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魔女祭り57

「エルヴィン、お帰り。ちょっと遅かったね・・・?」


「ああ、すまなかったなマテウス。思わぬ邪魔が入ったもんで・・・」


 エルヴィンは後ろにいるハウサーをちらりと見る。


 ハウサーは咎めるようなエルヴィンの視線に、苦笑いしながらエルヴィンの横に立つと挨拶をする。


「マテウス隊長、パウル・ハウサー依頼の案件無事滞りなく終了させ本日ハンブルグより帰参しました!」


「ご苦労様でした、ハウサー。報告はまた後程詳しく聞かせてもらうね」


「了解です」


 エルヴィンが灯篭の立ち並ぶ場所からハウサーを伴って王宮の前方を灯す街灯の灯りがぼんやりと見える場所に近づくとマテウスが夜風に外套をなびかせながら待っていたのであった。


「で、どうだったのエルヴィン?」


 マテウスは気になっていた事をすぐに尋ねる。


「ああ、やっぱりソティリオの奴、灯篭に仕掛けをしてやがった」


 エルヴィンはズボンのポケットから小石ような物を取り出しマテウスに見せる。


「これだ」


「ん?これは・・・骨???かな・・・、ひょっとして召喚用のマジック・アイテムかい?」


「ああ、間違いないと思う。それと数も合うしな・・・」


「本当だ、11個あるね」


「デス・ナイトとデス・メイジをあわせて11体、偶然にしてはでき過ぎてるからな、まあ、また詳しく調べてみるけど」


「それって、まだ使えるの?」


「うーん・・・どうかな、また魔力を注ぎ直せばアイテムとしては復活するかもしれないけど、さすがに俺の能力でもデス・ナイト10体ってのは難しい・・・」


「エルヴィンでも!?」


「ああ、俺は召喚魔術師じゃないからなあ・・・」


「ふーん・・・じゃあ、あの道化者のソティリオは相当な魔術師ってことだね」


「うん・・・」


「となると、あいつの尊師って奴より強いってことだよね・・・?」


「ああ、はるかに強いだろうな・・・あいつの口ぶりから想像するだけだけど・・・」


「・・・」


「・・・」


 エルヴィンとマテウスは先行きの不安に同時に沈黙するのであった。


 と、その時


「エルヴィン殿~、捜しておりました~~!!!」


 二人の立つ場所より少し離れた所から野太い声が、


「エルヴィン殿、ここに居られましたか。マテウス殿が一人で歩いて行かれるのを見てもしやと思い追い掛けて来ました、ハッハッハ」


 声の主は近衛騎士団のベルクで、厳つい風貌にエルヴィンを見つけた安堵かその表情が笑みを浮かべていた。


「おお、ベルク殿、どうかされましたか?お怪我の具合は?」


「いやぁ、自分の怪我なんてたいした事はないですよ。まあ、念のためにセシリア様に治癒魔法を掛けてもらいやしたがね、ほれ、このとおりですよ」


 ベルクは折れていた左手首をくるくると回す。


「自分のことはさておいて、エルヴィン殿、うちの団長が報告したい事があると。どうか一緒に来てくれませんか?」


「レオ団長が?わかりました、早速行きましょう」





 


 エルヴィン達がベルクと一緒に王宮の玄関前に向かうと、そこには部下の騎士達に指示を与えている近衛騎士団団長のレオの凛々しい姿があった。


(あれ程、重症だったはず・・・セシリア殿に治癒魔法を掛けてもらったのかもしれないが、それにしてもさすが見事な立ち振る舞いですよ、レオ団長・・・)


