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魔女祭り52 ヴァネッサ

「どうかしたの、エルヴィン?」


「いや・・・」


 マテウスは、王宮からマルクト市街へと視線を向けながらぼんやりと立っているエルヴィンに気づき尋ねると自分もエルヴィンの傍らに並び同じ方向に目を向ける。


「何か気になることでも?」


「ああ・・・マテウスお前何か変だと思わないか?」


「うん?何が・・・」


「この時間にこの場所からマルクト広場の方を見ると必ず目に入る光景が見当たらないんだよ・・・」


「ええっ???僕は何も感じないけどね・・・それにエルヴィンみたいにこの王宮へ度々来ることはないから・・・」


「まあ、そうだな。いや・・・灯かりが見えないと思ってな・・・」


「灯かり?」


「うむ、そうだ灯かりだ・・・この王宮へと続く道の両端に建っている灯篭のな・・・」


「あっ!言われてみればそうだね」


「ここへ来る途中、灯篭のある場所で少し違和感を感じたのを今思い出したんだ・・・」


「違和感って・・・」


「魔力を使った残滓が感じられた・・・」


「・・・」


 マテウスは黙ってエルヴィンの顔を見る。


「少し気になる・・・俺はちょっと様子を見て来るわ」


「僕も一緒に行こうか?」


 エルヴィンは心配そうに自分を見つめるマテウスに安心させるよう微笑むと


「いや、マテウスには念のためにここに残ってもらいたい」


 エルヴィンはそう言い振り返るとマテウスに視線だけで見ろと促す。その視線の先ではデス・ナイトとの戦いで負傷した近衛騎士団の治療を始めたセシリア達の姿があった。


「さすがにすぐにまたあいつらが襲ってくることは無いと思うが・・・まあ、念のためだマテウス、少しの間だけここを守っていてくれ、頼む」


「うん、わかったよエルヴィン」


 二人は治療を受けているレオ達近衛騎士団の姿をしばらく眺めていたが、ふとマテウスが口を開く


「このままじゃ、ここ・・・危ないねえ・・・」


「ああ・・・そうだな・・・。今日はたまたま俺とお前が居たけど・・・」


「うん、またあいつら襲ってくるかもね・・・」


「うーん・・・、マテウスよ今うちの団で非番の部隊ってあったかな?ここゴスラーに戻ってるなら一番好都合なんだけど」


「どうだろう・・・街では他の隊の連中とは最近会ってないからね・・・」


「そうか・・・」


「そう言えばエルヴィンさ、ヴァネッサにはゴスラーに戻って来たって連絡したの?彼女が、うちの団の活動状況全て把握してるんだから聞いてみたらいいよ」


(し しまった・・・ヴァネッサのこと・・・すっかり・・・)


「クックック・・・あははは!!!どうやらその顔色を見ると・・・忘れていたみたいだね」


 マテウスはだんだんと顔が蒼ざめていくエルヴィンの表情を見て面白そうに見ている。


「ま まだ連絡してないんだ・・・」


 マテウスは、苦渋の表情で答えるエルヴィンをからかうように続ける。


「ダメじゃないかエルヴィン!団長がヴァネッサに黙ったままローマに行っちゃったもんだから彼女、僕の顔見る度に、団長はどこ?いつ帰ってくるのって、そりゃあたいへんな剣幕だったんだからね」


「そ そうか・・・すまなかったな・・・」


「エルヴィン、僕がこんな事言うのも何だけどヴァネッサのこと・・・彼女のこともっと労ってやらないとダメだよ。エルヴィン不在中彼女はうちの団への苦情やまた団員からの要望や苦情に一人で対応してたんだから・・・最もエルヴィンが居ても彼女に任せっきりだとは思うけど・・・」


「・・・、その通りだ・・・マテウスの言う通りで反論の余地もない・・・」


「ヴァネッサはうちの団にとって切り盛りする女将さんみたいな存在で、エルヴィンにとっては女房みたいな存在でしょ?だから、今すぐここで連絡してよ、エルヴィン!さあ、団長!」


「えっ?今、ここで?」


「そうだよ」


(何でマテウスの奴こんなにヴァネッサの肩を持つんだ・・・確かにヴァネッサの事に関してはマテウスの言う通りなんだが・・・女房みたいな存在かあ・・・)


