それとフィーネ殿はエルヴィンの意識を回復させるためにねホト老師からいただいた魔力復活のポーションを・・・フフフ・・・」


「ポーションを・・・」


 瞳を大きくして尋ねるエルヴィンに


「口移しでエルヴィンに飲ませようとしてくれたんだよ!!それもご自身が率先してそんな嫌な役目を引き受けてくれたんだ・・・こんなに衆目の視線が集まってるのにも拘わらずにさ・・・。あのような美しい女性が恥ずかしさにも怯むことなくエルヴィンのためにね・・・」


「えっ!!!フィーネ殿・・・」


 エルヴィンはそう絶句するとフィーネの顔に視線を移す。彼女もやはり先程よりも顔を更に紅潮させてはいたが今はエルヴィンの視線をしっかりと受け止めている。


 エルヴィンは少しふらつきながらも立ち上がるとセシリアとフィーネの許に近づくと、


「セシリア殿、フィーネ殿・・・本当に傷の治療、ありがとうございました。それと気を失った私のためにいろいろとご迷惑をお掛けしたみたいで本当に、本当に申し訳ありませんでした・・・またしてもご不快な思いをさせてしまいましたね、お詫びの言葉も今の私には見つかりませんので・・・この通りです」


 深々と頭を下げるのであった。


 エルヴィンの気配を察したセシリアは


「い いえ・・・傷の治療は私の責務ですしそんなにエルヴィン様がお気になさる事はありません。むしろ魔物達から今夜私を・・・いえ、私達を何度も救ってくれましたことに逆に感謝とお礼を申し上げなくてはと私は思います。そ それに不快だなんて・・・いえ全然不快だなんて思ってはおりません。む むしろ・・そ その・・・」


「セシリア様、お話しの途中で申し訳ありませんが、私の方からもエルヴィン様にお礼を言わさせてくださいね」


「え ええ、そうですね」


言葉尻をゴニョゴニョとこぼすセシリアにフィーネが断りを入れると、


「エルヴィン様、お顔を上げていただけませんか」


「え? はい」


 腰を屈めたまま顔を上げるエルヴィンの横顔に、すうっとフィーネは顔を近づけそっと耳元でささやく。


「あの エルヴィン様・・・私は・・・。私は 初めての口づけはエルヴィン様となら・・・不快ではなく・・・う うれしく・・・うれしく思ってました・・・」


「ふぃ フィーネ殿!?」


 


 

フィーネさん!!!グイグイきてます!!!


エルヴィンさんの耳元でささやくフィーネさんとの会話の続きは次回にて、お楽しみを^^


早いものでもう師走、年末です。


皆様はどうお過ごしでしょうか?


今週もアクセスをしていただいた方、皆様にお礼を申しあげます。


本当にありがとうございます。


それでは、また次週もこのお時間にてお会いしましょう~~^^





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