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魔女祭り35 マテウス

(私の方が、早い・・・)


 ソティリオは目にも留まらぬ速さでエルヴィンとの間合いを詰めるとエルヴィンの頭部に斬撃を浴びせようとする。エルヴィンはまだ剣も抜かず蹲踞したまま身動き一つしていない。


(私の勝ちです・・・)


 ソティリオは自ら掲げた剣の切っ先を振り下ろす  が、


(こ これは、き 危険です)


 ソティリオはエルヴィンの剣の柄を握る右手が動く瞬間が視界に入るや否や身をよじり自分の右側の位置に体を移動させた。


「チィ!!」


『ビュン!!!』


 エルヴィンの舌打ちと共に凄まじい抜き打ちの斬撃がソティリオを襲う。


『バサッ!』


 辛うじてエルヴィンの渾身の一撃をかわしたソティリオは自分が元にいた位置を驚きの表情で見つめる。

 その場所にはソティリオが身に着けていた濃紺の外套の一部が床に落ちているのであった。


「あなたは・・・あなたは  いったい何者ですか・・・?」


 驚愕の目でソティリオから問われるエルヴィンは静かに剣を鞘に収めつつ、残心の構えを解いていない。

 エルヴィンは顎を少し突き出すと口を開く。


「俺は、一介の傭兵だ、傭兵団ゴルトヴォルフ(金狼)のな・・・」


「傭兵団ゴルトヴォルフ(金狼)・・・」


 オウム返しにつぶやくソティリオにエルヴィンは注意深くその間合いをまた徐々に詰めてくる。ソティリオはその姿を見ながら知らず知らず後ろにさがろうとしている自分に気づく。


(私が、剣の立会いでこうも気圧されるとは・・・)


 ジリッ、ジリッと抜き打ちの構えをしながら迫ってくるエルヴィンの視線が不意に自分の後方を見たとたんに彼がニヤリとしたのをソティリオは見逃さなかった。


「私も、甘く見られたものですね、油断していると・・・」


 ソティリオは気息を整えると剣を構え直す。


「ソティリオ、お前と決着をつけたい気もするがどうやらここまでかな」


「ん?どういうことですか?」


「お前の相手はあいつに譲ってやるよ、フフフ」


「あいつ?」


 ソティリオの問いに顎先で見ろというような仕草のエルヴィンに示された方向にソティリオは視線を向けるとそこにはエルヴィンと同じ少し赤みがかかった黄色の外套を身に着けた明るい栗色の髪をした男が広間の入り口に立ってこちらを見ている。


「マテウス、ご苦労様。遅かったな」


「遅くなりました、エルヴィン!!。久々に転移の魔法を使うのに手間取っちゃったもので、アハハハ」


 マテウスと呼ばれた男は世間話をするような気さくさで答えながらエルヴィンとソティリオが対峙する場所まで近づいてくる。


「マテウス、お前はこれが終わったら転移魔法の特訓だな」


「アハハハ、それは勘弁してほしいんだけどエルヴィン」


 マテウスはそう言いながら晩餐会会場内を悠々と歩き、訝しげな表情のソティリオの背後に立ち止まる。


「それで、エルヴィン、屋敷の外も何やら賑やかなことになってるけどご機嫌なパーティーにしてくれた張本人は」


 マテウスは一呼吸おくと


「こいつかな」


 ソティリオに向けて冷ややかな一瞥をくれる。


「ああ、そうだ。詳しいことはまた説明するがさし当たってこいつを何とかしたい」


「殺してもいいのかい?」


「できれば生かしたままがいいのだが、こいつが思ったよりも強くてな俺も正直言って手に余ってたんだ」


「ふーん・・・エルヴィン相手にねえ・・・」


 ソティリオを睨むマテウスの気配が変わる。


「うちの団長に手を出したってことがどういう事になるか・・・」


 マテウスはスラリと剣を抜くと


「その身で後悔するといい」


 その言葉が終わらぬうちに、マテウスは剣の切っ先を横に寝かせると強烈な突きをソティリオに浴びせる。その凄まじい連続の突きをソティリオも一つの無駄もない体捌きでかわす。


(クッ、この男も、つ 強い!!!)


 防戦一方になりながらも相手の隙を見つけて反撃しようとするソティリオは驚嘆する。


 ソティリオはマテウスが息を継ぐわずかな瞬間に大きく後ろに飛び下がり間合いを取ると叫ぶ。


「あ あなた達ゴルトヴォルフ(金狼)は化け物の集まりですか!!!」



(まあ、先に手を出したのは俺のほうだけど・・・マテウスには黙っておこう・・・)


 エルヴィンはマティウスに戦いを任せて一息入れている。

 

(陛下、皇后様・・・うん、落ち着いているみたいだな)


 エルヴィンは軽く壇上にてこちらを見ているハインリッヒとアグネスに軽く頭を下げると二人ともそれに気づきうなずく。


(セシリア殿は・・・)


 続けてエルヴィンはセシリア達の方に視線を移すと瞳を閉じたまま心配そう表情をした彼女の姿が見える。その彼女の隣には両手を握ったフィーネが熱い眼差しで自分を見つめているのがわかった。またセシリアを挟んで反対側に腰を下ろしているヴィオラの視線は先程まで冷たい蔑視ではなく何となく敬視になってような感じがするのは気のせいだろうか・・・。


 エルヴィンは、うんうんと彼女達に安心してという風に微笑みながら頷くと視線を戦う二人の方へ戻す。


(さて、もう少し休憩したらマテウスと二人がかりでソティリオの奴を捕らえるとするか、外のレオ団長達のこともあるしな・・・)




「セシリア様!!、エルヴィン様がこちらを見てうんうんって微笑みながら頷いてくれましたわ~!!」


「えっ、そ そうですか」


 フィーネは目の不自由なセシリアのために実況を続けている。


「エルヴィン様は、お怪我はされてませんか?大丈夫なんですかフィーネ」


「切り傷はお体にいっぱいありますが、軽傷のようです。今はマテウスさんというエルヴィン様のお仲間の方があのソティリオという恐ろしい男と戦ってますのでエルヴィン様は一息入れられています」


「そ そうなんですね、でも、いくら軽傷とはいえ、ち 治療はしなければいけませんね」


「ええ、その通りです。後でしっかりと優しく丁寧にエルヴィン様をセシリア様は治療を差し上げなければいけません」


「え ええ、そうですね。優しく・・・丁寧に・・・」


 言葉尻をゴニョゴニョとして同意するセシリアを微笑ましく見つめるフィーネ。


「それにしてもエルヴィン殿の率いる庸兵団ゴルトヴォルフ(金狼)とはどんな団員で構成されてるのであろうか?あのエルヴィン殿の代わりに戦っているマテウス殿もかなりの剣の腕だぞ、あのソティリオを圧倒している」


 二人の会話にヴィオラが感嘆したような声色でつぶやいた。


「そうですね、あのマテウスさんも強いですよね」


「私も・・・、エルヴィン殿達のように強くなれるのだろうか・・・」


「ヴィオラ様・・・」






 














ついに、ついにエルヴィンさんの団員の一人マテウスさん登場です~~^^


皆さんの感想はどうだったでしょうか?^^


お待ちしております^^


それでは、皆さんまた来週この時間でお会いしましょう^^


最後にこの物語を楽しみにしていただいてる全ての皆様にお礼を申し上げます。


本当にありがとうございます^^。

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