 何となくマテウスの剣幕に疑問を感じるエルヴィンだったが気を取り直して少し赤みを帯びた茶髪のヴァネッサの姿を思い出し連絡を取ることにしたのであった。


「エルヴィン、ヴァネッサには僕から聞いてすぐ連絡したって言うんだよ、か な ら ず」


「ん?ああ、了解した・・・」


 自分の顔を食い入るように見つめるマテウスの視線に戸惑いながらエルヴィンは右手の人差し指を額に当て意識を集中させる。


「エ・ネナゴン(念話)」


「キャアッ!!、だ 誰?  ひょっとして  え エルヴィン団長なの?」


「ヴァネッサ、夜分に驚かせてすまない、俺だ・・・エルヴィンだ・・・。今、話をしても良かったかな?」


「だ 大丈夫です。今、お風呂に入ってるところだったから・・・」


「そ そうか・・・」


 エルヴィンは彼女の均整の取れた女性らしい柔らかな肢体を想像し少し顔を赤らめる。


「ど どうかしたのですか?ね 念話で話掛けられることなんて滅多にありませんでしたから・・・」


「いやっ、今日ゴスラーに戻って来たから報告を・・・と思って」


「そ そうなんですね、私は今日一日中ギルド協会本部に居ましたから声を掛けてくれれば良かったのに・・・(エルヴィン団長がいつ戻っても会えるように・・・)」


「うん?言葉尻がよく聞こえなかったのだが・・・」


「い いえ、な なんでもありません!!!気になさならずに、それでエルヴィン団長はゴスラーのどこにいらっしゃるのですか?自宅でしょうか?(そ それとも わ 私の家の前・・・)」


「ごめん、ヴァネッサ気のせいかまた言葉の最後がよく聞こえなかったけど・・・」


「い いえ、気のせいだと思います・・・」


「そうか、なら良いんだが・・・、ああそうだ、今自分は王宮に居るんだ」


「王宮ですか?」


「詳しい事はまた話すことになるけど、うん?・・・」


 エルヴィンは顔を近づけるマテウスに気づき、


「ああ、ここにマテウスも一緒に居るんだけど奴がすぐにヴァネッサ嬢に連絡しろって言うものだからそれで・・・」


「そ そうなんですか・・・マテウスさんが言われたから・・・」


 寂しそうに言いよどむヴァネッサの表情を思い浮かべてエルヴィンは慌てて付け加える。


「いや、ヴァネッサ!マテウスの奴に言われただけで君に念話をしたわけじゃないんだ。俺の方も団のためにいろいろと心を配ってくれている君の声が聞きたかったというのも本音なんだよ」


「わ 私の声を・・・」


「う うんそうだ。その次いでなんだけどヴァネッサ、確認したいことがあるのだがいいかな?」


「仕事ですね!?」


「ああ、そうだ」


 エルヴィンは仕事ですねと言った彼女の表情がきりりと引き締まったのがすぐに想像できる。


「どうぞ」


「現在、ここゴスラーに一番近く居て非番の隊はあるかな?」


「復唱します、エルヴィン団長。ゴスラーに一番近くに居て非番の隊ですね・・・」


「ああ、把握できてるかな?」


「少々お待ちを・・・」


 エルヴィンはデスクの上に勤務表を取り出しパラパラと綺麗な指先でめくるヴァネッサの表情を思い浮かべる。


(もちろん、今は入浴中なんだけどな・・・)


 エルヴィンは真剣な表情で最終確認をするときに無意識に口元の小さな、ほくろの部分にそっと指を添える癖のある彼女の姿をまた思い浮かべるのであった。


「お待たせしました、エルヴィン団長。要望に合うのは明日午前中に、トゥライ(3番隊)がオーストリア・フィラッハよりゴスラーに戻ってくる予定です」


「トゥライ(3番隊)か!ヴァルターの隊だな」


「はい、明後日であればフランス・リヨンより、フィッアー(4番隊)も戻る予定になっておりますが・・・」


「フィッアー(4番隊)ヘルベルトも戻るか!、ありがとうヴァネッサさすがだ・・・本当に助かる」


「いえ、これぐらいは・・・私のできる範囲の仕事ですから」


 きりっとした口調のヴァネッサの言葉にはエルヴィンに賛辞されてうれしそうな感じが見える。


「いや、ヴァネッサ本当にいつもありがとう。君は自分にとって本当に掛け替えのない存在だよ感謝する」


「そ そんな・・・」


「そうかあ・・・そうだな、これがマテウスの言う俺にとって女房みたいな存在ってことなんだな・・・」


「にょ 女房ですって!!!」




 




 





おっと!!!またまた存在感のある女性の登場です。


ヴァネッサ嬢・・・もっと知りたいですね、はい^^


ブクマを付けていただいた方にお礼を申し上げます~^^


本当に、ありがたく思います。感謝、感謝いたします~^^


それでは、また次週もこのお時間にてお会いしましょう^^




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