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魔女祭り48 魔法戦の決着

(す 凄まじい・・・)


 サマヌは闇にその体を溶け込ませながらエルヴィンが発動させた攻撃魔法の威力に驚嘆する。


(無詠唱であれほど強力な魔法を使えるとは・・・恐るべき魔力の量ですね・・・。ただ、いかんせん私の位置がわからずにむやみやたらに攻撃魔法を発動させてるだけですが・・・)


 サマヌはエルヴィンの姿をじっと凝視していたが思い出したかのように


(とは言え、あの威力の攻撃魔法が偶然にもこちらに当たることでもあれば事ですからさっさとこの場所から離れるとしましょう・・・ん?)


 サマヌだ転移魔法を唱えようとしたその時、


「深層の理で導かれる叡慮の眼よ・・・我が眼にしばしの間その力を借し与えたまえ・・・ヴィージュア・リーズアホン(可視化)!!!」


 ホトの可視化の魔法詠唱がサマヌの耳に聞こえる。


(これは、私としたことが・・・つまらぬ油断を・・・)


 サマヌはホトの顔を見つめるとその顔がニヤリと笑うように見えた。


「そこに居ったか、異形のデス・メイジ(骸骨魔術師)よ」


 ホトの目に鋭さが増す。


「フラムン・クーゲル(炎弾)!!!」


 ホトの詠唱が終わるや否や彼の指先か炎の塊がほとばしり誰も居ないはずの場所に火の粉を撒き散らしながら飛んでいくが、途中でその炎弾がドゴオンという音と共に弾け飛ぶ。


「ふむ、防ぎよったか。ならばこれならばどうじゃ」


 ホトの指先には先ほど出現させた炎の塊より更に大きな炎の塊が現れる。


「フラムン・クーゲル(炎弾)!!!!」


 ゴオーという音が闇を引き裂くよう同じ場所に向かう。


 ーーードッゴオオーンーーーー


 凄まじい音がその場に轟くと、散らされた炎の粉の明るさの中でたたずむ人らしい影が映る・・・。


「お見事です、ヘルマン・ホト宮廷魔術師殿。あまりの速さのため逃げることもあたわず防ぐのが精一杯でございました」


 そう語る男の顔は頭蓋骨、その身体を覆う漆黒のローブのおかげでその顔の白い部分だけが異常に強調され不気味さを際立てていた。


「やっと姿を現しおったな、わしの攻撃を二度防いだ事は自慢してもよいぞ。だが、もう隠れることはできまいて、わしの攻撃を防ぐため魔力をかなり消耗したであろう」


「答えずらい質問でございますな・・・」


「ということだ、エルヴィンよ」


「ヘル爺、助かったぜ!!!」


 エルヴィンはそのホトの言葉を待つまでもサマヌの方に走り出す。


「クッ、転移魔法を唱える時間が・・・ならば」


 サマヌは迫るエルヴィンの姿を視野に入れながら意識を集中させる


「氷雪の賢者よ我が意思の魁となり力を借したまえ・・・顕現せよアイスピアー(氷槍)!!!」


 サマヌの持つ杖の先から現れた氷の槍の群れがエルヴィンの身に襲い掛かる。


(チイッ、かわす暇はないか!)


 エルヴィンはその場で立ち止まると右手をかざす。


「スィーデス・ファイアス(炎の盾)!!!」


 エルヴィンの詠唱が終わると紅蓮の色の炎の盾が彼の前に現れ、氷の槍を遮る。


「マテウス、奴をおとなしくさせろ!!!」


「もう、側に居るよエルヴィン」


 不意に声を聞いて振り返るサマヌにいつの間に近づいていたのかマテウスの姿がそこにあった。


「そうだよ、エルヴィンに気が取られて自分の存在を忘れていたみたいだね骸骨魔術師さん」


 マテウスはスラリと剣を抜くと


「もう逃げられないよ」


 と、無表情のままそう告げる。


(主殿、サマヌは戻れそうもありませぬ・・・約束を違えてしまい申し訳ございません。ですが凄血伯爵殿は回収し主殿の元へと送っておきましたので・・・)


 じっと立ちすくむ骸骨魔術師を訝しそうにチラリと一瞥したマテウスだったが剣を握る右手に力を込める。


 が、その時、


「マテウス、そいつから離れろ!!!」


「えっ?」


 マテウスは気のせいか表情のない骸骨の顔が笑うように見えた。


「マテウス勘弁しろよ、フラムン・クーゲル(炎弾)!!!」


「え、ええええ・・・???」


「ゼーヴシュターロング(自爆)!!!」


 エルヴィンの放った炎弾がマテウスの身体を吹き飛ばすとほぼ同時であった


 ----ドゥバァーーンッ!!!----


 サマヌの身体が轟音と共に飛散する、自爆の魔法を使用したのだ。


 マテウスは顔を庇った剣を持つ右手をそっと下ろしゆっくりと目を開ける。


 チリチリと芝生が焦げる臭いが辺り一面から漂っている。


(うん?助かったのかな・・・)


 ザッ、ザッ、と夜風に乗った歩く音が近づくのがわかりそちらに目を向けると彼が信頼する男の顔が見える。男の顔は苦笑いをしているようだ。


「マテウス、大丈夫か?」


 男に尋ねるとマテウスは自分の状況を思い出した。


「エルヴィン・・・ひどいよ、死ぬかと思ったよ」


「ああ、ごめんすまなかったな、ただあの時マテウスを救うためにはあの方法しか思い浮かばなかったからな」


「それでフラムン・クーゲル(炎弾)で自分が間違って死んだらどうするつもりだったのかな?」


「アハハハ、手加減したから死ぬようなことはなかったろ、マテウス?」


「まあ、こうして無事みたいだから許してあげるけどなんか釈然としないよ・・・」


「悪かった、マテウス、この通りだ」


 エルヴィンはそう言ってマテウスに頭を下げる。


「もういいよ、頭を上げてエルヴィン。結果的には自分を助けてもらったわけだしね・・・そうだエルヴィン」


「ん?」


 頭を上げて目だけで尋ねるエルヴィンに


「じゃあ、そのお詫びにノクターン亭でのご馳走の約束にもう一品追加で手を打とうかな」


「ああ、了解だマテウス。本当に今晩は助かったよ、ありがとう」


「礼はいいよ、団長を助けるのが特務隊の仕事だしねエルヴィンも無事で良かった」


 尻餅をつきながらマテウスは周りを眺め回すと


「とりあえず、これで終わりかな・・・誰も捕まえることはできなかったけど・・・」


「ああ、そうだな・・・」


 そう言ってエルヴィンもまたマテウスと同じように周りの夜陰を眺めるのであった。







 





お盆休みもほとんどの方は今日で終わりでしょうか?


過ぎれば早いものですね、いい休日を過ごされましたか?


ついに、戦いが終わりました。皆さんの感想はどうだったでしょうか?


この後はこの事件の後始末的なお話になりますが、この夜の出来事が登場してきた人物達の今後に非常に大きく影響されるのは言うまでもありませんね。


次話からはヒロインズ達の心の言葉も含めて登場人物達の描写を丁寧にお話できればと考えています。


来週は所要がありまして書き込むことができそうもありませんのでご容赦のほど、お願い申しあげます。


ひょっとしたら、前日の土曜日に書き込むことができれば・・・頑張ってみますね^^


それでは最後にご挨拶です。


この物語を楽しみにして頂いてる全ての皆様にお礼を申し上げます。


本当にありがとうございます^^





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