 エルヴィンが胸中、レオの姿勢に感心しているとそのレオの傍らに立つ副団長のギレがこちらに気づき、軽くエルヴィンに目礼するとレオに耳打ちする。


「おお、エルヴィン殿!!」


 レオは声を上げると、早足でエルヴィンの前に立つと深々と頭を下げる。


「エルヴィン殿、今宵の貴殿の働きに対して感謝の言葉もあらぬ。自分の感謝の気持ちをこうした形でしか表せない自分の不徳をどうか許していただきたい・・・」


「レ レオ団長!あ 頭を上げてください!!他の団員達も見てますよ、ですから!!」


 レオは、エルヴィンの言葉を聞くと、顔を上げ真っ直ぐにエルヴィンの瞳を見つめると


「エルヴィン殿、自分のお礼の仕方は近衛騎士団全員の総意として受け取ってもらいたいのだ」


 レオがそう言うと周りにいるギレやベルク、更にはディートルも含めた近衛騎士団一同が一斉にレオと同じようにエルヴィンに向かって深々と頭を下げるのであった。


「レオ団長、どうか頭を上げてください。それに騎士団の皆さんも。先程も言いましたが、今宵あの魔物達を退けたのは私一人の力ではありません。ここに居るマテウスやヘル爺、いやホト宮廷魔術師殿の協力があってのこそですし、それに私達が王宮内より外に出るまでそれこそ身体を張って王陛下や来賓の方々を守ったのはまぎれもなく、レオ団長をはじめの近衛騎士団皆さんの力です」


 エルヴィンは、そこで一息つき周りを見渡しながら言葉を続ける。


「私は、あのような魔物達に敢然と立ち向かい、傷ついた皆さんの姿を見た時に感動の念を抱きました・・・皆さん・・・近衛騎士団は帝国随一の忠誠を誇る騎士団だと・・・。ですから、顔を上げてください、お願いですから・・・」


「ありがたい・・・ありがたい言葉だな。我らの傷ついた自尊心にも優しく溶け込むような言葉だ・・・」


 レオはしばらくの間、そのまま顔を伏せていたがやがて決然と面を上げる。


「皆の者、面を上げよ!。我ら近衛騎士団全員は今宵より帝国随一強いというくだらぬ自惚れを捨て去り人間相手だけでなく魔物相手にも太刀打ちできるよう明日以降、それぞれが意識を改め、研鑽練磨するよう近衛騎士団団長として命じる、よいな!!!」


「おお!!!!!」


 団長のレオの声に応じる各団員の雄叫びの声が王宮玄関先にて木霊する。


 エルヴィンは、近衛騎士団のその有様を見て安心したように頷くと、彼らの声が収まるのを待ちレオに声を掛ける。


「レオ団長、ベルク殿より報告したい事があるとのことでしたが」


「うむ、そうであったな、実は最初に異変を感じた部下の一人が灯りの消えた灯篭の建ち並ぶ場所から魔物達を発見したとの報告を受けたので取り急ぎエルヴィン殿に伝えようと思ってな」


「そうでしたか、私も灯篭の建ち並ぶ場所にここに来る前に違和感を覚えましたので気になり先程確かめに行ってきたところです」


「ほお、それで・・・」


「予感は的中でした、灯篭の蝋燭立て付近にこのようなものが」


 と言ってエルヴィンはレオに小石のような骨を見せる。


「これは?」


「はい、魔物召喚用のマジック・アイテムです。これを使ってソティリオの奴はあのデス・ナイト達を召喚したようですね」


「これを奴はいつの間に・・・?」


「レオ団長、確か王宮の灯篭に使う蝋燭は聖なる力が宿る蝋燭でしたよね?」


「うむ、いつも王宮御用達の蝋燭はマルクト教会で聖なる力で清められて使われることになっているはずだが・・・」


「その蝋燭を代える作業はどなたがやられているのでしょうか?」


「確か、王宮勤めの侍女達の持ち回りの仕事だったはずだが・・・」


「侍女さん達ですか・・・そうですか、では、後程今日の当番の方に異変が無かったかどうか確認してみましょう」


「自分の方からも女官長に声を掛けてみよう」


「ありがとうございます」


 エルヴィンとレオの話がひと段落するのを待っていたのか、副団長のギレがいつも通りの穏やかな表情でエルヴィンに声を掛けた。


「エルヴィン殿、お見事な戦いぶり感服致しました。あの凄血伯爵が正体のデス・ナイトを一撃で倒してしまうとは・・・本当にあの場面は鳥肌が立ちましたよ。さすが、帝国内最強と噂されるお方だと」


