魔女祭り37 特務隊隊長マテウス
(ジェイミーさんって・・・、)
フィーネはマテウスが口にした名前をつぶやく・・・。
(マテウスさんが口から滑らしたジェイミーさんって、エルヴィン様とどんな関係なんだろう・・・)
談笑しているエルヴィンとマテウスの二人の姿を見つめながらフィーネはマテウスの言葉を反芻する。
(彼女は怖いからね・・・。彼女・・・)
「フィーネ フィーネ・・・」
その時、フィーネを我に返させるような呼びかけが
「フィーネ、すみません。エルヴィン様達はどうなったのでしょうか?」
フィーネはその声の方向に目を向けると心配そうな表情のセシリアの顔がそこにあった。
「あっ、すみませんセシリア様。エルヴィン様はマテウスさんと二人がかりであのソティリオという男をやっつけてしまわれましたわ!それとお二人ともご無事です」
「そ そうですか」
セシリアは安堵したように胸元に両手を組み頭を下げ祈りを奉げる。
そんなセシリアの姿を見ながらフィーネは
(私としたら、目の不自由なセシリア様のことを失念してしまって・・・本当に反省しなければね)
「うむ、本当に凄い!凄いなあ。エルヴィン殿の強さもそうだがあの途中から来たマテウス殿の強さも桁違いだ!!!」
先程から凄いという言葉ばかり口にしているヴィオラの瞳は驚嘆から尊敬の眼差しに変わっている。
「それにしても・・・」
そこで小首をかしげるようにヴィオラはつぶやく。
「あの強いマテウス殿が怖いと言っていたジェイミー殿とか申す女性・・・どのような人物であろうか?」
その名前にピクリと反応するセシリアとフィーネ・・・。
(そうですわね・・・)
(そうですね・・・)
二人は意識せず同時に頷いた。
(それにしても、マテウスお前って奴は・・・)
エルヴィンは唖然とした表情で自分をニコニコしながら見ているマテウスの姿を眺める。
「なあマテウス、俺がこれだけ傷付いて血まで流しているのにお前は全然怪我の一つもなさそうだな・・・」
「ああ、うんそうだね。このソティリオとか言ったけこの男、エルヴィンがてこずると言っただけあってかなり強かったよ」
「その姿のお前に言われると・・・まあ いいかあ、マテウスお前が強いってのは改めてよおくわかったよ」
エルヴィンはあきれたと言わんばかりにマテウスに言葉を投げた。
「そりゃあそうだよ。エルヴィン旗下の特務隊隊長の肩書きは伊達じゃないからね」
「ああ、そうだな」
「そうだよ、マイン・シュールレイター(我が団長)!!」
二人して何がおかしいのわからないが笑い合っていたがその談笑を中断させる声が
「お二人とも仲が良いのはよく解りましたし、あなた達の強さも充分把握致しましたので」
ソティリオは膝まづいていた体勢からやおら立ち上がるとエルヴィン達に話しかける。
「私は、そろそろ帰ることに致しましょう。我が敬愛する至高なる尊師からの伝言もハインリッヒ王陛下に伝えることもできましたしね。ただ、王陛下のお命を頂戴することは叶わなかったことや、聖女殿を連れて帰ることがこの有様ではできないことがとても残念ですが・・・」
と言って、ソティリオは手首の無い左手を軽く上げ自嘲気味に苦笑する。
「エルヴィン、こいつどうするの?」
マテウスがエルヴィンに尋ねたその時、
「あっ!!!」
二人の一瞬の隙にソティリオは素早く身を翻すや否や外邸の見える窓に向かって走り始めた。
「マテウス!!」
「了解!!」
エルヴィンに名前を呼ばれたマテウスがソティリオを追う。
『バリィンッ!!!』
ソティリオは躊躇せず体ごと窓ガラスに飛び込むとそのまま外に駆け出す。
「チィッ!!」
マテウスも続いて破れた窓からソティリオを追う。
