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魔女祭り46 デスナイトとの決着

(ディニュ!あんたまで何で戦いに加わってるのよ!?)


 ヒルダは咎めるようなきつい目でディニュを睨みつける。と、その視線に気付いたかのようにディニュはニヤリと薄笑いを浮かべたように見えた。


「ヒルダさん、ディニュ殿とはお知り合いなのですか?」


「えっ?い いえ・・・」


 不意にエルヴィンに声を掛けられたヒルダは咄嗟に取り繕うように答える。


「そうですか・・・」


 どこか訝しそうに自分の顔を見つめるエルヴィンに対し慌てて顔を伏せるヒルダは


(ま まさか今の一瞬で私とディニュの関係を・・・いえ、わかりっこないわね・・・)


「占い師の姿の時に、立ち寄ったお客に似てたように思ったから・・・」


「なるほど、そうでしたか。ああ、そう言えば・・・ハハハ」


 急に思い出したかのように笑い出すエルヴィンに


「な 何よ!急に思い出し笑いなんかして」


「いや、ヒルダさんの占いどおりだったなあ・・・と」


「え?」


「マルクト広場で教えてくれましたよね、南の方向に行くと面倒ごとに巻き込まれるって」


「そ そうよ、あれほど最後に私が言ったのに・・・」


「すみませんでしたね、次回からは気を付けます」


 ペコリと頭を下げたエルヴィンの様子に毒気が抜けたようにヒルダは答える。


「ま まだしばらくはこっちにいるから、ま また来なさい。占ってあげるから」


「ええ、必ず伺いますよ。その時でいいですからどうして今晩この場所に来られたのかも教えてください」


 いたずらっぽい表情で微笑むエルヴィンの言葉にヒルダは絶句する。


「えっ!?」


「さてと、ヒルダさん」


 急に表情を引き締めたエルヴィンに身構えるヒルダは


「な 何よ?」


「姿を隠している魔術師を見つけたいのですが、ヒルダさんは可視化の魔法は使えますか?」


「か 可視化の魔法ですって!そんな高位の魔法は取得してないわ・・・」


「そうでしたか、ヒルダさんならもしやとも思ったのですが・・・。時間があれば自分が発動させるんですけどね・・・」


 エルヴィンはそう言いながらもすでに何十合か打ち合っているマテウスとデス・ナイトの戦う姿を眺める。


「あ あんたは可視化の魔法も唱えれるのかい?」


「ええ、ここ久しく使ったことがないので少し自信はありませんがね、まあ大丈夫でしょ。ああ、こりゃあそんな時間もなさそうだ・・・」


 エルヴィンの視線の先にはデス・ナイトの剣勢に押されはじめたマテウスの姿があった。


「ヒルダさん、ひとつだけお願いがあります。引き受けてくれませんか?」


「で できることならね」


「暗闇の中に魔力の高まりを感じたらすぐに教えてください、できますか?」


「魔力の高まりを感じたらあなたに教えればいいのね、それぐらいならやれるわ」


「ありがとう。それじゃあ、あの化け物をとっとと倒すことにするか」


「そ そんな簡単に倒すって・・・」


「ヒルダさん申し訳ないが、もうしばらく御自身の身は自らで守ってください、このお礼は必ずやお返ししますから」


「き きっとよ!」


「ええ」


 エルヴィンはそう言うと身を翻しマテウスの方へ歩みを進める。


(さっさとあの化け物を倒してしまいなさい、逆にやられたら・・・ただじゃおかないから・・・)


 悠然と歩くエルヴィンの背中を見つめるヒルダはそう囁く。






「どうした、剣先が落ち気味だぞ、それに剣の勢いが弱ったようだがな、フフフ・・・」


 くぐもった声で嘲笑を上げるデス・ナイトに対しマテウスは焦り始めていた。


(少しばかりやばいかも・・・あいつは化け物だから無尽蔵の体力だけどこっちは生身の人間なんだからさ・・・)


「そうだね、さすがに疲れてきたのは認めるよ凄血伯爵さん。そろそろ自分も限界っぽいから終わりにしようか」


「ふむ、これで終わりかと思うと少々残念だが、お主はよく戦ったぞ。わしがこんなに幾十合も剣を交えたのはお主が始めてだ。それに敬意を表して全力で止めをさしてやろう」


「お褒めに預かって光栄なんだけど、止めをさされるのは残念ながら自分の方じゃなくあなたの方じゃないかな」


「まだへらず口はたたける元気はあるようだな、フフフ」


「そんな余裕を見せれるのも今だけだよ凄血伯爵さん、もう一人の存在を忘れてるみたいだね」


「何だと?」


「待たせたな、マテウス」


「遅いよ、団長~、いつまであの美人さんと乳繰り合ってたんだよ」


「誰が、乳繰り合ってたんだ。まだそんな口がたたけるようなら大丈夫そうだな」


「いや、もう無理、限界!!!」


「繰り言ならあとでゆっくりと聞いてやる、殺るぞマテウス!!」


「そうだね、時間もそうありそうもないし・・・」


(姿を隠している魔術師はどうするんだい、エルヴィン・・・?)


