3章-8 火山調査隊-3
レインは、ドートから哀の国と怒の国のCOMPASSのフレーム及び装甲が怒の国の腕利きたちによって生産されていることを教わった。
当然、レインにとっては大きな疑問が生まれる。
「……じゃあ、楽の国はどこで生産してるんだろう」
「あん?なんでそこで楽の国が出る?」
レインは自分が楽の国出身であることをドートに伝えると、ドートは顎に手を添えた。
「まあ恐らくだが、喜の国だろうな」
「喜の……?」
「楽の国の北西。怒の国の西側。ゴティス山脈を越えた先だ」
山と山に区切られ、他の国と断絶された空白部分を指で示し、ドートはため息をつく。
「もともとCOMPASSってもの自体が喜の国で作られて、俺たちのはその技術が流入したもんだ、なんて言われてたが、あながち嘘じゃねえかもしれねえな」
レインもドートと一緒にレインのCOMPASSを見上げた。外見だけでは、リシュのものと同様の装甲を備えているそれが、ドートには違うものとして映っているようだった。
「フレームと装甲の互換性……まさかとは思っていたがな。こりゃ本気で、死ぬ前に一度でも喜の国の工房を拝まにゃならねえな」
しみじみと言ったドートに、一人の男が駆け寄ってくる。レインは場所を開けた。
「ドートのおやっさん!準備終わりやした!」
「おせえぞ!」
流れるような罵声と共に、ドートは上着を脱いで肌着だけになる。
「さて、ダリアを送ってくれてありがとよ、坊主。ここからはさすがに危険だから連れてけねえが、ここまでよそ者が来たのは初めてだったから新鮮で楽しかったぜ」
「え?一緒にいかないの?」
「バカヤロウ!山のための装備もなしで死なせる気かテメエは!」
ダリアは「あちゃー」と頭を掻くと、ハンドサインだけでレインに謝罪した。レインの眉の動きを見てさっさとどこかへ走っていくダリアを眺めていると、ドートが頭を抱える。
「まぁた適当言いやがったな?ったく。……悪いな」
「いえ。それより、それだけ危険だっていうのに、そんな軽装で行くんですか?」
レインの疑問に、ドートは何を言っているんだと言わんばかりに眉を上げる。
その直後、ドートの背後の林が地面ごと二つに割れた。そして中からせりあがってきたものに、レインはあんぐりと口を開ける。
「そうか、お前さん怒の国自体が初めてだったか。俺たちはみんなパイロットさ。自分の身を守れて三人前。機体のメンテナンスが一人でできて二人前だ」
赤を基調とした、四脚のCOMPASS。それが調査隊全員分。それぞれの機体に各々乗り込んでいき、ダリアもまたその中に入っていた。
「あばよレイン。生きてたらまた会おうぜ」