エルヴィンはそのマテウスの後姿を確認すると振り返りハインリッヒ王に視線を向ける。
「陛下」
「うむ」
頷くハインリッヒ王にエルヴィンは小さく頭を下げるとエルヴィンは走り出し、晩餐会会場の入り口を抜け王宮入り口から外にでると、足を止めた。
(レオ団長・・・)
エルヴィンの眼前には骸骨騎士達に蹂躙され横たわる近衛騎士達の悲惨な姿があちらこちらに点在していたのであった。
外灯が揺れる中、エルヴィンは目敏く方膝を立て剣で体を支えているレオを見つけエルヴィンはさっとレオの肩を抱きこむ。
「レオ団長」
「ああ、エルヴィン殿か・・・、へ 陛下はご無事か・・・」
「陛下はご無事ですよ」
「そ そうか、それは何よりもの言葉だ・・・」
レオは血の気が引いた顔に微笑みを浮かべると
「エルヴィン殿、すまぬ。我らはこの有様だ、時間稼ぎにもならなかった・・・」
「そんなことはないですよ、レオ団長。近衛騎士団ががんばってくれたおかげで陛下を無事お守りすることができたのですから」
「そ そう言ってもらえるとありがたいものだな・・・」
「レオ団長、気をしっかりとお持ちになってください」
「ああ、なんのこれしきの怪我ぐらい、グフッ・・・」
「レオ団長!」
「エルヴィン殿、あの骸骨騎士どもは強かった・・・自分自身にもそれなりに腕もあり自信もあったのだがな・・・。あ奴等は元は近衛騎士団たちの変わり果てた姿だそうだ」
「近衛騎士団ですか?」
「ああ、そうだ。あの一際目立つ骸骨騎士の正体はカール・フォン・ビュックラーと言い元近衛騎士団団長だった男だ・・・」
「カール・フォン・ビュックラー?」
「うむ、我ら現近衛騎士団より3代前の近衛騎士団団長でな、凄血伯爵の異名をとり、歴代近衛騎士団団長最強との噂の高い男だった・・・。エルヴィン殿、勝手を言って申し訳ないが我らの代わりに、陛下を、陛下をあの魔物たちよりお守りしていただけないか、こ このとおりだ」
情けない自分の姿を悔しく思いながらも必死にエルヴィンに後事を託すように頭を下げるレオにエルヴィンは
「承りましたよ、レオ団長・・・」
「かたじけない・・・」
その時、
「お話は終わりましたかな、クックック」
「ソティリオ、お前の声は妙に俺をいらつかせるようだな」
エルヴィンは不快な笑い声をあげる男を睨み上げる。
「それは、失礼いたしました、クックック」
「ソティリオよ、もう片手だけで済ます訳にはいかねえな・・・」
「ありがたいお誘いの言葉ですが、私の手もこのようですので私の代わりに我が僕達があなた方のお相手をさせていただきましょう」
エルヴィンは、レオの傍らからゆっくりと立ち上がる、すると
「エルヴィン、こいつ等ただのスケルトンナイト(骸骨騎士)じゃあなさそうだね」
いつの間にかエルヴィンの傍らに立つマテウスが呼びかけてきた。
「ああ、そうだな・・・デス・ナイトだ」
「じゃあ、しょうがないね・・・許可を マイン・シュールレイター(我が団長)」
透き通った笑顔を浮かべながら、マテウスはエルヴィンに求める。
「魔法戦を許可する」
「ヤー(了解)!」
マテウスさんは、エルヴィンさんの配下の特務隊?の隊長さんでした。どんな部隊でその構成人数は??
次回は本気になったエルヴィンさんとマテウスさんの激闘シーンの予定です、どうかお楽しみに^^
それと、来週は所用があって更新できません、すみません・・・。
再来週のこの時間にまたお会いできればと考えております。
それでは、この物語を楽しみにしていただいてる全ての皆様にお礼を申し上げます。
本当に、ありがとうございます。
それでは、また再来週このお時間にお会いしましょう^^