「そう言えば、お主も居たのであったな」


「ああ、そろそろケリを付けさせてもらうぞ凄血伯爵・・・」


 デス・ナイトこと凄血伯爵の声に応じたエルヴィンは腰を深く静かに沈めると鞘に収まったままの剣の柄に右手を添える。


「うん?変わった構えだな・・・」


 エルヴィンの構えに警戒するように声をこぼす凄血伯爵に向けて


「ハアッァーーー!!!」


 マテウスが闘気を上げるとその声に揺れるようにその身を覆う金色のオーラが鮮やかに揺らめき始める。


(これほどの闘気をまだ持っておったか・・・)


 凄血伯爵ことカール・フォン・ビュックラーはマテウスの気配に驚愕する。


(それと、反対側に身を沈めるこのエルヴィンとか申す傭兵団団長から伝わる無言の圧力・・・フフフ、良いかな良いかな。これほどの使い手と合間見えることができるとは!!!)


 強敵と対峙することによって精神を高揚させている凄血伯爵の心の内を知ることもなくマテウスは前面に立つ敵を倒すことにだけ集中する。


(この一撃で決める・・・もし決めれなくともあいつに隙ができればエルヴィンが仕留めてくれるよね・・・)


 マテウスは背中の腰のやや上の部分に自らの重心を置くと、柄を持つ両手の人差し指の間を心持ち緩め切っ先をゆっくりと上下に揺らし始める。


 エルヴィンとマテウスに挟まれるように屹立する凄血伯爵は身動ぎもせず二人から発せられる闘気を受け止めている。


 そのジリジリとする時間がどれくらい経ったのであろうか、静寂の場に一閃の掛け声が響く!


「シャアッーーー」


 静かに腰を沈めながらにじり寄るエルヴィンの気配に気を取られていた凄血伯爵にマテウスが仕掛けたのであった。あっという間に凄血伯爵の間合いに踏み込むや否や剣を引き付け凄血伯爵の喉下に凄まじい突きを入れる。凄血伯爵は剣で受け止めれないと判断しその外貌からは想像できないほどの機敏さで首を捻りマテウスの切っ先をかわす。


「そこだっ!!」


 マテウスは突いた剣を肩先に戻すと腰を沈め凄血伯爵のわき腹をすくい上げるように身を伸ばしながら踏み込む。その一撃を見た凄血伯爵は左足を一歩引くや否やなんと中腰になってその剣戟を防いだのだ。


「見事だ、お主。人間の身なればこんな不安定な体勢でお主の一撃は防げることはできなかったであろうな・・・」


 鍔迫り合いをしながら下から見上げるマテウスに向かって凄血伯爵が声を掛ける。


「この攻めを凌ぐとはねえ・・・自信なくしそう・・・」


 マテウスは凄血伯爵の剣の圧力に苦しそうに嘯く。


「これで終わりだ傭兵!」


 凄血伯爵がマテウスに宣言する声が終わらぬうちに二人の背後から声が


「お前が終わりだ、デス・ナイト!!」


「ん?」


「セエッッイヤァーーー!!!」


 凄血伯爵がその声に振り返ると目の前には抜く手も見せない速さで抜き打ちを仕掛けるエルヴィンの姿があった。


「させるか!!」


 凄血伯爵は眼前に来るエルヴィンの剣を受け止めようとする。が・・・


『キィーンッ!ズザッ!!!』


 エルヴィンの神速の剣は凄血伯爵の剣を真っ二つに折るとそのまま顔面を斜めに斬り刻む。


「み 見事!・・・」


 凄血伯爵は斬られた顔面を少しずつずり落としながら声を上げた。


 音を立てながら仰向けに倒れるデス・ナイトに残心の態を取ったままエルヴィンはそっと剣を鞘に収める。


「確かにあなたは強かった・・・元近衛騎士団団長カール・フォン・ビュックラー伯爵・・・」




 









 

ついに、凄血伯爵さんとの決着がつきました。皆さんの想像とは違ってましたか?


残りの相手は姿を現さぬサマヌさん、この強敵にエルヴィンさん達はどう戦うのでしょうか?


来週皆さんとお会いする時はもうお盆休みに入られてるのでしょうか?


それでは次週もこの時間にてお会いしましょう~^^


最後に、いつものお礼を申し上げます。


この物語を楽しみにしていただいてる全ての皆様に感謝の気持ちを・・・本当にありがとうございます^^




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