魔女祭り59
・・・トクン・・トクン・・・トクン・・
(音が聞こえる・・・何の音かしら・・・。それに・・・暖かい・・・)
セシリアは彼女の目の不自由さもあって今の自分の状態をすぐに確認できずにいる。
(それと・・・これは、血の臭いかしら・・・?うん・・・汗の匂い・・・?不快では・・・ありません・・・。えっと・・・こ この感触は・・・人の肌触りでしょうか・・・?)
セシリアは、無意識に視覚以外の嗅覚、聴覚、触覚を目いっぱいに働かせている自分に気づいてはいない・・・。
(ええっと・・・何故だか私の身体も奥底からポォーっと熱く感じられる・・・うん、それと私の心臓の動悸も・・・ちょ ちょっと待って!!!意識すると心臓の音がドクンーードクンーー。顔が熱い、傍から見ればあ 赤くなってる・・・?わ 私は確か・・・エルヴィン様の傷の手当てをしていたはず・・・って)
「ええっ!!!?」
「セシリア様!!!」
「ふぃ フィーネ!わ 私はど どんな状況に?」
セシリアは聞き慣れたフィーネの声に我に返りすぐ尋ねる。
「セシリア様大丈夫ですか?」
「だ 大丈夫だと思います。フィーネ私は今どんな状況にあるのですか?た 確かエルヴィン様の治療をしていたはずですが・・・エルヴィン様は大丈夫なんでしょうか?」
「エルヴィン様はセシリア様の治療中に急に倒れられて今は・・・あの・・・セシリア様を抱きしめるように覆い被さってます・・・はい・・・」
「え ええええ!!!!」
「セシリア様・・・驚いているわりにはその左手はサワサワとエルヴィン様の肩を丹念に撫でておられるみたいですが、フィーネの錯覚でしょうか?フフフフ・・・」
「えっ!!」
慌てて手を引っ込めるセシリアである。もろ肌脱いだエルヴィンの肩を触っていたのは無意識のうちの行動だろう。
「本当は私がセシリア様の代わりにエルヴィン様に抱きすくめてもらいたかったのに・・・」
「フィーネ、あ あなた・・・何を言って・・・」
小声で何やら危ない発言をするフィーネに絶句するセシリアに
「はい、そうでしたね。さすがにエルヴィン様がセシリア様を抱きしめるような姿はちょっと妬けますのでこのままでは・・・」
フィーネは精神を集中させるように目をつぶると
「スピーリッツ(精霊達よ)」
精霊達を呼び出し、
「エルヴィン様の状態を教えてくれませんか?」
「うん・・・そう・・・うんうん・・・そうなのね。ありがとう~」
しばらくの間彼女は誰の目にも見えない精霊達と会話をした後、マテウスの顔を見つめる。
「マテウス様、精霊達が教えてくれるには、エルヴィン様は気を失ってるだけだとのことですがこれまでにこのような事はあったのでしょうか?」
「うん?そうですねぇ・・・」
マテウスはフィーネの呼び掛けにのそのそと歩いてセルヴィンが倒れている場所近くまで来ると
「確か、以前に今みたいにパタリと倒れた事はあったんですがね・・・その時は隕石を落としたり、川の水を全て凍らしたり・・・うん ああそうだピレネー山脈で沸いて出てきた魔人将の率いる魔物の軍団と戦った時も・・・あれってハウサー、場所はどこだったかな?」
「アンドラ・ラ・ベリャだったかと」
「ああ、そうだった。アンドラ、そうアンドラだったね~。あの時の戦いは・・・」
「ええ、大変な戦いでした・・・今、思い出してもよく命があったもんですよ・・・」
「あの時のエルヴィンはかっこよかったよね・・・広域攻撃魔法でばったばったと魔物を倒して一人で魔人将も倒しちゃうかと思ったぐらいだから・・・でも最後に魔人将にとどめを刺したのはヴィリィだったねえ・・・」
「ええ、そうでしたあの時の副団長は凄まじかったです・・・本当・・・怖かったぐらいに・・・」
「うん、目の前でエルヴィンが魔物が放った流れ矢に当たって倒れた時のヴィリィの怒りは凄かったねぇ・・・」
「ええ・・・」
「・・・」
マテウスとハウサーはしばらく往時を思い出し感慨にふけていたが
「プッ、ククク、アハハハ」
「た 隊長?」
「ああ、ごめんごめんハウサー。いや、あの後さあ、エルヴィンが傷ついて倒れたのを聞きつけてジェイミーが来ただろ」
「あ はいそうでした」
「あの時のヴィリィったら・・・ハハハハ」
「ジェイミーの姉御にどやされて泣きそうになってました・・・お気の毒です・・・」
「あの怖い副団長のヴィリィが彼女の前では・・・可哀想だったねえ・・・もちろん僕も彼女からこってり怒られたけどさ、フフフ・・・」
「マテウス隊長、ずうっと疑問に思ってたんですがあの時ジェイミーの姉さんに誰が連絡したんですか?」
「うん?ああ 彼女に連絡したのはヴューラーだよ。エルヴィンの治療は自分の手に負いかねるって」
「ノイン(9番隊)隊長が?」
「ああ、ヴューラーも彼女に相当怒られたみたいだね、後で深刻な表情でこぼしてたから・・・」
「・・・」
二人がまた自分達だけの時間に入りそうなその時
「あの、マテウス様往時を懐かしむのは良いのですが、その・・・そろそろエルヴィン様をどうしたら宜しいでしょうか?セシリア様もこのままの状態で放置というのも少し・・・」
「あ すみませんフィーネ殿。うっかりしてましたすみません」
「いえ、気づいていただければありがたいです。確かに隕石を落としたとか、川の水を凍らせたとか魔人将の率いる魔物の軍団を倒したとか、突っ込みどころはいっぱいありますけど・・・」
(それよりも・・・そんな事よりも一番気になるのはまたお話しに出てきたジェイミーさんという女性のことですけどね・・・いったいエルヴィン様とどんな関係なんでしょうか・・・?)
「うーん、エルヴィン?本当に気を失ってるの?」
マテウスはチョンチョンとエルヴィンの足を自分の足で突いている。
「まさか、気を失ってるふりをして聖女様に抱きついてるんじゃないでしょうね・・・」
「マテウス様、確かにエルヴィン様は気を失ってるだけだと、精霊達が私にそう教えてくれましたから」
「ハハハ、冗談ですよフィーネ殿」
マテウスは笑いながらフィーネに答えると真剣な表情に戻り考え込む。
(これぐらいの傷でエルヴィンが気を失うことは無いはずなんだけど・・・)
と、その時である。
「お前達、いったい何をしておるんじゃ!?」
あきれた口調で宮廷魔術師の声が響く
「ホト様、うちの団長がこんな具合で・・・」
「エルヴィン、貴様は上半身裸でセシリア殿に何をやって・・・ん?」
(わ 私はいつまでこうしていれば良いのでしょうか・・・)
セシリアの苦悶?は続く・・・。
皆さん、お待たせしました!!!
今回の話はセシリアさんの役得のお話でしたね^^
いつになったら、彼女は解放?されるのでしょうか(苦笑)
それとジェイミーさんの話題がちらほらと・・・彼女はいったいエルヴィンさんとどんな関係なんでしょうか?興味深々です、はい^^
ブクマを付けていただいた方にお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました~~^^
それでは、また来週このお時間にてお会いしましょう^^