「いや、最強だなんておこがましい、あれはマテウスがあの凄血伯爵の注意を引き付けていたためたまたま運よく一撃で倒せれただけで、今宵のデス・ナイト退治の一番の功労者はマテウスですよ」


 そう言ってエルヴィンは振り返って見ると、うれしそうにニコニコしているマテウスの顔があった。


「それでもエルヴィン殿は凄かったです。ギレ副団長が言われたように実戦での戦う姿、本当に帝国内最強という言葉は真でした!!!」


 待ちきれないというように、ディートルまでが賞賛の言葉をエルヴィンに掛ける。


(あれ?この近衛騎士は・・・王宮廊下で絡んできた奴じゃ・・・)


 初対面での印象が悪かったディートルが、キラキラと目を輝かせて自分を賞賛するのを戸惑うエルヴィンである。


「いえいえ、本当に最強だなんてそんな評判は事実じゃありませんよ。なぜなら、剣の腕ではここに居るマテウスが自分よりも遥かに強いですし、ああ、そうだ」


 エルヴィンは思い出したように傍らに控えるハウサーを見て


「マテウスが率いる特務隊の一員である、このハウサーも私より剣の腕は立ちますよ」


 エルヴィンに名前を呼ばれたハウサーは軽く会釈をする。


「マテウス殿の強さは先程の戦いで充分わかりましたが、そちらのハウサー殿もエルヴィン殿より強いんですか?」


 ディートルの意外そうなという質問にエルヴィンは苦笑いを浮かべて答える。


「ええ、本当ですよ。先程も灯篭のある場所で殺されかけましたよ、ハッハハハ」


 と言って、血糊がべっとりと付いた袖口をひらひらさせるエルヴィンである。


 唖然とする騎士団一同、が、しかしエルヴィンのその言葉に鋭く反応したのがマテウスだった。


「エルヴィンを殺し掛けただって・・・ふーん・・・ハウサーって強かったんだね・・・」


 微笑を浮かべながら、瞳が笑ってない隊長のマテウスの表情を見てハウサーが慌てる。


「ち 違います、ご 誤解ですよ隊長!!!暗闇の中でエルヴィン団長ってわからなかったんですよ!!!」


 その慌てふためくハウサーを見て仕返しとばかりにエルヴィンが口を挟む。


「最初はな、最初は気づかなかったって言ってたなハウサー。途中からは俺って気づいてたのに稽古のために剣を向けてきたとも言ってたな、クッククク」


「だ 団長、勘弁してください、謝ったじゃないですか!!!」


「ハウサー・・・そんなに剣の稽古がしたければ僕がたっぷりと相手をしてあげるけど・・・」


「た 隊長との稽古は・・・その・・・」


「ハウサー・・・たっぷりとね・・・」


「は はい・・・」


 マテウスの静かな剣幕に落ち込むハウサーを見て気の毒に思ったエルヴィンはマテウスをなだめる。


「もうお仕置きは、それぐらいでなマテウス。このマジック・アイテムはハウサーが見つけてくれたんだから」


 と、その時不意にエルヴィンは、良い匂いと共に怪我をした手の袖口をそっと掴まれるのを感じた。


「エルヴィン様、お話しの途中で申し訳ありませんがお怪我の治療をさせていただけませんか?」


「あっ、フィーネ殿・・・」


 



 


 




 

 

近衛騎士団の方達とのやりとりはどうだったでしょうか?


それと、あの侍女さんも来週は再登場しそうな予感ですね^^


最後に、フィーネさん!!!


セシリアさん達とのお話の詳細は次週にて!!


ブクマを付けていただいた方にお礼を申し上げます。


本当にありがとうございます~^^


それでは、また来週もこのお時間にてお会いしましょう^^

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