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魔女祭り55

 なだらかに下る王宮からゴスラー市街へと続く道をエルヴィンは足音も立てずに歩いている。本来であればこの地の名所となっている灯篭の灯りが今夜は見えることがない。エルヴィンはふと足を止めると、顔を小刻みに虚空の中で動かす。どうやら風向きを気にしているようだ・・・。エルヴィンはその場所で灯篭の建っている場所を暗闇の中で凝視し続けることしばしの間・・・やがて小さくため息をつく・・・。


(やはり当たりか・・・、何者かわからぬが灯篭の辺りで気配がする・・・)


 エルヴィンはその場でじっと動かず怪しい気配を探っていたが


(ちっ!、気づかれたか!!!)


 風向きがエルヴィンのいる場所が風上になったとたん、怪しい気配の人物?が動きを止めるようにエルヴィンは感じられた。


(うーん・・・俺の気配を感じとったようだな・・・。多少危険だが試してみるか・・・)


 エルヴィンはそう胸中にてつぶやくと、やはり足音をたてないまま灯篭のある場所へ動き始める。やがてぼんやりと最初の灯篭がぼんやりと見える位置でエルヴィンはその歩みを止め、前方の暗闇を凝視する・・・。


(道の上では怪しい気配は感じられない・・・と なると道の両脇に身を潜めたか・・・)


 エルヴィンは暗闇の中、周りを警戒するように視線を移動させる。


(一人か・・・それとも複数か・・・いずれにしてもこれだけ気配を消すことができるとなると・・・相当な手錬だな・・・。こりゃあ、マテウスを連れてこなかったのが失敗だったか・・・)


 エルヴィンは少し考える風情であったが意を決したように左手を剣の柄に置くと足を進める。用心深く立ち並ぶ灯篭の中をゆっくりと進むとやがて灯篭の一つの前で視線を落とす。


(ん?これは・・・)


 エルヴィンは地面に落ちている小石のような物が複数固めてあるのを気づき、腰を屈めそれを手にする。


(これは、マジックアイテム・・・召喚用の骨だ・・・いったい誰がここに・・・。俺が夕方アリスティッド卿とここを通った時に感じた魔法の残滓はこれだったか・・・)


 エルヴィンは手に取った骨をしげしげと眺めていたがその時、


(や、やばい!!!)


 ーーーヒュンッ!!!---


 いきなり背後から風きり音と共に強烈な斬撃が襲いかかって来るのを無意識の内に前方に身を転がせかわす。


「いきなり、ご挨拶だな・・・」


 エルヴィンは、立ち膝の姿勢で次の攻撃に備えながら襲撃者に声を掛ける。


「・・・」


 その襲撃者は無言でエルヴィンを見ている。


「お前さんかい、この骨をここに集めて置いたのは・・・?」


「・・・」


「この骨、いやマジックアイテムを使ってデス・ナイトを召喚したソティリオのお仲間かい・・・?」


「・・・」


 エルヴィンは襲撃者がデス・ナイトという言葉にわずかながら反応したのに感づく。


「まだ、だんまりを続けるつもりかい・・・」


 襲撃者は身じろぎもせず無言のまま、エルヴィンを見つめている・・・。


(こ こいつはやばいぞ・・・相当喧嘩慣れ、いやっ、戦い慣れしてやがる・・・こいつは俺が動いた瞬間攻撃するつもりだ・・・)


 エルヴィンは剣を抜いたまま凄まじい殺気を漂わせている襲撃者を見ながら、うっすらと冷や汗が出るのを感じている。


(まいったなあ・・・ソティリオといい、こいつといい、今晩はどうしてこんなに厄介な奴とばかり出くわすんだろう・・・)


 襲撃者は右手に下げていた剣をすうっと片手で右肩に担ぐように構え直すとじりじりと間合いを詰めてくる。


(相手にこちらの間合いを掴めさせない構えか・・・。暗闇での戦い方まで心得てるときたものだ・・・)


「どうしても、口を開かないってことなら・・・容赦はしないぜ。ただ殺られる訳にはいかないからな」


 エルヴィンはそう言うと立ち膝の姿勢から蹲踞の姿勢に変え、右手を剣の鍔元に手を添える。


 襲撃者はエルヴィンの構えに一瞬、足を止め、今度はエルヴィンの右側に自分の位置を移動させる。


「できるねえ、おまえさん。咄嗟に俺の抜き打ちを警戒して、攻撃しずらい位置に身を移すなんて・・・だが、これならどうする?」


 エルヴィンは、そう言うと蹲踞の姿勢から腰を上げ右足を前に出すと浮き腰のまま改めて腰を沈め襲撃者に向き合う。


 エルヴィンと無言の襲撃者はそのままの姿勢でしばらく対峙していたが、やがて襲撃者の方が肩に担いでいた剣を両手に持ち変えると剣を水平に構え左足を前に出し腰を沈める。


(突いてくるつもりか・・・)


 エルヴィンは相手の構えを見ると、更に腰を深く沈める。相手からの的を小さくし突きの攻撃をしずらくするためだ。


 どれくらい二人はそのまま睨み合っていたのか・・・エルヴィンは無言の圧力を掛けてくる正体不明の襲撃者の剣の切っ先を見つめながら考える。


(やはり、こいつは強いぜ・・・こっちの隙を待ってやがる・・・。だが、あえて誘ってみるか・・・)


 エルヴィンは剣の鞘を握る左手に、つうーっと垂れる血の感触を思い出す。この襲撃者の最初の一撃をかわした時に袖口を切られていたのだ。


(今晩は、よく服を斬られる日だったな・・・また買い換えないといけないか・・・。さてと)


 エルヴィンは血が垂れている左手首を口元に持ってゆき、ペロリと舌で舐める。その時、襲撃者が隙ありと見たのか無言のまま猛然と突きに体を乗せ襲い掛かったのだ。


(誘いに乗ったか!!!)


 ---キィッン、ガッキィーンーーー


 エルヴィンは、抜き打ちで突いてくる襲撃者の剣を払うと返す剣でそのまま目にも留まらず両手に持ち替え必殺の斬撃を相手に打ち込むがその一撃を襲撃者は寸での所で受け止めたのであった。


 自分の渾身の攻撃を防がれたエルヴィンの表情には驚きの色が浮かび上がる。その時、


「ウッフフフ、ハッハハハ」


 すっと無言のままの襲撃者が声を上げ笑い出したのである。


 エルヴィンは、さっと身を引き怪訝そうに襲撃者を見つめ身構える。


「いやあ~やっぱりエルヴィン団長でしたか、久しぶりに団長の必殺剣を味わいました!!!相変わらず凄まじい剣の冴えですね、真面目に死ぬかと思いましたよ~、ハハハ」


 急に話し出し笑いを続けるその襲撃者は、剣を徐に鞘に収める。


 呆気にとられたエルヴィンは


「だ 団長って・・・お前は・・・?」


「エルヴィン団長、久しぶりですハウサーです!!!」


「ハウサー!?・・・」










 


 


 


 


 



今回のお話は真剣なエルヴィンさんの戦闘シーンでしたね、そおそお、ハウサーさん初登場です~!!!


いったい、どんな方なんでしょうね^^


次週にご期待を^^


ブクマを付けていただいた方にお礼を申し上げます。


本当にありがとうございました、励みになります。


それでは、皆様、また来週もこの時間にてお会いしましょう^^

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