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魔女祭り29 凶変 使徒ソテイリオ

 ガキン!鈍い音が自らが持つ剣から放たれると同時にその剣をつかむ両手にしびれをもたらす。


(クッ、これ程とは!!!)


 スケルトンナイト(骸骨騎士)の一体と切り結ぶギレの表情には焦燥感がありありと滲み出ていた。

 ギレの視界には、10体ほどのスケルトンナイト(骸骨騎士)が彼の配下である近衛騎士団団員が剣を交えているのが映る。人数では遥かに勝る近衛騎士団ではあったが形勢は極めて不利な状況にあった。ギレ自身も実際に剣を交えるまでは、スケルトンナイト(骸骨騎士)など恐るるに足らずと自身の腕前に自信を持っていたのだが、その自信が自惚れであったと自覚するまでにはそう時間がかからなかったのである。


(膂力が、違い過ぎる。人間を相手にするのとは分けが違う・・・)


 基本的に近衛騎士団は剣の稽古は人間相手であり、戦い方も相手の剣を受けながらも相手の隙を見つけてこちらの剣を切り付けるというのが普通であり、ギレのように実際に戦場で生身の人間相手に剣を交えた時もこれ程の違和感は感じずに戦えれたのではあったのだが・・・。


(この魔物達の剣さばきは、どう見ても騎士団レベルの腕だ、それにこ奴等の剣を一度受けてしまえばその力強さに恐れを感じてしまう・・・。そう・・・身体ごと持ってかれるような体感だ・・・)


 ギレは、初めて恐怖を感じていたのである。副団長の彼がそう感じるということは彼の配下である近衛騎士団団員達などもっと恐怖感に苛まれているであろうことはたやすく想像できる。


「グハッ」


 ギレの近くで戦っていた団員の一人が、スケルトンナイト(骸骨騎士)の剣戟を受けきれずその場に倒れこんだ。


「ギレ副団長、こりゃあ、いけませんぜ」


 その時、ギレを呼び掛けた声が


「ベルクか、無事だったか?」


「あんまり、無事とは言えませんがね」


 と、言って左手をギレに見せる。その左手はあらぬ方向を向いており痛々しい・・・。

 ベルクと呼ばれた男は、うっすらと自嘲気味に凄みのある微笑を浮かべ、ギレに注進する。彼はこの近衛騎士団の中では最古参の一人であり歴戦の兵である彼は団長のレオや副団長のギレの信頼も厚い男であった。


「みんな、腰が引けてまさぁ・・・。あんな膂力を見せ付けられたら誰もが怖気づいちまうのも無理はないですがね・・・。自分も、この通り・・・」


「そうですね、私自身も恐怖を感じてますから・・・」


「数の上では有利ですが、このままじゃ勝ち目が薄いですなあ。人間相手なら無敵の我が騎士団もこうなると・・・」


「士気を上げるためには、私ではまだ無理そうですね。ベルクすまないですがレオ団長を呼んできてはもらえませんか」


「承りました、それまで副団長頑張ってくださいよ」


「ええ」


 ベルクにそう答えるとギレはスケルトンナイト(骸骨騎士)達の中で一目で別格の佇まいを見せ剣も抜かずに戦場を睥睨する首領らしき一体に目を向ける。


(あの魔物、どれくらいの力を持っているのでしょうか・・・?)










 ローマ聖教会教皇の使節団歓迎の晩餐会会場は時ならぬ魔物の襲撃を受け、その場に居合わせた人々の不安が多くのざわめきを生み出していた。その混乱と喧騒の場もかろうじて平静さを保てれていたのは玉座に堂々と鎮座するハインリッヒ王の姿にほかならないであろう。エルヴィンはその広間を注意深く見つめている・・・不審な動きを見せる者がいないか・・・。


(うん?あの男!!)


「アリスティッド卿、その男!黒服の御者だ!!!気をつけろ!!!」


 エルヴィンの視界に以前から気になっていた黒服の御者が玉座に向かって近づこうと動き出した時に声を上げる。


 うん?といった表情でエルヴィンの声に反応したアリスティッド卿は玉座に向かって歩いてくる御者のグイドとハインリッヒ王の間に立つと足を止めたグイドに問い質す。


「これは、聖教会の御者殿、どちらに行かれるのかな?」


 行くてを阻まれたグイドは少し驚いたような表情を見せ、叫んだエルヴィンの方をちらりと振り向くとすぐに視線を元に戻してアリスティッド卿の問いに答える。


「どうして気づかれたか分かりませんが、まあ良いでしょう。貴殿はアリスティッド卿と申されましたかな?文官の身ながら素早い身ごなしですな、感心致しました」


 グイドは目元に微笑を浮かべながらアリスティッド卿を見つめる。


「お褒めにあずかり恐縮なんですがね、御者殿、私の質問にまだ答えてはいただけてませんが」


 アリスティッド卿も微笑を浮かべながらグイドを見返すと、二人はしばしの間無言で睨み合う。


 やがて、グイドはニヤリと表情を崩すと


「これは、気づかぬ事でした。私はそちらにおわすハインリッヒ王陛下の下へ参ろうとしたのです」


「ほおー、陛下の下へと」


「はい、我が尊師からのご挨拶の言葉を王陛下に言上差し上げようと」


「あなたの尊師からの挨拶ですか?」


「はい」


 その時、二人の会話を遮るような声が、


「グ、グイド!お おまえは何を言っておるのだ!!」


 その声は、グイドの主であるローマ聖教会ゴスラー駐在館主席領事官であるグラウコ神父であった。


「グイド・・・そうでした。ハハハ、私としたことが失念しておりましたこの身はグイドとか申す男の身体でありましたね」


 グイドは、自分の姿をチラリと確かめると、その表情を凶悪そうにゆがめ声を上げる


「ハアァーーッ」


 その場が強烈な光で視界が遮られる。その光が薄まりその場に居合わせた皆の目の前には・・・


 そこには、濃紺の外套を羽織った細身の男が立っていた。


「私は、偉大なる至高の御方、サザーランド様が配下13使徒が一人、ソティリオと申しますハインリッヒ王陛下、お見知りおきを、クックック、アッハッハハハ」







 

グイド?の正体は・・・。グイドに成り変わっていたソティリオは彼が尊称するサザーランドの使徒でした。このラスボス感を漂わせる者はいかなる人物や・・・。


新年度も今日から始まりましたね、今期も皆さんよろしくお願い申し上げます^^


最後に御挨拶です。この物語を楽しみにしていただいている全ての皆様にお礼を申し上げます。


本当にありがとうございます。


では、また来週、この時間でお会いしましょう^^

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