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魔女祭り50 ヒルダと

(はあ・・・何で私はここで・・・こんな目にあってるのかな・・・)


 気持ちの良い夜風がかすかに焦げ臭ささを伴い、私の頬をゆっくりと触れてゆく・・・。


(ディニュに言われて今晩王宮で面白い見ものがありそうだと・・・まあ、確かに好奇心を持ったのは事実だし・・・)


 ヒルダは無意識の内に、右手で風になびく自分の緑色をした横髪をかき上げる。


(まさか来てみれば、デス・ナイトやデス・メイジの戦いに気がつけば巻き込まれてしまってるし・・・はあ・・・本当、訳がわからない・・・)


 呆けた表情でその場で座り込んで焦点の合わない視線をヒルダは泳がせる・・・。


(そ そうよ・・・あの男・・・あのエルヴィンという傭兵がいけないのよ!あの男の所為で私がこんな目に・・・それにしてもあいつは・・・何なの・・・?無詠唱であんな強力な魔法を次から次へと・・・常識外れでしょ!!!た 確かにマルクト広場であいつを占いと称して魔力の量を計った時にとんでもない魔力を持ってるとは感じたけど・・・)


 耳に添えられた指先が光沢のある彼女の緑色の髪とが相まってとても美しい・・・。


 と、その時


「ヒルダさん・・・」


(えっ!?)


「ヒルダさん、大丈夫ですか、怪我はないですか?」


「あっ、ええ!?・・・」


 ヒルダは自分を呼ぶ声に顔を向けると驚いて目を大きくしてしまう。今の今で思い出していた男の顔がすぐ目の前にあり心配そうに自分を覗き込んでいたのだ。


(ち、近い!!!)


 ヒルダはびっくりする。


「驚かせてすみません、呆然として座り込んでいましたから・・・」


「だ、大丈夫よ。少し今の状況に戸惑って考え事をしてただけだから・・・」


 ヒルダは胸の鼓動が大きくなるのを感じ顔を赤らめる。


「そうですか、安心しました」


「それはそうと・・・そ その・・・」


「はい?」


「ち 近いわよ・・・」


「え?」


「あ あんたの顔が・・・」


「あっ!すみません、失礼しました」


「・・・」


 ヒルダは失敗して照れ隠しのためか頭をポリポリとしながら申し訳なさそうにして顔を遠ざけるエルヴィンの表情を見てまた胸の鼓動が更に大きくなるのを感じてしまう・・・。


(今宵の私・・・何だか・・・変だわ・・・。明晩のヴァルブルギスの夜の影響かしら・・・)


 ヒルダの目の前でエルヴィンは身を起こすとふと気づいたように落ちている杖を拾い上げるとマジマジといろんな方向から調べるように覗き込んでいたが安心したようにヒルダに手渡す。


「とても素晴らしい魔法の杖ですね、壊れてはないようです」


「あ、ありがとう・・・」


 ヒルダはエルヴィンから杖を受け取る時に、ハッとする。


 杖を渡そうとしたエルヴィンの右手の袖口が破れており腕が露わになっていたのだ。あのデス・メイジとの魔法戦の最中で裂かれたのだろうか。


 エルヴィンはヒルダのその視線に気づくと


「破れちゃいましたね。気に入った服だったけど繕うことは・・・まあ・・・無理そうだな・・・。買い直さなきゃいけませんね、アハハハ」


 エルヴィンは、はにかむように小さく笑い声を上げるとおもむろに破れた袖口を腕まくりする。


 ヒルダはエルヴィンの剥き出しになった、たくましい腕に見とれている・・・。

 

 エルヴィンの一連の動作を凝視しているヒルダの姿に違和感を持ちながらも


「ヒルダさん、今晩は本当にありがとうございました。あなたのおかげで魔物達の襲撃を防ぐことができました、この通りです」


 エルヴィンはそう言うとヒルダに向かって頭を深く下げる。


「い いいのよ。さっきも言ったけど私が勝手にやった事だから・・・」


「ヒルダさんは、そう言われますが自分としてはやはりこのお礼をしなければ納得できませんので」


「お礼・・・って」


「ええ、気に入ってもらえるかどうか分かりませんが、美味しい食事を招待できればと」


「美味しい食事?」


「ええ、そうなんです。自分の住んでいる所が食堂をやってるんですよ、もし良ければ食べにきてください、私の名前を言えばご馳走できるようお店の者には伝えておきますので」


「あんた・・・いや、エルヴィンあなたが住んでいる場所が食堂なの?」


「はい、お店の名前はノクターン亭と言います。マルクト広場から少し住宅街に入った場所にあるんですよ。通り沿いに店はありますので誰かに聞けばすぐ分かると思います」


「そう・・・ノクターン亭というお店ね・・・。気が向いたらお邪魔するわ」


「是非、来てください」


「さてと、今晩は疲れたからもう帰ることにするわ・・・」


 ヒルダはそう言って立ち上がるとローブのフードで顔を隠しチラリとエルヴィンの覗いた腕を一瞥すると何故か顔を赤らめる。


 エルヴィンは黙ったままヒルダの姿を見ている。


 ヒルダは思い直すように意識を集中し始めると転移の魔法の詠唱を口ずさむ。


 すると、ヒルダの姿はエルヴィンの視界から消えるように夜陰に溶け込む。


(彼女の正体は・・・恐らく・・・。まあ、いいかあ・・・)


 エルヴィンはヒルダが消えた場所を見続けながらそう考えるのであった。






 


 

 



ヒルダさんが、ポッて(笑)


エルヴィンさんにドキドキされっぱなしのヒルダ女史でした^^


今回は区切れの50回目の投稿でした。


皆さんの感想はどうだったでしょうか?


今後も一回、一回心を込めて皆さんにこの物語をお届けできるように頑張ります!!!


最後に、ご挨拶です。


ブクマを付けてくれた方にお礼を申し上げます、ありがとうございます。


本当に励みになります。


この物語を楽しみにして頂いてる全ての皆様に・・・本当にありがとうございます。


次週もこのお時間にてお会いしましょう~^^



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